恋する瞬間。
「ちょ、もう少し離れろ!」
「やーだ。」
こんなやり取りをし始めて、早30分。
事の発端は、なんだっけ。忘れた。
「とりあえず、離れろ!皿が洗いにくい!」
「んじゃ、俺も手伝う!洗ったお皿頂戴?」
「はいはい。なぁ、なんであたしなんかと付き合おうって思ったんだ?」ポツリとアリスが呟いた。
「んー?それはね、内緒かな。」とレオンの表情が少し曇る。
「なんだよ。それ。」
「これで最後?」
「最後。ちょっと、出てくるから、留守番頼むな。」
「あ、行ってらっしゃいのチューは?」
「あるか!レオンのバカ!」
「ごめんごめん。気をつけて行ってらっしゃい。」とレオンは笑う。
「ほんと、そう言われると、父親にしか思えねぇわ。いい父親になれるんじゃねーの?」とアリスは苦笑いを浮かべる。
「アリスちゃん、俺と結婚する?」
「は?なんでそこまで話が飛躍するんだ。」
「アリスちゃんがいい父親になれるって言ったからかな。俺は、アリスちゃんのウエディングドレス姿見たいな。」
「いや、いい父親になれるって言ったけど、あたしは、母親になるんなんて一言も言って・・・ない・・・・。」そう言いながら、だんだんアリスの声が小さくなっていく。
「ん?どうしたの?」とレオンがアリスの顔をのぞき込む。
「いや、かっこいいなって・・・・思っただけ・・・・」と言うとアリスの顔がぼっ、と一瞬にして真っ赤になった。
「ありがと。アリスちゃん。」と言ってレオンは、アリスの頬にそっと口付けた。
「な、な、な、なんで!ば、バカでしょ!?」と顔を真っ赤にしたまま玄関を飛び出た。
「可愛いなぁ。ほんとに。」と嬉しそうに呟く。




