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ステータス

ステータス鑑定回になります!

本当はもう少し長くするつもりだったんですが、文字数が増えすぎるかなと思い、2話に分ける形に!

 翌朝、私たちは随分と早い時間に図書館のような部屋に集められた。

 壁一面に並ぶ本棚にはびっしりと本が詰められていて、背表紙に書かれた文字は私の知らない文字だったけれど、ここに来た際の特典なのか何故か意味は理解出来た。

 図書館の奥、事務机のような場所に座る、大きな三角帽子を被った女性に私たちを連れてきた使用人さんが声をかける。彼女と少し話した後に使用人さんは一礼して部屋を出ていった。

 女性はこちらに歩いてくると、自己紹介を始めた。


「初めまして、勇者とその御一行。私は宮廷魔術師のエリーゼと申します。これから何度か顔を合わせることがありますので、覚えていただけると助かります」


「初めまして。それで、今日こそ徴兵の基準を教えてくれるのですよね?」


 エリーゼと名乗った女性はそう言うと微笑んで一礼した。

 エリーゼさんはとても綺麗な人で、三角帽子とローブ、そして片眼鏡から「魔女」という言葉がしっくり来るような容姿をしていた。

 先生が前に出ると、早速昨日の話を掘り返した。腕を組み、話を急かす姿はとても苛立っているように見える。

 私はいつも通り隣に立っているレンに耳打ちする。


「先生、ここに来たからずっとイライラしてたもんね。クマも酷かったし」


「そうだね、多分寝てないんじゃないかな。でも、そういうシーナも少しクマが目立つよ」


「うわ、レンって私に関してはデリカシーないよね」


 コソコソと気の抜けた会話をしていると先生にじろりと睨まれた。こわっ。

 エリーゼさんはそんな様子をくすくすと笑いながら、先生の問いに答える。


「ええ、今日はその基準となる資料を測定するために集まって頂きましたから。用意は済んでいますので、こちらへどうぞ」


 そう言うと、エリーゼさんは事務机の方へと歩いていく。

 私達が事務机を囲むように並ぶと、エリーゼさんは机の引き出しから石版のような物を取り出した。


「これは鑑定石と呼ばれるもので、触れた人物の魔力と身体能力を浮かび上がらせてくれます。一番下がF、そこからAへと評価が上がっていき、Aの上に最高評価のSがあります」


 一部の男子から「おお〜」という声が上がる。

 自分の能力を測るというのは正直、私もワクワクするけど、戦い行かされるかもしれないのは少し不安でもおる。


「その一定基準以上の数値を出した人間のみが徴兵されるということですか?」


 先生は変わらず質問を重ねる。


「ええ、その通りです。数値のどちらかが最高値のS、または両方の数値がAの方のみ徴兵されます。とは言っても、騎士団や魔法師団による訓練期間がありますのですぐに戦場へと放り込まれる訳ではありませんので、ご安心ください」


 エリーゼさんの話によると、思いの外しっかりとケアはしてくれるらしい。

 けれど、そんなこと言われたって戦いなんて怖いものは怖いし、出来ることなら行きたくはないんだけれど。


「それでは、早速始めましょうか。じゃあ、金髪の貴方から」


 エリーゼさんはおもむろに鑑定石をレンに差し出した。


「わ、分かりました。それじゃあ失礼して……」


 レンはおっかなびっくりといった様子で鑑定石に触れると、表面に何やら光る文字が浮き上がってきた。

 そこには――


「身体能力、魔力、共にS。やはり、貴方が勇者ですね」

 

 初めから最高値を叩き出したレンに、図書館内は一気にざわついた。


「れ、レン……!」


 早速レンの戦場行きが確定してしまったことに私は動揺した。

 レンは震える声でエリーゼさんに質問をする。


「そ、その……僕が勇者って……?」


「ええ、歴代の勇者一行を率いる勇者は皆、金髪に碧眼という共通の容姿を持っていたという伝承があるのです。貴方の姿はそれと一致していましたから。今までに両方の数値がSだった人は各世代に1人だけの勇者しかいないんですよ」


 「そうなんですね……」


 「レン、大丈夫……?」


 ショックを受けているんじゃないか心配になってレンの顔を覗き込んでみると、思いの外落ち込んでいる様子はなくて、それよりももう覚悟を決めたような顔をしていた。

 やっぱり、レンはすごい。

 そんな話をしているうちに、鑑定石は光を失った。


 「それじゃあ、他の方にも回していきましょうか。隣の貴女、どうぞ」


 「シーナ、ほら」


 「えっ、あっ私?私なの?」


 あまりにも自然な流れで鑑定石を回され、ちょっと挙動不審になってしまった。

 レンがくすくす笑ってる。めちゃくちゃ恥ずかしい。

 けれど、怖気づかないうちに、いっそ恥ずかしさに便乗して思い切って鑑定石の表面に手を触れる。

 ええい、ままよ!

 そしてそこに映し出された文字は――


 「両方、S……」


 そう、私は呟いた。

 この時点で私の戦場行きも確定。

 再び図書館はざわつきを取り戻した。

 レンは自分が勇者だと言われた時よりも複雑そうな表情を浮かべ、エリーゼさんも目に見えて動揺した表情になる。


 「……本当ですか?見間違えでは?」


 念を押すように確認してくるエリーゼさんに、私は鑑定石に浮き上がる文字を見せつける。


 「たしかに、身体能力、魔力ともにSです……」


 「はぁ〜……」


 なってしまったものはしょうがないけれど、私は大きなため息をつく。


 「これって、シーナも勇者ということですか?」


 動揺を隠せない様子でそう呟いたエリーゼさんに、レンがそう問いかける。


 「いえ、勇者は時代にひとりと決まっています。ならば、これは天然モノでこの能力値……?いえ、今はそれよりも皆さんの鑑定を済ませてしまいましょう……」


 「だったら次は俺が!」


 エリーゼさんはレンの問いに答えつつも、ぶつぶつと独り言を言い始める。

 そうして、リードが次の番と食いつくのをきっかけに、クラス全員の鑑定が始まった。




 ――そして、全員の鑑定を終えても、両方の数値でSを出す者はレンとシーナ以外に誰も現れなかった。






早速主人公補正入りましたね。

そろそろ訓練が始まります……!

近々キャラ紹介も書くかも(文中では一人一人説明しきれる自信が無い)です!

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