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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第4章 バーザルド
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第83話 カミナ・ミナツキ

「取り合えず、各々安い物の中から食べたい物を選べばきっと大丈夫だ」

 メニューを見て、それぞれ自分の食べたい物の中から一番安い物を選ぶ。1人約銅貨7枚程となり、合計金額が銀貨4枚銅貨8枚とギリギリ大丈夫な値段となった。



「お待たせしました」

 少女が食事を持って来る。夢叶、ロシィ、リリィは米が入った野菜炒め、炒飯の様な物を。シルヴィは少し大きめな、安い肉だけをエリィとティエはパンに野菜スーブを頼んでいた。本来ならここに1人もう一品ずつ追加したい所だが仕方がない。


「すみません。ここからハネスまでどのくらいかかりますか?」

「え?えーと確か馬車で一週間程度って業者の方が言っていたと思いますが」

「それとサイランという所ならどれくらいですか?」

「そうですね。2日ほどですね。ハネスの途中に寄れる場所ですよ」

「ありがとうございます」

 ペコリとお辞儀をして厨房の方に行く少女。


「さて、最低でも一週間後でないとドラゴンを対処する事が出来なさそうなのだが。解決してしまった場合、色々と時間的に怪しまれるというか面倒が起きそうだ」

「なら、ここのギルドでまた稼げばいいんじゃない?」

「そうせざる負えないよなぁ」

 ティエの言葉にうーんと考える。


「しかし、あのドラゴンに交渉する約束したしなぁ。結局ギルドか」

「どちらにせよ腹ごなしは必要だったのだし良いではないか」

「まぁそうだな」

「んだんだ」

 肉を頬張るシルヴィに答え、ロシィが相槌を打つ。どこの人だよ。


「ねぇ。ドラゴン討伐でもしに行くの?」

 少し不愛想に訪ねて来た少女は、紺色の三角帽子をかぶった如何にも昔ながらの魔女の様な服装に、長い透き通おるような青い髪の毛が帽子から出ている。手には銀色のロッドに青い宝石の様な物が埋め込まれている。


「誰?」

「さあ?」

 ロシィの言葉に誰もが?と首を傾げる。


「・・・カミナ」

「「「「「「カミナ?」」」」」」

「「「「「「「「カミナ!?」」」」」」」」

 カミナと名乗る少女にまだ首を傾げていると周囲の人の方が反応を示す。


「もしかして、あのSランク冒険者、ハネス最強の魔法使いのカミナ・ミナツキ様ですか!?」

 興奮気味に訪ねる店員の少女。

「そう」

 少ない返事でカミナが返すと周囲がまるでアイドルでも見つけた様な反応を示す。


「あ、あのサイン貰ってもいいですか!?この店に飾ってもいいですか!?」

「別に構わない」

 バタバターと慌てて色紙というか色木?を持ってきた。色紙の様な大きさではあるが木の板で出来ている。そこに、指を翳し、器用に火魔法らしきもので焦げ跡を付けてサインをした。

「この店の宝にします!」

「握手して貰っても良いですか!?」

 裏から出て来た店主だろう男の人が出て来て握手を求める。


「それは無理」

「ガーン」

 声に出して落ち込む店主。

「認めた人だけ」

 他人に肌は許さないのか極度な潔癖症なのか分からない。露出もほとんどしていないから前者な様な気もする。見ず知らずの汗まみれな手を握るのが嫌と言った所か?


