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地位?異世界転生?そんなことより働かないと

作者: 夜麗出ユウ
掲載日:2026/02/04

※コメディもありますが序盤はかなりシリアスです。

※コメディ3割、シリアス7割(個人的解釈)


カタカタカタカタ


「違う、マニュアルちゃんと読んだのか?マニュアル通りにやれば良いっていつも言ってるだろ!!!!!」

ガンッ




カタカタカタカタ





「申し訳ありません。マニュアルをもう一度確認し、作り直してきます」



「違う!!!それじゃ応用がなくて業績が下がるだろ!!大体___」



全方向から聞こえるキーボードを叩く音。

上司のどうすれば正解なのか分からない怒声。

机を蹴る音。

謝り続ける新人。





社畜、ブラック企業と言われたらそうなのかもしれない。


だが働かなければならない。

働かなければ人権も、発言権もない。


“嫌だ”という感情はもう昔に消えた。慣れというのは怖い。






今日は徹夜無しで帰ることができた。

終電は逃してしまったしビジホに泊まるしかないのだが………




近くのビジホのフロントで受付をするために立ち止まると視界が回転した。





…‥最悪だ。今までの疲労がここで出るなんて。


救急車とか呼ばれたら明日からまた働けなくなる………

現に昔、睡眠不足で横断歩道で倒れ入院した時に上司から

「そんなの甘えだ!!!ズル休みだ!!!!サボりだ!!!!そんなやつの人権はない!」

と、言われ退院後しばらくはいないもの扱いされた。上司にぶつかられ、自 デスクはすぐに上司の昼飯のゴミや書類で汚され、さらにはトイレも同じものを使おうとしてきた。

正直あれはトラウマにしかならない。


人権がまた無くなるのは嫌だなぁ………





呑気にそんなことを考えながら人の声と救急車の音を聞きながら意識を落とした。









窪田くぼた かける____

あるビジネスホテルで倒れ、そのまま救急搬送。

搬送先の病院で亡くなったことが確認された。

死因は主に多大なストレスと睡眠不足による過労死であることが判明してる。


________________________

「……………なんだここ」



目が覚めると病院でも救急車でもなく絵が書いてある天井があった。

俺は死んだのか?

………いや、そんなことはどうでも良い。

死んでるにしろ死んでないにしろ、仕事をやらなければ。

死んでいたら上司から何か言われることはないが、実態がある。

夢を見ているのかファンタジーな世界に来てしまったのか。

実態がある、つまり生きているということは「仕事をしろ」ということだ。

上司が昔言っていた。“生きている以上は働け!そうじゃないとお前らみたいなゴミは生きる価値がない!!”と、


別にそんなわけではないのだろうがどうにも体が動く。

ただ仕事をしなければならない。





……….少し体が小さい気がするがまぁ良いだろう。

どこかに書類はないか…………




コンコンコン

「失礼します王子、朝食ができたので迎えにあがりました」




…………王子?


ってことは異世界っていうのが可能性が高そうだ。



「………わかった。すぐに行く」


この見つけた書類を一枚やったらな!!!!



