10月第3週 政治・経済ニュースベスト5【利上げ局面 NHK党 ガザ復興 野党共闘 自維連立】
『 』の中が記事の引用、⇒ 以降に僕の意見が書いてあります。
どうぞご覧ください。
第5位 『日銀・田村審議委員「利上げを判断すべき局面」 物価の上振れリスクを警戒』
日本経済新聞10月16日の記事より、
『日銀の田村直樹審議委員は16日の講演で、物価の上振れリスクが高まっているとの認識を示し「利上げを判断するべき局面にきている」と語った。追加利上げを求めて政策金利の据え置きに反対した9月に続き、10月29〜30日に開く金融政策決定会合でも利上げを提案する可能性を示唆した。
那覇市で開いた金融経済懇談会で講演した。田村氏は現在の日銀政策委員会のなかで利上げに前向きな「タカ派」と位置づけられている。
経済情勢については、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)が「企業の前向きな姿勢が引き続き維持されていることを裏付けた」と述べた。トランプ米政権の関税政策が海外経済の減速を招き、日本経済も「無傷ではいられない」と話す一方、海外の減速の程度は「当初考えていたほどではない可能性が十分にある」と指摘した。
物価については、日銀が2027年度までの見通し期間の後半に2%の物価安定目標を達成するとの基本シナリオを示しているのに対し「私としては物価目標の実現時期が前倒しとなる可能性も十分にあると考えている」と強調した。
その理由として、企業の前向きな経営姿勢や従来よりも値上げに積極的な価格設定行動が維持されていることを挙げた。日銀による企業への聞き取り調査などを踏まえ、人手不足に悩む企業が賃上げを継続することに自信を示した。
食料品価格の上昇が加工品や外食への波及などを伴い持続する可能性や、人件費の動きに敏感なサービス品目の価格の上昇、企業や家計の予想物価上昇率の上昇傾向も指摘した。
田村氏は9月の会合で「物価の上振れリスクが膨らんでいる中、中立金利にもう少し近づけるべきだ」として0.75%への利上げ実施を求めた。中立金利は景気を熱しも冷ましもしない金利水準で、同氏はかねて「最低でも1%程度」との見解を示している。中立金利を大きく下回るほど、金融環境は緩和的といえる。
この日の講演でも、現在の0.5%の政策金利が「日本経済全体への影響は極めて限定的だ」と主張し、「中立金利まではまだまだ距離がある」との考えを示した。利上げが遅れ、将来的にインフレ抑制のために急激な利上げを迫られる事態を避けるために、利上げを進めて金融緩和の度合いを弱める必要性を改めて強調した。』
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予想物価上昇率をプラス2.0%と仮定すると、中立金利はプラス1%~2.5%程度と言われており今の0.5%と比べて2倍から5倍にもなります。
8割が変動金利を選択しているお金がない一般庶民のローン返済などに大打撃を与えます。
利上げが物価を下げる効果があるときは実質消費支出が高い時に限ります。9月は-0.1%と長期休暇の時はプラスになることがあるものの、基本的には0付近であり、どうみても消費は過熱状態ではありません(収入が低い世帯ほど消費は削っているでしょうし)。
ところが、そんなことは完全に無視して利上げを試みる日銀は”狂気”としか言いようがありません。
むしろ利息分は価格転嫁され、物価上昇圧力につながる要因にすらなると考えるので、この状況下では絶対にやってはいけないと考えます。
第4位 『自民党、NHK党と参院会派 多数派形成へ取り込み』
日本経済新聞10月15日の記事より、
『自民党は15日、政治団体「NHKから国民を守る党」の斉藤健一郎参院議員との参院会派「自民党・無所属の会」を結成したと発表した。同日、参院に届け出た。自民党が少数与党の現状を踏まえた参院での多数派形成の一環で、取り込みを図った形。
副党首の斉藤氏はN党のただ一人の国会議員で、どの会派にも属していない。2024年10月の臨時国会での首相指名選挙では、自民党の高市早苗氏に投票。3月には25年度予算に賛成した。
自民党は7月の参院選で大敗し、参院では公明党と合わせても過半数に足りない状況だった。公明党が連立離脱を表明し、難しい国会運営が予想される中、無所属議員らとの連携を模索していた。
N党を巡っては、立花孝志党首が24年11月の兵庫県知事選に出馬し、斎藤元彦知事を応援する「2馬力」の選挙戦で物議を醸した。立花氏は元兵庫県議への名誉毀損容疑で刑事告訴されている。
参院の新たな会派別勢力は次の通り。
自民党・無所属の会101▽立憲民主・社民・無所属42▽国民民主党・新緑風会25▽公明党21▽日本維新の会19▽参政党15▽共産党7▽れいわ新選組6▽日本保守党2▽沖縄の風2▽無所属8』
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現状NHK党(国政政党の要件は満たしていない)は斉藤議員1人だけなので具体的に何か自民党の政策に影響を及ぼすことはないと思います。(マスコミに対する圧力をかけそうという意味で一致しているか?)
