属性魔法
お久しぶりです〜。
また投稿頻度上げていくのでよろしくお願いします。
「ご協力ありがとうございます、これで皆さんのデータが揃いました。2点ほど、イレギュラーはありましたけれど……いい兆候だということにしましょう」
そう言ったエリーゼさんは、どこか疲れたような表情をしていた。
"イレギュラー"というのは、恐らく両方とも私のことだと思う。っていうか絶対そう。
ひとつは、勇者にしか出たことのない両方Sという鑑定結果が私に出たこと。
そしてもう1つ。歴代の勇者一行は、基本的に例の基準を超えた5人のパーティーで行動していたという。
まぁ案の定、今回の鑑定では私とレンを含めて6人が基準を超えたステータスとなった。
ここまで来ると特別な感じがする上に、レンと同じ結果というのもかなり嬉しい。あくまで、力になれるという意味でね。
「それでは、この6人に加えて戦場へ出ることを希望する方々のみここに残ってください」
どうやら、戦場に行くメンバー以外も別で仕事があるらしく、戻ってきた使用人に連れられてどこかへと行ってしまった。
そして、この部屋にはエリーゼさん、そして私たち勇者一行の6人、そして先生だけが残った。
先生曰く、「生徒を戦場に行かせておいてのうのうと帰りを待つなど、私にはできません」とのこと。
残された数少ない記憶の中でもこんなにいい先生だった記憶はないから、異世界に来て初めて良さが見えた気がした。
「それでは、皆さんにはこれから魔法属性を調べていただきます。魔法にはいくつか種類があり、それを判別するのがこの魔水晶です。鑑定石と同じようにふれて頂けば魔法適性を表す色に光ります。例えば、勇者のレンさんなら……」
そう説明したエリーゼさんはレンの手首を掴み、魔水晶に触れさせる。すると、魔水晶は目が眩む程の光を放ち始めた。
「……と、このようにレンさんは勇者特有の光魔法を持っているので白く発光しました。他の属性だとここまで眩しくないので安心してください」
レンの手を離すとエリーゼさんはそう言った。
そして、鑑定石の時のように残された6人が順に調べ始める。
身体能力がS評価だったリードが、どの属性にも魔法適性がなくて落ち込んでいたのは少し面白かった。
そして、私の番が来た。
エリーゼさんからの視線を感じながらも、ゆっくりと魔水晶に触れる。
すると、魔水晶は眩いほどの光を――放たなかった。
「あれ……?」
何度かぺたぺたと触れ直してみるも、魔水晶から光は放たれなかった。
(これって、もしかして)
どこか残念そうなエリーゼさんは言った。
「シーナさん、貴女に属性魔法の適性はありません。諦めてください」
「そんなぁ……」
「安心してください、基礎魔法と呼ばれる一部の魔法ならば属性への適性がなくても使えますので。それにしても、魔力がSで属性魔法の適性がないというのはなかなか……」
「これ以上はやめてください……」
容赦なく傷口を抉ってくるエリーゼさんに命乞いをすると、「ふふ、すみません」と言ってにっこり笑った。綺麗だけど許しません。
「それでは、これで真の勇者一行の選出は終わりです。明日からは1ヶ月の育成訓練が始まりますので、今日のところはもう解散にしましょうか」
エリーゼさんはそう締めくくると、使用人を呼んだ。
どうやら、宿舎までの道案内をしてくれるらしい。
私は、いよいよ現実味を帯びてきた戦いと、訓練という嫌な響きに溜息をつきながら宿舎へと歩き始めた。
ようやく説明回はほぼ終わりました!
次回からは訓練編になると思います(大まかにしか話を決めていないために話がブレがち)
これからもよろしくお願いします!