外伝 ロネシリィ・ノアルーフ その2
・・・また襲って来たりしないかな。人間の発想力は中々面白いのに。
そう思いながらあの時、魔法使いであろう集団がいたはずの所を飛び回る。
いないなぁ。ここだったと思ったんだけど。
「ギャァス!!」
ん?
「おおー。ドラゴンだ。こんにちは」
取り合えず、鳴き声と共に現れた白いドラゴン。
「キャッ」
問答無用でドラゴンが吐いた炎に短い悲鳴を上げてしまう。むぅ、ドラゴンに出会って喜んでいる間に不意打ちとは、驚いたからと言って出たとはいえ、少し恥ずかしい。
「・・・?」
何故か、ドラゴンが炎を吐いたそれ以降止まっていた。
そうか、ドラゴンなのに人の悲鳴を上げたからか。まぁある意味不気味だよね。
それにしても、このドラゴン。どこおかおかしい。
固まっているドラゴンをじっと見る。
・・・なるほど、マナが出来ているのか。生物として確立していない。だからドラゴンの体から極僅かではあるが、マナが散っているのか。
こんなドラゴンを作れるほどのマナの使い手がこの世界にいるのだろうか。いや、マナを扱えるのならそれは神の1柱だ。
仮に作れるほどの力を持った者がいたとしても、さっきの街の様子からしていないだろう。魔法というのは地球と同じように空想の物という認識だし。
可能性としては、作る為に命が尽きてしまったか、この世界に魔法使いが今もいて、作った後に放置されたか、別の世界から迷い込んだかになるわけだが。
「なるほど、別の世界から作られて・・・なるほどあの時には既にこの世界にいたのね」
あの時とはマジェスト達と戦った?時だ。
「それで、何かを食べる事によって散るマナの代わりを補って来たと・・・」
「・・・何故、分かる?」
おお!?喋れるのね。
「それはね。秘密です」
人差し指を口元にやる。漫画でよく見ていた可愛いポーズだ。・・・人ならばの話だが。
「お主は何やら危険な感じがするな。殺しておく」
有無を言わさぬとばかりに既に炎を吐く体制に入っている。
思考は獣と対して変わらないのか。
マジェスト達に放った程度の炎を吐くとドラゴンの炎を僅かに上回りドラゴンに向かうが当たる直前に霧散する。
「やはり危険!」
先程の2倍以上のマナ、炎を口の中に集束している。
「・・・そうだ!」
閃きと同時に、集束している口の下、顎に軽く、風の玉を放ち口を閉じさせると中で行き場を失った炎が小さな爆発を起こし、白いドラゴンの口の周りが黒ずみ中から煙を噴く。
「これ以上は止めといた方が良いよ。自分の体を大切にしなさい」
注意を促し、直ぐにその場を立ち去る。ドラゴンはまだ、口の中から煙を噴いているため、何か言いかけるが言葉に出来ずにその場に立ち尽くすのであった。飛んでいるけど。
白いドラゴンは、炎を吐くとマナを消費する。つまり、作られた体に取ってその行為は自分の命を削る行為だ。だから、私はあのドラゴンを助ける事を選んだ。この世界で魔法が空想の様な物であると認識しているにも関わらず、昔は存在した魔法。その魔法使いを一瞬で薙ぎ払った炎をほぼ打ち消す事ができる炎を吐くことができるあのドラゴンは、最低でもこの世界でトップクラスの強さを誇るはずだ。
そのドラゴンを手なずけ、味方にして私に染める事が出来れば、神同士の戦いでのマナを貯蓄する者としては良い者になるはずだ。ドラゴンには神の干渉を受けない結界等もしていない事から、神ではない存在に作られたのである。
神同士の戦いは、自分のマナ、自分が属するマナが多い方が基本的には勝つとされているのだから、少しでも多い方が良い。
だから、去り際に僅かに私のマナをあのドラゴンに生物としての確率を僅かにするように与えた。生物として確立してしまえば、マナの消費で死ぬことは殆どないだろう。生きる為に確立するために自然に存在するというマナを生み出すのだから。
何故、一気にしないのか。確立するのにはかなりの負担が掛かるからだ。一度に一気にマナを与えると自我が壊れる可能性がある。折角、喋れる、考える知能があるのにもったいない。
それに、竜人の仲間も増やしたい。どこかの世界にいるのかもしれないがまだ出会った事がない。会いに行こうと思えば行けるが、この世界のドラゴンの事もあるし、夢叶の事もある。それにそこまでして会おうとも思わないから特にそれ程気にしていなかった。ついでだから自分以外の竜人を見てみたいからドラゴンではなく竜人としての確立にマナを使用しただけなのだ。
