3.事故紹介
拳でわからせるんだよ
byグルーパー
「はいはい、サニー、飯にしよう、箸は使えるかい?」
グルーパーはサニーに訪ねるが、サニーは首を横に振る。それを見て直ぐにシガレットがキッチンからナイフとフォークを持ってくる。
「サンクス、シガレット」
「おう」
「ナイフとフォークは使えるかい?」
サニーは首を横に振った。
それ見た瞬間、脊髄反射ばりの速度でグルーパーがシガレットの方を向く。
「ファッキューシガレット」
「ああ? ぶっ殺すぞ」
シガレットは暴言を吐く。
「おい、子供の前で何言ってんだオメーらはよぉ!」
メロカルは柄にも無く常識人振る。
「うるせえチンパンジー野郎」
「はぁーこのクソ、ウキャキャウキャキャウッキーとか言ってやろうか?」
「メロカルさんはゲーセン動物園に帰って下さい」
ハードロックが既に疲れた表情でツッコミを入れる。
「さて、サニー、テーブルマナーを教えるよ。良いかい?」
サニーは首を縦に振る。
「まず、持ち方何だが、右手にナイフ、左手にフォークだ」
グルーパーはナイフとフォークを持たせると懇切丁寧に食事作法をサニーに教えた。
最初はたどたどしくナイフとフォークを操っていたが十分もしないうちに大体の使い方をマスターする。
「こうで、いいの?」
サニーは自信が無いのかグルーパーに聞く。グルーパーは静かに頷いて良く出来ているとサニーを褒めた。
「さて、これだけ出来れば大丈夫。最初は厳しくするけどちゃんと出来るようになったらちょっとマナー違反でもとやかく言わないようにするよ」
そう言うとサニーに食事を続けさせた。
「さて、飯にするか」
そう言うと男たちは箸を持つと大皿に山盛り積まれた焼きたての肉を我先に取り始める。
「あ、自己紹介がまだだったね、俺はグルーパー、職業はストライカーとスカベンジャーだ。主に食料調達と料理が役割さ」
簡単に紹介を終えると右隣にいるシガレットにアイコンタクトを送る。
「俺はシガレット、職業はアウトローとメカトロニクス、主に道具や武器のレストアをしている。あと時よりうるせえ妖精が飛び回ってるがあればバンシーっていう。あんなのでも俺のバディだ。今は寝ているから会えないけどな」
シガレットはウイスキーを一口含みながら隣のヴォトカに順番を回す。
「僕はヴォトカ、職業はライダーとテイマー、各種エネミーのテイムと使役が主な役割、君を拾ってきたコボルトも僕がテイムしたものだよ。それと頭の上にいる子狼はロボ、かわいいだろ」
ロボは「ワン」と鳴いて返事をする。その言葉が途切れるのを見計らってバレットがバトンを繋ぐ。
「俺はバレット、職業はスナイパーとトレーダー、主な役割は行商と交渉だ。それとこいつがエアロ」
バレットの後ろに飛んでいる猛禽類型の機械を指さして言う。
「じゃあ、ハードロック」
「あ、お、うんちょっとまって」
咳払いをした後、ハードロックが話し始める。
「自分はハードロック、職業はシールダーとブラックスミス、ここでは主に武器と金属生成が役割だな。それとコイツが」
ハードロックの足下にある大盾をノックすると光と共に亜麻色の髪に白いドレス、煌びやかな金色の刺繍が美しい女性が現れる。目鼻立ちはくっきりと美しく優しい表情をしていた。
「私はアテナと申します、ハードロックにバディです。何かあればお申し付け下さい」
一瞥すると直ぐに盾へと戻っていった。
「さて、俺か」
メロカルは腰に付けた双剣を後方へ投げる。
剣は変形を始め、融合し、一人の女性型のアンドロイドになる。
「俺はメロカル、職業はショートストップとスカウト、主に探索が役割だ。こっちはバディのネゲヴ、剣にネゲヴって名前はご愛敬だ」
「私は、ネゲヴ、よろしくお願いします」
身長八十センチほどのフィギュアのようなアンドロイドは機械的な回答する。
「次は俺だな」
モラセスがため息をついて言葉を探す。
「モラセス、職業はボイズナーとアルケミスト、主に劇毒物、薬の生成が役割だ。まぁ、なんだなんかあったら声を掛けてくれ」
モラセスと目を合わせたサニーは急におどおどし始める。
「大丈夫だよあんな殺人鬼みたいな男でも悪い奴だから」
「なんのフォローにもなってねえな、グルーパーよぉ!」
「いや、その存在でマトモを語っても、ねえ?」
「はー、ほんと、はー!」
「という感じで根っこはワルイヤツジャナイカラアンシンシテネ」
「おい、なんだそのカタコトは!」
「なんかこう、使命感が」
「モラセス、わるひとじゃない」
「わるいひと、いが抜けてる」
「モラセス、わいるひとじゃない」
「なんだかなぁ……」
グルーパーは笑いながら、サニーの頭を撫でて、彼女の食事を見守った。
男七人と幼女エルフの生活が始まった。
「ところで、職業言う必要あります?」
「オメーが最初に言い出したんだろ!」
しかし、まだ七人は知らなかった。このあとに待ち受ける試練を――――