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3/8

ー由来ー

 「うちの組織のモットーはさ。"世界を不幸に"なんだよ。"世界を少し不幸にするための団"SOF団」


 ペストマスクの男はいう。


 「あ、ペストマスクの男って言いにくいでしょ。"社長"で良いよ」

 

 「…突然人の心を読むなよ。…なんだ、その厨二臭いモットーは」


 そして訴えられそうな名前は。


 「人生って平等じゃないじゃない?そんなのわかってる。でもさ、それでも報われたいって、思ってしまった人間たちは、報われるために死ぬほど努力をするわけじゃん?」


 恵まれなくて、足りなくて、欠落していて。そんな現実を受け入れられた人たちはまだいい。でも、受け入れられなかった俺たちは、それでも恵まれた人たちの幸福が欲しくて、必死に努力して。


 「でも努力って結局、報われないんだよね。いつだって天性が、運が、僕たちを崖から突き落とす」


 社長はハンバーグをつつきながら言う。


 「僕たちは必死にマイナスをゼロにしているのに、思わぬことでまたマイナスに戻る。なのに、初めからプラスの人間は、足し算や掛け算が行なわれて、どんどんプラスになって行く。世の中は全くもって不平等だ」

 

 話しながらハンバーグをつつくから、もう原型をとどめていない。早く食べればいいのに。


 「だからさ、決めたんだ。もう絶対に幸せに追いつけない年齢になった時に。少しでも、持っている人間を、こちら側に引き込もうって」


 社長はボロボロのハンバーグをフォークで器用に救って食べる。


 「だから裏稼業って…そんな簡単に作れるもんじゃないだろ…」


 その行動力には目を見張るが。


 「そうだねえ…大変だった。慣れないことをいくつもした。でも、努力だけはずっとしてきたからさ。できちゃったんだよね。なぜか、運にも天性にも邪魔されなかった」


 社長は感慨深く言う。表情がわからないのに感情がよくわかる人だと思った。


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