第4話 僕は捕まる
第4章 僕は捕まる
「あわわわわわわ‥‥」
ビィー!キシャー!ドドドー!ガァー!グォー!
辺りにいたらしい、あらゆる生き物が我先に逃げる…
「セ、セバスチャ~ン」
「はい。士郎様」
「威力が凄いんだけど~」
「神様ですから」
その後、いろいろ聞いて分かった事は、神のエネルギーはあまりにも凄いので、手加減をしないと大変らしい。
そのために、田舎からスタートにしてくれたらしい。
結論:神様は凄いスペック。
セバスチャンの未来予測は凄かった。
「ん?」
先程作ってしまった〈クレーター〉から何かの気配がする。
しばらく眺めて待っていると、中心部がキラキラ光り始めた。
そして光が集結し、なんと…、光ながらふわふわ浮くスライム?
が現れこちらを見ている……
「スライムって不死の能力が付いてるのね」
思わずそう呟いていた。
すると……
「士郎様。この〈スライム〉は神の光により浄化され〈神の僕:ゴッドスライム〉として転生しました。今後は会話はもちろん、意志の疎通も可能ですので、どうぞお使い下さいませ」
初めての家臣が出来たみたい。
取りあえずこのふわふわスライムに話しかけてみよう。
「こんにちはスライム君。言葉は分かる?」
「はい。分かります神様 。これからどうぞよろしくお願いします」
丁寧キャラでなんか可愛い。
「君はレッドスライムではなく、ゴッドスライム?名前はなんて言うの?」
「さっきまでレッドスライムだったのですが、神様のおかげでゴッドスライムに〈転生〉しました。名前はまだ有りませんので、付けて貰えたらうれしいです!」
なるほど、何にするかな……
「それでは君は今から〈スケさん〉ね」
「スケさんですね!良い名前をありがとうございます!」
素直な良い子がお供になった。
自分なりに考えてみたんだよね。
宛のない〈深淵探し〉旅ってやっぱり、ゴロウコウ様一行風が良いんじゃないかなって。
悪者を退治しながら世界を巡ったら、仲間が出来ていろいろ解決していると、大きな問題も解決出来ると思うのよね。
っていうか、この路線しかないかなって思う。
「それではスケさん参りましょう」
「はい。神様」
おっと…
「スケさんや。私のことは神様ではなく、コウさまと呼んで呼んでおくれ」
「分かりました。それではこれからはコウさまとお呼びします」
これぞ旅って気がしてきたよ~。
しばらく神の無意識(勘)で進んでいると、ついに町が見えてきた。
外周には城壁があり、中央にある門から人々は出入りしているように見える。
初めての異世界の町。
ちょっと緊張するけど楽しみだわ~。
ドキドキしながら、門に近付いていくと、行き交う人々が見える。
服装から察するに、何百年か昔のヨーロピアン的な感じ?
まだ結構離れている距離で見付かり(隠れてなかったので)、立派な鎧を着た40歳くらいの男性の守衛がこちらに向かって近付いて来た。
「ちょっとそこの君。来なさい。名前は?何その格好?何で裸足?職業は?ロンドの街に何の用事?どこの国の人?その飛ぶスライムは何?」
あー。しまった。。
昔のヨーロッパをTシャツとジーンズ。
しかも裸足スタイルで歩く私。
当然ガンガン質問されます…
イメージは普通に不審者かな?
それにしても、この質問の多い守衛の人、偉い人そうに見えるのに、見事なくらい物腰が丁寧。
こちらは不審者なのに。この国の好感度がアップしたわ!
「あー、エチゴ国から来ました。コウと言います。仕事は繊維の関係の商人です」
こんな設定だったっけ?
「エチゴ国?聞いたことがないな。密偵にしては悪目立ちし過ぎだし、どうみても丸腰で、武器を持っている様子もないし。裸足だし。商人にしては商品も持っていないし。ここまで不審点が多いと、判断が出来ないぞ。その飛ぶスライムは商品なのかい?」
楽しむための突撃が、段取り不足なグダグダ旅になってきた…
「このスライムはスケさんと言ってお供の者です。スケさんや。ご挨拶をしなさい」
「こんにちは。僕の名前はスケさんです。よろしくお願いします」
?!?!
『『『スライムがしゃべったーー!』』』
あら不思議。
この世界では、スライムは話さないらしい。
一気に注目の的になってしまったわ。
「みなさん。どうされたのですか?」
「い、いやいや。スライムがしゃべったら普通驚くだろう!」
「え、でもエチゴ国では普通しゃべりますよ?」
ということにしておこう♪
「え?そうなのか?本当に?」
「はい。ですから普通にしゃべってますし」
あとちょい、押し切っちゃえ~。
「いや。うーん。だが…しかし。最早どう判断して良いやら。。」
「ところ変われば、そんなものですよ」
早く通してくれないかな~
「よし。一旦預かりとさせて貰う。城へ御同行願おうか」
「えっ…」
初めての漫遊記は、開始直後にいきなり連行されました。