なんだこの量は。一番古いのは……一週間前…狂ってるなこいつ。

仕事を放棄するなんて。俺だったら上司にぶたれてるな。



「なんだこれ……?“計算式を書きなさい”…?…仕事じゃないじゃないか」


いや、でもこれは書類だ。

そもそも書類の意味というのは“目的があって記録する文書の類。”と言われている。

この書類の目的はおそらく俺、というか王子の知能の底上げ。つまり書類といっても過言じゃない。つまり仕事を早くも1ページ終わらせたということになる。

よし、あと1枚くらい………




コンコンコン

「あの………、王子?朝食が冷めてしまいますよ?」


…….あとでやるしかなさそうだな。

「ああすまない…….少し色々あってな、もう出る」



「……おや、まだ服を着替えてないではありませんか。珍しいですね。なにか気にかかることでも?」



「いや、少しぼーっとしてただけだ。着替えてくる」






………着替え忘れていた。社会人歴ちょうど20年でそれはやばいな……

…いや、スーツのまま寝るなんてザラにあったからな…


鏡の前で見たことのない服をなんとか着ているとふと、自分の容姿に目が入った。


「………ショタじゃねぇか」



体が若返っている。

でも声は変わってないし……


…………ショタって言っても13とか14か


よし、着替えも終わったしとっとと飯を食べよう。


そして書類を終わらせてしまおう。

________________________

「久しぶりだな、ケッカル」

いや名前………ほとんど俺の名前と一緒じゃねぇか。

……いやいや、これは王族という名の面接官(家族)。

つまりこれは仕事だ。心して望まなければ。


「ええ、お久しぶりです。父上。この時間帯の食事など珍しいですね」


「あぁ、久しぶりに我が息子の様子を見ようと思ってな」


「そうですか」


正直ここから何を言えばわからない。この人たちはもう食事をしているし俺も食べよう。

マナーや行儀、これは見様見真似でやるしかない。

つまり新人時代にやっていたコピーの応用だ。

それとなく視線をやり、どのようにやっているのか、また何が正解かを模索してやっていく。コピーのしすぎでオリジナル性がないと上司に叩かれたな……


「そういえばケッカル。先程使用人から聞いたがどうも上の空らしいな。

……まさか、婚約者との結婚を否定するつもりではあるまいな?

お前は王族としての自覚を持て。学習だってやっているのか?」


……なるほど。このケッカルとか言う王子は自由に全てをやりたいわがまま王子ってことか。



「そんなまさか……早く学習を全て終わらせようとしているところです。あと3時間で全て終わるかと。そして婚約を否定するつもりは全くありません。父上が決めた婚約者以外の女など、作ってなんの得にもなりません。やるだけ無駄ですからね………ごちそうさまでした。では私は部屋へ戻ります」


「ケッカル………熱でもあるのか?良い方向に考えてくれて嬉しいが……変だぞ?」


「思春期です父上。性格の変わる時期、といっても過言ではありませんよ」


「いやしかし__」

「失礼します」



よし、きっとあの面接は受かった。上司に3分怒鳴られるだけで済むな。




「王子、」


「なんだ?何か問題でもあったのか?」


「いえ……スケジュールを」


「ああ、助かる」


「はい。この後5時間は学習をやっていただきます。もしくは1時間学習、4時間剣術。どちらになさいますか?」


「5時間の学習だな。あの量は私では一時間で終わらない。さっき父上にも言ったが3時間で終わる。2時間は読書で構わないか?」


「え、えぇ………もちろんですが…」


「そうか、ならば1人にしてくれ。集中したい」



呆然とした執事を置いて俺は部屋に入った。

……さて、この書類は全て小学校高学年レベル。時間が欲しいだけで難しいものではない。


剣術は俺には到底無理だな。体は動きやすいしやればできるのだろうが今は仕事、書類が優先だ。そしてこの国の本を読み、この世界のことを知る。それが終わってから剣術とやらをやろう。







「………予想通り、3時間で終わったな」


これは誰かに提出するべきなのか?




コンコンコン


「どうぞ」



「失礼します王子。学習が終わったかと思い来ましたが……」


「タイミングよく来たな。全て終わった。これは提出する必要はあるのか?」


「あ、では私に………すごい、軽く見ただけでほとんどあってますね……」


「そうか、では私は読書に移る。邪魔はするな」


「は、はい……?」


________________________

あの後、“王子の性格が急変した”と城下町まで噂は広がったらしい。


それもそのはず………



「おい!!!ちょっとロープ貸してくれねぇか!?!……え?脱出に使うに決まってんだろ!」



「おい親父!!!!今日俺誕生日!!祝ってくれよ!……え?顔知らないやつにお世辞言われてもムカつくだけだっつーの!!」


「ヤッベ抜け出したのバレた……あ、窓ガラス割っちった」


これが、



「は?それくらいで難問?お前大丈夫か……?」


「剣術………角度も重要そうだな…あ、おい!刃こぼれしてるぞ!……は?刃こぼれを知らない…?……ッチ、何かザラザラした陶器とかもってこい。それか厨房だ!」



「は……?休め??休んだ瞬間の人権と発言権はどうする?休むことは重要か?食事、睡眠は仕事を満足にするためにやってる行為の一つだ。風呂やトイレもやらなければ病気になったり周りに迷惑がかかる。休むことはやる必要がない。地位があるから休める?関係ない。仕事をやる、それだけだ」


こうなったのだ。

そりゃあ噂になるだろう。


ま、あの後執事たちに集中力があればより完成度が高くなると言われて1時間に10分休憩を取るようにしたが…

確かに頭の整理がされて良いかもしれないな。






要はバランスなんだ。

俺は前の世界で、言われるがままに仕事をやってきた。


っていうかそれしかやれなかった。



だけど、適度にすることが一番大事。

質もクオリティも高く安定する。





まぁ、長く染みついた癖っていうのはなかなか取れないんだけどな。



……さて、休憩も十分とったしそろそろ仕事に取り掛からないとな。


ここまで読んでくれてありがとうございました。

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