それから、大体3日置き程度にこの世界に来ては白いドラゴンと戯れる様にした。1日目は夢叶の状況確認。2日目は漫画あさり。3日目に白いドラゴンの生物としての確立をしに来るついでに少しじゃれては、生物として確立させていくのであった。確立するにつれて、ドラゴンはマナを知らない内に貯められるようになり、戦闘力も向上していくのであった。白いドラゴンが自分と同等、いやそれ以上だろうと思う相手と何度も戦って強くなっていると誤解して。まぁ、多少なりともその経験もあるだろうが。
――――
ここ最近、楽しい事が多い。イザナギが転生したことを確認できた。記憶やマナ操作の事を忘れていた時はどうした物かと思ったが、見守る事しか出来ない。記憶もマナ操作も出来ない状態でイザナミに見つかればその時点で終わりだからだ。私1人では何の力もない今のイザナギを守る事は到底できない。
それに、変に刺激して修羅だった頃のイザナギになる可能性も否定しきれない。マナ操作で記憶を戻す事も出来るだろうが、イザナギの記憶をただの人間である今のイザナギの脳が耐えられる可能性が低い。かと言って肉体強化を施すと、マナが変に反応して記憶を呼び起こす可能性もある。それが修羅の時だったら最悪だ。
修羅のイザナギを普通に戻すのにはかなりの苦労をした。まぁ、その結果愛し合う仲になったとも言えるが、もう修羅のイザナギは見たくない。見ていて痛々しく辛いのだ。
そのため、イザナギには地道に、せめてイザナミから逃げれる程度には強くなってもらわなければならないのだ。幸い、マナ操作は出来るようになってきているからうまくいけばそう、長い年月は掛からないはずだ。
ハァ、できれば元のイザナギに会いたい。目の前にいると言うのに触れる事が出来ない。喋る事も出来ない。辛いよ・・・。
せめて、今のイザナギでも良い、話したい・・・。
――――
「何故、我の炎がこうも容易く・・・」
「・・・それが分からなければ一生勝てないよ」
段々と強くなってくる白龍に最低限のマナ消費で相殺する為に黒炎、分解能力を付与して白龍の炎を消し去る。黒炎を混ぜる様になってからの炎は白龍に届くほどとなり、白龍は半分やけくそ気味に向かってくる気がする。
――――
そして、白龍は生物としての確立を果たした。
正直、白龍にはもう、用はない。精々自身を鍛えて貰うくらいだろうか。
いきなりイザナギに合わせては今のイザナギにあの白龍に勝てるかどうか分からないし、ちょっと下調べしとこうかな。
「おい、待て!まだ我は負けを認めてはおらん!」
白龍を放置して、人の姿になり、何処かに飛び去ってしまう。
「人に紛れて逃げるつもりか・・・良いだろう何処までも追って必ず倒してやろう」
その為には人の姿にならねば。ドラゴンのままだと騒ぎになりその間に逃げられる。
どうやれば人の姿になれるのだろうか。人の姿で飛び去ったドラゴニュートの姿をイメージすると人の姿になれた。ドラゴニュートと同様のワンピースで白色の。
「思ったより簡単だな」
竜人として生物を確立しているのだから人になるのも動作もない事なのだが、この日、竜人として確立した白龍は、まだ知らない。
――――
「冒険者かぁ。漫画に出てくる感じなのかな?」
トテトテと酒場で騒ぎを起こした街を歩く。
カランカラン。
ドキドキワクワクしながら冒険者ギルドに入る。
入ると共に視線が集中する。
おおー。漫画の通りだ。凄い。そうなると次は・・・。
「おいおい、嬢ちゃん。何しに来たんだい。迷子かい?」
いかにもゴロツキっぽい顔つきをした男が口元をにやけながら言い寄って来た。
キター。
「冒険者ってどんな感じなのか見に来ただけだよ」
「・・・そうかい。冒険者ってのはな。数ある依頼をこなし、街の為、人の為に働く者達の事だ」
以外にもちゃんと説明してくれるようだ。
「冒険はしないんだね」
「する時はするぞ。護衛や、依頼内容によっては遠出もするし、本人達の知らない場所にも行くからな。知らない場所に行くのは当人とっては十分冒険と言えるだろうさ」
「へぇ。大体、思ってたのと一緒だね。ありがとね」
「まだまだ話は続くぞ?」