「それより、ドラゴン」

 こちらを見て言うその眼差しは何を考えているのかいまいちよく分からない。


「・・・無口系キャラですな」

「ですな」

「キャラ言うな」

 ロシィとリリィにツッコミを入れる。


「討伐はするつもりはない。むしろ討伐する奴がいたら邪魔をするつもりだが?」

「・・・なぜ?」

 キョトンと首を傾ける。

「ドラゴンとそう話をしたからだ。あいつはただ、自分の卵・・・子供を守ろうと育てようとしているだけだ。こちらから何もしなければ襲ってくるような事はないはずだ」

 ざわざわ。


「ドラゴンと話しただって?馬鹿馬鹿しい」

長い赤髪を後ろで三つ編みにし、赤を基調とした動き安い鎧の冒険者らしき男が寄ってくる。


「ドラゴンが人の言葉を喋るわけがないだろう?寝言は寝て言えよ少年」

「「プー」」

「クッ」

 偶にくる少年に思わず笑ってしまうロシィとリリィ。夢叶すらもうネタとして受け入れて少し笑ってしまった。


「な、何が可笑しい」

「いや、すまない。笑った所はたぶん、お前が思っている所とは絶対に違うから安心してくれ」

 何を安心するのか。男は見るからに気分を害したようだ。


「ドラゴンには会った事があるようだが、お前が見たのはどんなドラゴン何だ?」

「む。あるとも。これでも俺はAランクだ。俺があったのはアイミス山にいる巨大青いドラゴンだ。秘薬の為に卵を取りに行ったら、手の届く所迄近づいたのだが、そこでその巨大な青いドラゴンが巣に戻って来るなり吠えてブレスを吐いて来たんだ。話そうとする素振りすらなかったぞ」

 巨大という所を強調して言うAランクの男。場所、卵を守っている青いドラゴン。一致し過ぎ。


「俺達が会ったドラゴンと同じだな」

「フン。なら貴様が嘘を言ったという事がこれで分かったという事だ」

 勝ち誇った顔をするAランクの男を見て嘲笑する夢叶。


「いや馬鹿だろ。今のお前の説明だけでも少し考えたら分かる状況じゃないか」

「少年、俺を誰だと思っている?こちらのSランクであるカミナ様には及ばなくともAランクの中では上位の実力を誇るバージニア・エングランだぞ」

 威張り散らしよる。


「だから何?って感じなんだが」

「!?表へ出ろ!叩ききってやる!」

 怒りを露わに剣を抜くバージニア。


「いらん。見て分からないか?昼飯中なんだよ。それにAランク様がそんな簡単に街中で剣を抜いて良いのか?」

 スプーンをフラフラさせて言う。


「良い度胸だ少年!Aランクが!この俺が!少年の様な奴に舐められる訳にはいけないんだよ!!?」

 最後の台詞と共に杖で額をカツンとカミナに叩かれ、天井に顔を向ける羽目に。

「邪魔」

 鋭い一言だ。傷ついているじゃないか。


「どうして、ドラゴンの味方?」

 首を傾ける。言葉数が少ない。


「ん?別にドラゴンの味方をしているわけじゃないぞ。ただ、そのドラゴンは子育ての為にあの山にいるんだ。そこ馬鹿みたいにその子供である卵を奪おうとしている所を目撃すれば、全力で守るのは当然だろ?」

「な!?馬鹿だと!?」

「ずっといる?」

「一か月ぐらいで子供が十分育つらしい。育てるのに都合が良いみたいでそれまであそこにいたいみたいだ」

 馬鹿を無視してカミナと話を続ける。


「どうして?」

「?」

 何がどうして?なのだろうか。

「守る?」

 どうしてドラゴンを守る・・・か。


「単純に可哀想だなって思ったからだ。ただ、子供を守っているだけだろ?俺達が受けたドラゴン討伐の依頼は、住み着いているが為に食料を調達できないからという内容だ。ならば、お互い干渉しあわなければ何の問題もなくないか?そこの馬鹿みたいに卵を子供を奪おうとするならば、お互い命を掛ければ良いとは思うが、無意味な戦い、被害はないに越したことはないだろ?」

