雨宿り
ド――――――――――――――!!!
梅雨の終りの通り雨は、時折人に大変厳しい。
ウォーキング中にいきなり降り出した雨の、激しいことといったらもう。
「ヤバイ、空中が白くなってる、何コレ、煙?」
公園内でウォーキングをしていた私は、咄嗟に大きな木の下に入った。
少し歩くと、比較的大きな休憩所があるんだけど、このものすごい豪雨の中では移動もできない。
「ちょっと、雨宿りさせてね。」
大きな木にご挨拶など。
…だって誰もいないし、豪雨の中一人でいるのってさ、案外寂しいって言うか、心細いって言うか!!
大きな木の下は、思いのほか快適だ。
雨もはじいて?くれるし、心地よい風も吹いてくる。
ボーっとしてるのもなんなので、木の幹なんか観察したりして。
ふむふむ、意外と表面はごつごつしてて…よく見ると蟻がいるな。
蟻を追って、木の幹を見上げると、葉っぱが生い茂って…自然って感じ。
わっさわっさの、ふっさふっさの、みどりーって感じ。
うーん、私って語彙力ないな!!まあいっか!!!
勢いのある雨も、見てると結構面白い。
あっという間に、通路に水溜りができていく感じとかさ。
さっきまで乾いてたのに、水溜りがあちらこちらにできてる。
…すごいな、コレ止んだ後帰るの結構大変そうだ。
地味にこの公園、道が凸凹してて水はけ悪いんだよね。
地面で跳ね返ってる雨も面白いけど、空中の雨?もまた面白いんだ。
なんかさ、雨の勢いが、場所によってちょっとづつ違うんだよね。
風が吹いてるからかな?
こう、時折、雨の塊っぽいものがずずいっと動くというか、流れるというか…。
あ、ほら、なんか通路の向こうに、雨の塊が。
…ん??
なんだ?
雨の塊が…こっちに、来てるような…。
ざあ―――――――――――――!!!
はい?!
雨!!雨が!!
雨が雨宿りしとる!!!
大きな木の下で!!!
いい年した私と!!
けっこうな雨の塊が!!!
一緒に雨宿りですとー?!
…雨なら雨らしく、堂々とびしょびしょにならんかい!!!
でもまあ、見ず知らずの雨だし、突っ込むわけにも行くまい。
私はおとなしく、明るくなり始めた空を見ながら黙って、雨の止むのを待つ。
サ――――・・・
おお、ちょっと雨足が弱まってきたぞ。
ざあ――――・・・
雨宿りしてる雨も弱まってきた!
…雲の流れが速い。
あっという間に、雨雲が流れていく。
あ、青空が出てきた。
もうそろそろ止むな。
・・・日が射してきた。
あ!!
虹、かかってる!!!
虹っていいよね!!!
めっちゃ幸せな気分になれるし!!
大喜びで、しばし虹を見つめていたら、雨はいつの間にか止んでいた。
…雨宿りしてた雨も止んでる。
大きな木の下だからさ、濡れてない所もあるけど、さっき雨がいたあたりは、びしょびしょで…。
「あれ、こんなところに、木の芽が出てる…。」
濡れてるところを見たら、この木の子供?小さな芽というか、枝が生えていた。
ああなんだ。
さっきの雨は雨宿りじゃなくて、小さな芽に、水を届けたかったのか。
雨の優しさを感じて、ニコニコした私は。
虹が出る空の下、急いで家に帰ったんだけど。
家に入ったとたんにまーた豪雨が降り始めたんだよね!!
改めて、雨の優しさを、感じたという、お話。