宿舎にて
訓練の前に、キャラ紹介の回です!
キャラが増えてきたので、三人称視点を試してみています!
その晩、シーナ達7人は宿舎のラウンジに集まっていた。
「シーナ、そろそろ元気出しなよ」
「だって……魔力Sなのに適性ナシって……」
未だに落ち込んでいたシーナをレンは慰めようとするが、自分の特別感に少しの期待を寄せていたシーナのダメージは大きかった。
「いくら魔力があってもな〜? 適性が無けりゃ俺と同じだもんな〜!」
魔力がこの中では最も低く、シーナと同じく属性魔法の適性がないリードがニヤニヤと嬉しそうにちょっかいをかける。
「……リードは魔力もないくせに」
「なんだ、やんのか? お?」
「リード……女の子相手に喧嘩売るのやめなよ、みっともない……」
ぼそっと呟いたシーナの一言に突っかかるリードに、珍しいほど冷ややかなレンの視線が突き刺さる。
「お、おう……なんか、すまん……」
少し狼狽えると、リードは素直に謝った。
そこにパンパン、と手を叩く音が響いた。
「小学生のような喧嘩はそこまでにしてください。これから共に戦場へ行く仲間だというのに、そんなことでどうするんですか」
声のした方へシーナ達が振り向くと、そこには既にダイニングテーブルを囲むように座る3人のクラスメイトとカノンがいた。
カノンは続けて言う。
「まともに顔を合わせるのもこちらへ来てからは初めてです。自己紹介をしたいので、早く着席してください」
さも、ここは学校だと言わんばかりの態度で話す先生にうんざりした表情を浮かべるリードを宥めながら、シーナ達が席に着くと、カノンは満足げに「よろしい」と言って立ち上がった。
こちらの世界に来ておそらく年齢も自分達と変わらないのに先生気分の抜けないカノンにシーナは苦笑する。
「それでは、自己紹介を始めましょうか。まずは私から、カノンと申します。適性は水魔法でした。皆さんと比べて能力的な面では劣りますが、よろしくお願いします」
自己紹介を終えると自然と拍手が起きる。気づくと、すっかり教室の授業の発表を見るような雰囲気になっていた。
カノンが椅子に腰を下ろすと、次にカノンの隣に座っていたふんわりとした茶髪のボブカットの少女が立ち上がる。
「リーエです、えと……治癒魔法が使えます……!戦いはできませんけど、頑張ります!」
大人しげな雰囲気のリーエは治癒魔法が使えるらしく、魔力もS評価だったそう。
端的な自己紹介はハイペースで進んでいく。
次に立ったのは、淡い緑髪と背中に垂れるポニーテールが特徴的な少女。
「私はライラ。魔力がSで身体能力がA、適性は風魔法だったわ。よろしくね」
キリッとした目付きで、いかにもできるオンナ
という雰囲気のライラはそれだけ言うと自己紹介を終えた。
次は、銀髪の男子が腰を上げる。
「俺はセア、雷魔法が適性のヤツ。両方Aだけどレンには負けるつもりねえから」
セアもライラに続いて端的な自己紹介を終えるとそのままふんぞり返るように椅子に座った。
生意気な雰囲気にシーナはむっと顔を顰めるが、特にレンは気にしていない様子だった。
そのまま、リード、レン、シーナの順に自己紹介を終えると、再びカノンが仕切り始めた。
「まぁ、初日はこんなものでいいでしょう。これから生活を共にする仲間です、出来るだけ問題は起こさないようにしましょう。それでは、解散です」
カノンがそう締めくくると、セアは1人で自分の部屋へ、リードとカノンはそれぞれ別々に外へと出ていった。
「レン、どうしよっか?」
シーナがレンに問いかけようとすると、突然誰かに腕を掴まれる。振り向くと、そこには悪い顔をしたライラがいた。
「ごめんねレン、ちょっとシーナ借りるわよ」
「えっ?なんで急に……」
「借りるも何も、僕は構わないけど……」
きょとんとするレンをそっちのけにしてライラはシーナの耳元で囁く。
「ふふ、シーナ……随分レンと仲がいいじゃない? 色々と甘〜い話、聞かせてもらうわよ……!」
「えっ!? いやいや、私とレンはそういうんじゃ……!」
ボッと顔から火が出るほど赤くなったシーナを追い詰めるように、「リーエも女子会、したいわよね?」とまだラウンジにいたリーエに声をかける。
恐らく、状況が分かっていないながらもこくこく、と頷くリーエによってシーナは外堀を埋められてしまった。
「女の子ってそういうの好きだよね、楽しんで」
善意100パーセントでレンにそう言われれば、シーナは断ることも出来ず、抵抗虚しくリーエと共にライラの寝室へと連れていかれるのだった。
こうして夜は空け、シーナ達の訓練が始まる朝が来た。
今後のメインキャラクターとなるであろうメンバー、追加3人のキャラ紹介回でした!
濃いキャラを作れない自分の想像力のなさを恨んでいる……
三人称視点、どうでしたか?どちらの方がいいかなど感想くれると助かります!!
次回、ようやく訓練回です!
少し時間をスキップして、ある程度戦えるようになった勇者一行をお楽しみに!