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あの子もその子も男の娘  作者: えま
11/33

第11話 かこの続き

 次の日、金髪の子は転校となった。

 しかしこれは、いじめが原因だからではない。


 転校となった理由は引っ越し。

 先生がこの件を、いじめとして処理しなかった。

 そのせいか、いじめをしていた男女四人にはなんの制裁もなかった。


 なんで、いじめた奴は残り、いじめられた方が出ていかなければならないのか。

 不思議でしょうがなかった。


 また次の日。

 俺がいじめのターゲットに変わった。

 机やノートに落書きをされていた。


 俺はその日まで、言いたいことはなんでも言っていた。

 良いことも、悪いことも。

 今となって思う。

 知らず知らずのうちに、敵をつくっていたのだろう。

 そのせいか、友だちとかいなかったし。


 はじめは平気だった。

 むしろ言い返せばいいのだから。

 しかしそれは火に油を注ぐ行為で。


 いじめはだんだんとエスカレートしていった。

 男女関係なく、俺をいじめる。

 男は暴力。女は陰口など精神的に。


 そんな生活が小学校卒業まで続いた。

 正直、精神的に参っていた。

 しかし中学にあがればもう大丈夫だろう。


 そんな考えを抱いていた。

 しかしそれはあまかった。


 中学ではさらに酷くなった。

 他の小学校から来たやつに同じ小学校だったやつが俺のことをこう言った。


「あいつはいじめてもいい奴」


 それはすぐに広まった。

 知らない奴からいじめられるのはさすがにこたえた。

 金を盗られたり、血が出るまで殴られたり。


 この時からだろうか。


 休むことが少しずつ増え、そして中学二年から引きこもるようになった。

 幸いかはわからないが、親は父さんしかいない。

 母は俺が三歳の頃に亡くなったらしい。

 父さんは朝早く仕事に行き、夜遅くに帰ってくる。


 時おり休んでもバレなかった。

 そして中学三年。

 どこの高校へ行くか。


 俺はせめて高校ぐらいは、楽しく過ごそうと思った。

 同じ中学のやつが選ばなかった高校を探していると。


 この高校があった。

 評判が悪かったからだろう。

 誰も選んでいない。


 無事入学でき、こんどこそ、と意気込んでみたのはよかった。

 入学式を終え、教室へ向かい、友だちをつくろうと思い、話しかけようとし――。


 声が、出なかった。

 怖かったから。

 また誰かが、いじめてくるのではないか。


 そんな不確かな恐怖が俺を襲うようになった。

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