ただ、24年の東京都知事選挙で何人も立候補させ、ポスターも立候補者と全く関係ないものだったり、兵庫県知事選挙では「事実上の2馬力」で知事を応援したりなど、これまで「選挙制度の穴」をついて”お騒がせキャラ”として世間に完全に認知されています。
「法律違反ではない」ことは間違いないと思うのですが「やってはいけないと社会通念上思われること」であると思われることばかりしているので、一般的な感覚すらも怪しい人たちです。
そのNHK党に所属している斉藤氏を与党入りをさせ、参議院での多数派工作に躍起になっているということです。
日本維新の会は参議院では公明党よりも勢力がないために法案成立のために必死で、1人でも吸収しようという魂胆なのでしょう。
ただ、怪しい人たちすらも会派を増強させたいがために入れるというのは支持者が離れるとは考えないのかな? とは思ってしまいます。
自民党は国民生活を良くするためというより、多数派工作と政局に躍起になっているということを示した一件だなと思いました。
第3位 『ガザ復興費用10.6兆円 建物8割が被害、拠出分担も不透明』
時事通信10月15日の記事より、
『イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が発効したパレスチナ自治区ガザでは、荒廃からの復興の道筋が今後の課題の一つとなる。
ロイター通信によれば、国連開発計画(UNDP)当局者は14日、ガザの復興費用が700億ドル(約10兆6000億円)に達するとの見通しを公表。ガザの和平を維持しつつ、膨大な資金と時間を要する再建には国際社会の負担と協力が不可欠だ。
世界銀行は2月、ガザの復興には532億ドル(約8兆円)が必要との試算を示した。当時続いていたイスラエルとハマスの停戦が崩壊し、今回の和平案合意まで激しい戦闘が長引いたことを受け、必要な資金額が大幅に増加したとみられる。
ガザでは既に大量のがれきの撤去が始まった。国連の推計では、ガザ全域で約8割、イスラエルが一時制圧を目指して攻勢を強めた北部の中心都市ガザ市では9割を超える建物が壊滅的な被害を受けたとされる。
ただ、撤去作業中も不発弾が多数発見され、重機も極端に不足しているもようで、想定通り進むのは難しいとの見方もある。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、ガザ当局は10日の停戦発効から14日までの時点で250人以上の遺体が新たに見つかり、1万人超が依然がれきの下敷きになっていると見積もっている。
トランプ米大統領は13日にエジプトで開かれたガザ和平に関する国際会議で「復興が始まる」と強調。会議に駆け付けた欧州やアラブ諸国などの首脳らを前に「裕福で力を持つ多くの国々がガザ復興を支援し、必要なだけの資金を出すと言ってくれた」と主張した。しかし、各国間で資金の拠出分担や使途など詳細が詰まっているとは言えないのが実情で、関係国の利害調整が難航する恐れもある。』
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現状、停戦要件が履行されつつあるために中東には「仮初の平和」というのが続いており、
復興の話に移りつつありますが、いったい誰が復興費用を負担するんだ? という話になっています。
(個人的には停戦を破棄してイスラエルが完全制圧に向けて動く可能性もあると思っていますが)
こんな時に無意味に真っ先に手を上げるのが日本です。「外為特会」は予算措置を伴わないことを理由にバンバンとお金を海外に配っているのです。しかし、外為特会はアメリカ国債売却費用から成り立っており、アメリカ国債を買った方法は日本国債発行です。
そして国債は税金で返済しなくてはいけないという世間の通念上の考えがあるために「海外への金配り=税金で支払う」という最終的な認識で間違いないことだと思います。
仮に、お金を出すのであれば「国連敵国条項を完全に廃止」するぐらい突きつけなければならず、
それができないのであれば「ATM」にされているだけです。
まぁ、残念なことにそれを知っておきながら「自らの懐を密かに潤す」ために海外へのお金配りをやめないんでしょうけど……。
第2位 『公明と国民民主が接近、「野党として政策実現」で思惑一致…自民と全面対決しきれない点も同じ構図』
読売新聞10月17日の記事より、
『公明、国民民主両党が接近を強めている。公明は自民党との連立政権解消を決め、国民民主も自民と日本維新の会の政策協議入りを受け、連立入りに応じない姿勢を鮮明にした。野党の立場から政策実現を目指す思惑で双方は一致している。
「国民民主とは団結し、連携を取りながら政策実現を図っていくと約束した」
公明の斉藤代表は16日の国民民主の玉木代表との会談後、記者団にこう述べ、政治改革や減税、教育などの分野で連携を強化していく考えを示した。玉木氏も記者団に「政策面含め、連携することで合意した」と語った。
