ボタン
春をテーマにした短編小説です。
どうぞお楽しみにください。
あの頃のように、今も卒業式の時にあこがれの人からボタンをもらったりするのだろうか?
私は道端を歩いているときに、落ちているボタンを見つけた。
学生服のやつだ!!思わず手に取った。
誰が落としたのだろう?
勇気を出してもらったものだったら?
いや、それなら大事にしまっておくだろうから落とさないハズ。
誰かに渡すためだったら?
あー、あるかも。
そんなことを考えて立ち止まっていると、
「すみませーん。それは僕のです」
と、高校生の男の子が自転車でやってきた。
取れかけていたものが落ちたとのこと。
私は彼にボタンを手渡した。
そうか、三月だからといって、みんなが卒業式ではないものね。
そして三月、私はお引越しの準備をしている。
あと少しで赤ちゃんが生まれる予定だから。
手狭になったこの部屋とも今日でお別れだ。
荷物を片付けていると学生ボタンが出て来た。
あ、懐かしい。
「パパ!見てこれ!!」
夫が片付けの手を止めて、私の元へやってきた。
「ああ、懐かしいな。君が拾ってくれたボタンだね」
私はボタンを彼に手渡した。
開け放った窓から、春の優しい風が吹いてきた。
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