「そうなの?」
「ああ、飯でも食いながら喋ろうか。奢ってやるから」
「ホント!?」
「ああ、付いてきな」
「あーい」
喋り方がだいぶ適当になってきたというのは自覚がある。確実に漫画の影響だろう。でも、実際こっちの話し方の方がなんだか気楽で良いのだ。
「可哀そうに」
「しかし、俺達ではあいつには」
「クソツ!」
後ろから何やら悔しそうな言葉が耳に入った。
「お店は何処にあるの?」
「ああ、ここの路地裏の所に隠れた名店があるんだ」
言われた路地裏に入るとそこは行き止まりで何もなかった。
「お約束だね~」
「何がお約束なのかな~?お嬢ちゃん?」
グヘヘヘと手をワキワキしながら近寄ってくる。
「・・・いや」
「怖がらなくてもいい。痛いのは最初だけだから」
漫画に出てくる絡まれている街の少女の様に怖がって見せる。
「そうだねー。最初と言うか一瞬だけどねー」
「は?・・・・・・!?」
男が疑問に思った時にはその頭は消滅していた。
「あっ!しまった。こういう時は周囲に誰かいる所で、俺・・・じゃない。私TUEEEEってするものだった!」
あちゃーと上を見る。
「・・・ま、いっか」
やってしまった物は仕方がない。再び冒険者ギルドに戻る事にする。どんな依頼があるかまだ見てないんだよね。この世界の人間の戦闘能力はしれてるっぽいし、まぁ気にする程ではないかな。
カランカラン。
ザワ!
「お、おい嬢ちゃん。さっきの男はどうしたんだい?」
「ん?あー・・・んー・・・テヘペロ?」
殺したと言うと犯罪者扱いにされても困ると思い、取り合えずテヘペロとしてみた。
「「「まじか!?」」」
「しかし、大丈夫なのかい?あの男は貴族の息子だ。なまじ、実力もランクBとあるから下手に文句を言うと返り討ちに合うし、貴族から何をされるか分かったもんじゃない」
「それに、被害が出ているのは明らかなのに被害者から被害届を出さない。波を流しているのに・・・きっと何か弱みを握られていたに違いない」
うんうん。貴族、定番だね。
「それで、奴を懲らしめてくれたのは察したが、どうするんだい?」
「んー。どうするも、来たら返り討ちにするぐらいしか出来ないかな?」
ザワ。
「最悪、家族が路頭に迷うぞ?」
「大丈夫、家族いないし」
この世界には、だが。
「だが、あの貴族は、ランクAも雇っていると言う噂だぞ」
「どれくらい強いの?」
「あいつの倍ぐらいは強いんじゃないか?知らないがランクAだし」
「なら問題ないよね。最低でもあの白龍より強くなくちゃ」
ザワザワ。
「あの・・・は、白龍?」
「うん、白いドラゴン」
「まさか、あの、この世界の魔物を潰し回ったという?」
「?さぁ。私が知っているのは1人だけだから」
「?俺が知っているのも一体だけだが・・・」
1人という所に疑問を覚えた男だが、特にそれ以上は気にはならなかったようだ。
「おいおい、そいつは世界最強のドラゴンだぜ。お嬢ちゃんはそれと同等の強さを持っているってのかい?」
あれで、この世界最強なのか。確かに最初よりは強くなったかもしれないけど・・・。
「まぁ、そこは想像にお任せするよ」
逃げよう。ややこしく成りそうだし。
むぅ。どんな依頼があるのか見れなかったな。また、来るかぁ。
――次の日。
「薬草採取に魔物討伐に護衛。ふむふむ。やっぱ凄いなぁ。なぜこんなにあっているんだろう」
地球の漫画となぜここまでシンクロしているのか不思議でしょうがない。この世界は一体誰が作ったのだろうか。神は殆ど皆、気まぐれに、暇つぶしに作るからなぁ。でも神の気配は感じないし。世界があれば、それだけその神のマナとして使う事が出来るから何かしらのマナがあっても良いものだが。
神のマナの存在を敢えて知らしめる事で、この世界で悪い事をすれば分かっているな?という警告をしているのだ。神同士の戦いで、作った神の世界がいる場所で戦うなど普通では勝てないからだ。その世界全てが敵となるようなものだからだ。
「嬢ちゃん。見かけに寄らず、かなりの実力者何だろ?ギルド登録はしないのかい?」
ギルドの受付でちょいちょいよく見るおじさんが話しかけて来た。
「んー。そこまでは興味ないんだよねぇ」
