ーそれからー
「この前はお疲れ。これ給料」
社長はドサっと現生を事務所の机に置く。
「口座振り込みとかないのかよ…」
「そんな大金動いてたら明らかに怪しいでしょ。そのお金も口座に入れないほうがいいよ」
「そういうもんなのか…」
いまだに現実離れしすぎてよくわからない。
あれから結局、あの息子は助からず、社長は今、養子を取る取らないの話をしているが、上振れした人間が養子を取るのは、それはそれで今の時代難しいとかなんとか。
「2人目とかつくらないんだな」
「社長、事故で玉潰してるから、2人目は作れないはず」
「あーなるほど。だからこそ必死に臓器移植も探したのかもな」
実際、何人も子供がいたらそんなに1人にこだわらなかったかもしれない。人の親じゃないから知らないが。
「ミヅキさんがよろしくってさ。実行してくれてありがとうって。報酬に色もついてるはず」
話しながら札を数えていたら聞いてたより多いのはそういうことか。
「最後、ちゃんと笑ってたよ。これで悔いなく逝けるってさ」
「そりゃなにより」
自分の願いを叶えて、自分以外に殺されて。最期とはいえ、至れり尽くせりだったのだから彼女も幸せだろう。
「さて、改めて。ようこそサツキ。次はどうやって世界を不幸にする?」
ここは"世界を少し不幸にする団"、“SOF団"。あなたが努力し、絶望し、それでも報われないのなら、依頼してほしい。一緒に世の中を少し不幸にしよう。