会談では、公明が7月の参院選公約に掲げた政策に充てる財源を生み出す「政府系ファンド」の創設や科学技術予算の増加などの実現に向け、協議体を設置することで一致。国民民主が主張する所得税の非課税枠「年収の壁」引き上げについても連携を深めることを確認した。17日にも協議を始める方針だ。
両党はこれまでも政治改革を中心に共同歩調を取ってきた。3月には企業・団体献金の受取先を政党本部と都道府県単位の組織に限定する規制強化案をまとめた。政治資金を監査する第三者機関「政治資金監視委員会」の設置を巡っては、昨年の臨時国会で政策実現の手順などを定めるプログラム法を成立させており、具体化を急いでいる。
公明内では自民との連立解消に伴い、「存在感の低下は避けられない」(党ベテラン)との危機感が高まっている。国民民主も、維新が自民との連立に向けて政策協議を進めていることから、自民との連携の機運がしぼんだ。公明と国民民主は、政策実現力を維持するという点で利害が一致し、接近している格好だ。
両党は自民と維新に攻勢もかけている。維新が企業・団体献金の禁止を主張してきたことから、玉木氏は16日、「維新には(自民に)禁止を迫ってほしい」と要求した。もっとも、政策実現には自民との連携も求められ、16日には自民、国民民主両党の政調会長が年収の壁を巡って会談した。公明も同じ構図で、自民と全面的な対決姿勢は取りきれないのが実情だ。』
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国民民主党を支持してきた方からも「公明党と接近しないで欲しい」と不満の声が上がり、玉木氏はこの後SNSで弁明するほどの問題にまで発展しました。
実際のところ、公明党は連立与党ではなくなるために影響力の低下は避けられません。公明党と話し合ったところで政策が実現する見込みは低いです。
玉木氏は選挙協力などは否定していますが、
政策実現が薄い少数政党に対しての連携は「国民民主党は組織票が狙いではないか?」と邪推されても仕方のない行動だと思います。
玉木氏は政策実現をしたいのであれば、自民党や維新の会と連立しないまでも政策協議を続けていくべきでしょう。
ただ、維新の会に先を越されたことから「焦り」とも取れる行動だと思います。しかし、この協議や連携は「悪手」と言われても仕方のない行動ではないかと思われます。
第1位 『「高市首相」誕生の公算…維新、立憲民主と国民民主に統一候補協議の打ち切りを通告』
『自民党の高市総裁と日本維新の会の藤田文武共同代表は17日、連立政権の樹立に向けた2回目の政策協議に臨み、維新が実現を求める12分野の政策項目を巡り意見を交わした。両党は協議後、「大きく前進した」との認識を表明した。20日の合意を目指し、詰めの調整を急ぐ。維新は、21日召集の臨時国会での首相指名選挙に関し、立憲民主、国民民主の両党に協力の協議を打ち切ると伝え、高市氏が首相に選出される公算が大きくなった。
2日連続となる協議は国会内で約1時間行われ、自民、維新両党の幹事長、政調会長が同席した。藤田氏は会談後の記者会見で「(合意文書の)文言、解釈、(個別政策の期限となる)期日も含め最終の調整を行っていく」と述べた。自民の小林政調会長も「全体として大きく前進したと捉えている。限られた日数でしっかり詰め切っていきたい」と語った。
この日の協議では、自民が維新の政策要求への考え方を示した。維新幹部によると、国会議員定数(衆院465人、参院248人)の削減については、自民は方向性は受け入れた。今後、削減幅や期限設定などを詰める。企業・団体献金の禁止と2年間の食品の消費税率0%への引き下げに関しては隔たりを埋めきれなかった。
維新の吉村代表(大阪府知事)は、政策要求への回答を総合的に判断して合意するかを決めるとしつつ、議員定数の削減を「絶対条件」と位置づける。維新は、定数の1割減を目標とし、21日召集の臨時国会での関連法案の成立を掲げている。
両党は詰めの調整が整えば、20日に党首会談を開き、正式に合意する段取りを描いている。』
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日本維新の会が閣外又は閣内の協力かは不透明であるものの、
野党統一候補には乗らないことが確実のために、
「高市政権」が誕生することは間違いがないようです。
一方で自民党は維新の会が事実上協力をしてくれれば過半数を超え越えられるようにするために衆参での多数派工作を行っており、
NHK党だった議員とまで参議院で統一会派を組むまでになっています。
更に気が付けば自維連立(又は連携)の条件が企業献金禁止から議員定数削減に置き換わり、さらに様々な政党が一致するという状況なので気分が暗くなった週末でした。
※議員定数削減の問題は10月20日に出す予定です
いかがでしたでしょうか?
今週は村山元総理死去など政治トピックスが多い印象がありました。
皆さんの10月第3週の注目したニュースを教えていただければ幸いです。