正直、金には一切困っていない。必要な物は作り出せば良いのだから。だから、わざわざギルド登録する必要もなく。依頼を受けたいと言うわけではないのだから。依頼など簡単すぎるから、漫画との整合性を見て勝手に感動しているだけなのだから。
「・・・そうかい。残念だ。ならせめて名前を教えてくれないか?」
「・・・名前」
そうか、名前か。ドラゴニュートと名乗るのも私の存在がバレる恐れがあるし、異世界物とかゲームからの転生物って偽名?で過ごしているっぽいし。何か考えなきゃ。
「考えとく」
「考えとく?・・・まぁ、わかった。気が向いたら声を掛けてくれ」
「うん。わかった」
名前を教えるかどうかを迷ったのだろうと男は思い、潔く立ち去る男。
こういう時はしつこく言い寄ってくるものじゃなかったのだろうか。
・・・そうか、皆私の強さに怯えて強く言えないんだね。グヘヘ。
不敵な笑みを見てしまった者がビクッと見ない振りをする。
・・・おっといけないいけない。
違う街も見てみた方が良いだろうか。ちょっとだけ見てみようかな。
テレポートで人が視認できない程の高さに移動して龍の姿となり移動する。
「やっぱり、空は気持ち良い」
風を感じ、一番最初に目に入る街まで飛んで行く。
「見つけたぞ」
「何~?」
途中、白龍に出会った。
問答無用で炎を吐いて来た。いつも通り、炎を吐き、跳ね返そうとする。
「む!?」
その炎は跳ね返すどころか相殺された。
「その力、自分で身に付けたの?」
「当然だ。貴様を倒す為にな!」
白龍は返事と共に放つ炎。
「凄いけど・・・残念!」
少しを威力を上げ、いつも通り押し返す。それを避け、悔しそうに唸る白龍。
「そんな・・・。何故、貴様にはそれ程の力があるのだ!?」
「正直、生まれ付きとしか言いようがないかな」
事実、500年以上前ならマナ操作がなければこの白竜より劣っていただろう。マナ操作と言う神の力であるその力がなければ只の龍と人の子、人の知能が龍としての圧倒的な力が多く引き継がれていない。代わりに、人と龍の姿を変える事が出来るが、戦闘能力だけならば純粋な龍よりも劣る。そんな私には、マナ操作の力を過信し、二人の神の親がいるのだから向上心という物がまるでなかったのだ。
戦いと呼べるような相手は神だけで、その神同士も親以外一切関わって来なかったのだ。あのイザナミが現れるまでは。イザナギに助けられて傷を治してからはイザナミに対抗できるようにイザナギを助けられるように自身のマナ量を増やす努力をした。
そして、この白竜に自身のマナを与え、生物としての確立させることもマナを増やす事に繋がる。
マナ量を増やす為だけの存在であったはずの白龍は、神のだけの能力とも言える合成の力を自分の手で手に入れたのだ。もしかしたら、このまま神の領域にこの白竜は行けるかもしれない。これは、思わぬ収穫をした。
「だが、まだその程度なら!」
再び炎を吐く。先程よりも強力な合成の力の光炎を。
これならば期待できる。この白竜にマナ操作の力があればかなりの戦力になるはずだ。
「良いね良いね!」
ニヤニヤが止まらない。
「何が可笑しいのだ!」
そんな考えが白龍に伝わるわけはなく、嘲笑われているかのように思った事だろう。攻撃が激しくなる。
「嬉しい誤算があってね。・・・あとそんなに使うと倒れるよ?」
ヒラリヒラリとかわしながら、時には相殺しながら余裕を見せる。
「貴様にそんなこ・・・と・・・」
フッと白龍は突如意識を無くし、人の姿になり、空から地面に真っ逆さまに落ちる。竜人として確立している為、普段の姿は人型なのだ。その為、力を使い果たしたら人の姿に戻り、エネルギー消費を強制的に少なくするのだ。
「もう、だから言ったのに」
テレポートですかさずに受け止めに入る。
「・・・どうしよっか、これ」
休める場所がないのだ。そこらの地面に休めるのもどうかと思うし。
「うーん。あ、あそこで良いか」
見るからに人気が少なそうな谷の間を見つけそこにテレポートする。
「クリエイト!マイ、ハウス!・・・なんちって」
適当に無駄に叫んで木造の簡単な風を凌げる程度の家を作り出す。簡単な構造じゃないとイザナギみたいにさっくりと作れないんだよね。
それでも、この世界の民家としては十分な家だった。
簡単なベッドにそっと白龍を寝かせる。
さて、暫く目を覚ますのに時間が掛かるだろうし、ちょっとあっちに戻ってようかな。