「出来るの?」

「出来るさ」

「討伐」

 ドラゴンが守る事が出来るというつもりで言ったが討伐の方だった。

「そっちか。出来る」

 苦笑いしながら言う。


「申請」

「何を?」

「ドラゴン」

「んん?」

 ドラゴン討伐をこちらでも申請しとかないといけないという事だろうか。


「あ、ドラゴンを守るように申請したらドラゴンと無駄に争わなくても良いっと事じゃない?」

 リリィが捕捉してくれる。

「そう。付いてく」

「・・・なるほど。俺達の話を信用してくれて、尚且つSランクである有名なカミナがギルドまで付いて来てくれれば信用もされて申請が通りやすくなるということか」

「そう」


 それはありがたい申し出だ。


「頼めるか」

「ん」

「ちょっと待ってな、飯を急いで食うから」

 書き込むように飯を腹の中に入れて行く。皆は話している間に完食していた。ショボン。


「カミナ様!私よりもこの様な少年を信用するのですか!? 」

「ん」

「何故ですか!?」

 即答に信じられない様子のバージニア。


「魔物」

 カミナはロシィの頭に乗っているライムを指差す。


「「「「「!?!?」」」」」

 バージニアを含めた周囲の人がガタガタと席を立ち後退る。


「大丈夫」

 チラっと夢叶を見る。


「ライム。一発芸よろ」

『無茶ぶり来たよ』

 そう言いつつも、仲間の頭をピョンピョンと飛び移り空中で一回転したりとしてくれる。最後に夢叶の頭に着地してやれやれとため息をつく。


「大丈夫」

 見渡して大丈夫とアピールするカミナだが、周囲は微妙な反応だ。


「カ、カミナ様が言うなら・・・」

 おどおどとしながらも理解の声を上げる店員の少女。それに、便乗する人々。


「ご馳走様。お待たせ、行くか」

「ん」

「お待ちくださいカミナ様!」

 食べ終わったのでギルドに向かおうと立ち上がると、まだ突っかかってくるバージニア。


「魔物なら尚危険です!魔物を使役するなど過去にありませんでした。簡単に付いて行ってしまえば、何をされるか分かりません!」

「奴隷」

 ライムの奴隷の首輪を指す。ライムがそれに答えるようにその部分をピョコピョコと動かしている。


「大丈夫」

 奴隷だから大丈夫と言いたいのだろうが、バージニアが言いたいのは違う気がする。


「奴隷だからと言って、危険と言うわけではございません!誰も思い付きもしなかった魔物の使役をするような者達です!何を企んでいるか分かったものじゃありません!」

「意味ない」

「??何が意味ないと言うのですか?」

「情報、漏れる前に滅ぼしてる」

 当然のように滅ぼすと言う単語を使うカミナ。


「カミナ様、滅ぼすとは穏やかじゃない言葉ですね。魔物の大群で我々が、カミナ様が殺されて、この街が滅ぶという事ですか?カミナ様がそこら魔物程度に敗れるなどありえないでしょう?」

 冗談はやめてくださいよと言うバージニアだが、カミナが首を振る。


「魔物以前の問題」

「それはどういう意味ですか?」

「誰にも勝てない」

 夢叶一行を指して言うカミナ。


 カミナにはマナ感知でもあるのだろうか。魔法使いだろうから魔力的な何かを感じているのだろうか。


「御冗談を」

 嘲笑うバージニアだが真剣な目でカミナが答える。

「魔力、普通じゃない」

「カミナ様よりも魔力が強いと言うのですか!?」

「分からない。子供以下」

「雑魚じゃないですか」


「待ってください。魔法使いでないにせよ、誰もが魔力は体に僅かながらに持っています。その魔力は成長と共に多かれ少なかれ増えるのが普通です。それが子供以下となると魔力障害を起こしている以外にあり得ないと思うのですが、そうじゃないという事ですか?」

 魔法使いの冒険者の男性が介入してきた。


「ん。だから、信用できる」

 夢叶達が強く、この街を滅ぼせるほどの力を持っているなら既にやっているし、ドラゴンもとっくに討伐出来ているはずだ。それでもドラゴンを守るために行動している夢叶達がわざわざそんな嘘を付く必要がない。だから、ドラゴンと会話し、子育てという事。そして魔物を使役するほど魔物の事も考えているという事から信用できるということだろう。


「分かりました。分かりましたよ。ただ、油断だけはしないでくださいね」

「ん」

 バージニアが根負けしたようだ。


 ようやくギルドに行ける。

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