確かに僕はやっています
それでも僕はやってない
そんな映画があった気がする。
午前7時30分、電車通勤中の僕は右手を見知らぬサラリーマンに拘束され凶弾されている。
「お前がこの子を痴漢した所を見たぞ。次の駅で降りてもらおうか!」
はい痴漢しました。僕は痴漢をしました。事実です。でもそんなに叫ぶことなくない?彼女に向かって指差してるから誰が被害者か特定されるし、そんな大声で言われたらさすがに可哀想だよ。黙って触られてた方がマシだったと思っているかも知れないじゃないか。それに護身術を習ってる僕にはこれくらいの拘束外すのは簡単だが痛いじゃないか。腹が立つ。
周りを見ると僕を睨む者、気持ち悪そうな目で見る者、我関せずな者、他にも色々といるが、女の子をニヤニヤと観察している者もいる。僕が蔑まれるのはいい、実際にやりましたから。でも君のせいで彼女も注目の的になってしまっている。可哀想だ。そんな現状を僕は許せない。だから僕は叫ぶんだ。
「やってないことをやったと言われた人の気持ちがわかるか!?第一君は僕の隣にくっつく様にいただろう!僕は誰かが痴漢をしている所を見て、その手の先を確認したら君だった!そして目が合った瞬間に僕を痴漢だと叫んだ違うか!?」
彼女を指差しながら僕は言った。そう僕は見てしまったのだ。左尻を揉んでる僕以外に右尻を揉んでる者がいた事を。そしてそれは彼だと言うことを。
目が合った瞬間、挨拶程度に笑顔を向けたのに彼は僕を拘束した。自分の罪を有耶無耶にさせ、全てを擦り付ける人を許さない。罪は償うべきだ。彼は顔を引きつらせ慌てはじめた。言い訳を並べているが、どもって何を言っているかわからない。当たり前だ成功したと思ったら反撃されたのだから。さらに僕は堂々としているから周りも僕のことを信用し始めている。これは勝ったな。ではトドメを決めよう。
「君が言った通り次の駅で降りようか。駅員の前でしっかりと話をしてもらおうじゃないか」
拘束された手を使い逆に彼を拘束し、僕は態々スマホを取り出し上司へ電話する。今痴漢を捕まえたから遅れますと周りに聞こえる様に喋る。これで彼はもう逃げ切れない。
周りから拍手が起きる。僕はヒーローになった。さあ彼を付きだして凱旋だ。
「あの......」
被害者である彼女が話しかけてきた。僕は笑顔で応える。
「何だい?もう安心していいよ」
惚れてもいいんだぜ?は心の中に留めておこう。
「......この2人に痴漢されました」
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