地球に戻り、夢叶の様子がいつも通りなのを確認すると本屋にネットカフェに移動する。当然、マナ操作で自由に入り浸るのである。
「名前・・・何かないかなぁ」
自分で名前を付けるのも何だか変な感じがするが、この世界ではハンドルネームなど色々と変わった、可笑しな名前つける者も多いからきっと問題ないはず。
「こういう時はゴロゴル先生って何処かで聞いた」
某ネット検索エンジンで色々と検索をする。んー。
どうせなら、私の特徴を表す名前が良いかなぁ。
ポチポチと慣れない手つきで、人差指だけでキーボードを扱い始めるのであった。
「・・・う・・・ここは?」
「あ、起きた?」
ベッドで呻きを上げ、目を覚ます人の姿をした白龍。
「誰だ?・・・それに何故我は人の姿に・・・」
「んー。人の姿になりすぎたからそっちの方が体にあったんじゃない?」
それっぽい事を言う。この世界に竜人、いや亜人といった種族が存在しないようだし、変に言わない方が良いだろう。
「貴様が助けてくれたのか?名は?」
「・・・フッ」
意味深に笑うポーズを取る。
「ある時は、人間。またある時は漆黒の龍!その名は・・・!」
「黒龍!?貴様が!?・・・いや、その姿確かに見たことが・・・」
最後までちゃんと聞いてくれない白龍。ポーズを取ったまま固まる。
「ロネシリィ・ノアルーフ!」
バーンと気持ち後ろで爆発の幻覚を使い、続けてみた。白龍は爆発に一瞬驚いたが、直ぐに幻覚と気付いたようだ。
「貴様が、まさかあの黒龍だったとは・・・」
ショボーン。折角考えた名前もポーズも全スルーは悲しすぎるよヨョ。
「まぁ、いいや。あんたの名前は?」
「我に名前などない」
魔物は普通名前はなく、名前持ちは特殊な魔物って漫画に描いてたし、そんな物なのかな?
駄目だ、最近この世界を漫画基準で見てしまう。
「なら、私が決めてあげようか?」
「何?」
微妙そうな顔をする白龍。
「実は、この私の名前は自分で考えたんだ。ロネシリィは寂しがり屋って意味の文字からとって、ノアルフーフは孤高の黒って感じで付けたんだ。良くね?」
ドヤっと笑顔だ。
「寂しがり屋ねぇ・・・」
「だって、会いたいけど会えない寂しさをあんたで補ってるようなものだし」
事実、だいぶ気は紛れていた。最初はマナの為でしかなかったが会話も出来る為、イザナギと話せない寂しさを紛らわす事が出来ていた。
「だから、あんたにも付けて上げる。一日ほど待ってて!」
バッと扉を開け部屋を出て行く。
「・・・おい!」
止めようとするが時すでに遅し。目覚めた直ぐにうまく体が動くわけがない。
「あ、ここにしばらくいて体を休めていて良いからね」
開けた扉の向こうからヒョコっと顔を出し、そんな事を言ってその場を立ち去る。ネカフェへと。
そして、再び慣れぬ手つきで白龍に合いそうな名前を考えるのであった。
「ただいま」
「う、うむ」
ただいまと言われて困惑気味な白龍。
「あんたの名前はこれからシルヴァリア・ブランシュだー!ドヤ?」
「シルヴァリア・ブランシュか・・・悪くない」
噛みしめる様に名前を呟く。
「えっとねー。意味はねー。シルヴァリはなんか銀色のシルバーをなんかかっこよくした感じ?」
「・・・え」
「ブランシュは確か白って意味があったよ」
何だか、適当さが見え隠れするのだが気のせいだろうか?気のせいだと思いたいとそう思わずにいられない白龍である。
「んで、これから私の事はロシィ、あんたの事はシルヴィって呼ぶね。長いし、愛称だとお互いにそれなりの関係って思えるでしょ?」
「・・・なるほど、繋がりが欲しいと言った所か。確かに寂しがり屋のようだ」
「む、むぅ」
特に意図して言ったつもりもなかったが、そう取られても可笑しくはない。それに、一番関わりが多いのはこの白竜、いやシルヴィなのは間違いない。
この時に既に、シルヴィとはただのマナの為の関係でいたくないと少なからず思っていたのはこの時のロシィは気付きもしていなかった。
「では、これからよろしく頼む。ロシィ!!」
「シルヴィこそ!」
ドガンと家を壊して龍の姿へと二人とも戻り、いつもの戦いが始まる。この時の戦いは何処か二人とも楽しそうであった。
―――― そして、夢叶が18歳となり旅立ちの日となった。




