第63話 モヒカン戦隊現る
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「それじゃあ、行ってきますね。」
「あいよ。」
レン達アース家がギルドマスターに会いに行った。ギルドマスターと話をしている間、夢叶達は何か簡単なクエストを受ける事ができないか見ていた。
時刻は昼前。
飯を食べたいところではあるがこの世界の金はまだ持っていない為、この世界の食事は食べれないが携帯食は持ってきていた為、特に大きな問題はない。
「ランクEかD当たりのサクっとできそうなのないかな。」
掲示板を見だす夢叶一行。
「おい、あれってさっき二人ランクSになったパーティと一緒にいた奴等じゃないか?」
「ああ、奴等もランクSの依頼を受けるのだろうか。」
「それにしても、あの男。5人も美人、可愛いちっぱい女達を連れて嫌がる。」
「やはり、強いと持てるのか・・・。」
掲示板を見ているとそんな話声が後ろから聞こえて来た。
ロシィが袖を引っ張り、上目遣いで、ねぇあいつら殺していい?と訴えかけてくる。やめなさい。ペチっとおでこを優しく叩くとあうとお凸を抑えた。
「これ何てどう?」
ティエが指さす。
ランクE
スライム討伐クエスト
スライムの核を五つ入手
報酬 1銀貨
「相場はわからないけど、いいんじゃないか?」
「あなたに聞いてない。」
即答されてシュンとなる。プークスクス。いつものロシィである。
「これだと、ランクEだったら討伐も簡単でしょうし、スライムの核というのが気になるんですよ。まさか、メダルじゃないでしょうし。素材としても依頼となるからには何かに使えるということですから見てみたいのです。」
ティエは、夢叶には冷たいがリリィには相変わらずのようだ。
「そうだね。受けようか。」
リリィが苦笑いしながらスライム討伐の依頼用紙を取る。
(・・・スライムか。)
夢叶はいけない想像をする。
「む。ユウからケダモノの気配がする。」
キッとロシィが睨んでくる。
「何だよケダモノの気配って。それより一緒に説明聞きに行くぞ。」
苦笑いしながら、話を逸らす。
う~んとロシィはまだ怪しんでいるが気にしたら負けだ。
「あれ?ランクE何ですか?」
先ほどの受付のお兄さんが対応してくれるようだ。若干失礼な発言な気もするがこれぐらいは構わない。アース家と一緒にいたからきっと強いんだろうと思われたのだろう。だが、そうすると目立つと色々と面倒な事を押し付けられそうだからね。
「何かおかしいですか?あの方達とは別のパーティですし、偶々道中一緒になって少し仲良くなっただけですよ?なので、同じ強さだと思われましても困ります。」
リリィはそう対応した。道中一緒になったというのはギルドに戻る前にアース家とそういうことにしておこうと話しておいたのだ。これでアース家はアース家でこの世界を楽しむことができるだろう。
「あ、これは大変失礼致しました。えー。では、依頼の説明をさせていただきますね。国境と反対側の門から出ていただいて少し歩いていただいたところに洞窟、ダンジョンがございます。その一階にスライムがよく出現しますのでそこに行って貰うのが一般となっています。間違っても地下に行かないようにしてくださいね。ランクDの魔物も出てきますので危険です。」
受付のお兄さんが丁寧に教えてくれる。どうやらこの世界はダンジョンが存在するようだ。礼を言ってギルドを出ようとする。
「なぁ、嬢ちゃん達、そんなしょぼい男なんかより俺達が一緒に行ってやるぜ。」
モヒカンの如何にもな奴等3人が絡んできた。モヒカンレッド、モヒカンイエロー、モヒカンブルーのモヒカン戦隊である。受ける依頼がランクEと知ってこいつら弱いとでも思ったのだろう。
「大丈夫だ。ランクEの依頼だ。私達だけでも十分だ。」
エリィが前に出て(主にリリィの前に)断わってくれる。
「いやいや、ランクEだからと言ってスライムを舐めちゃいけないぜ。特に嬢ちゃんみたいな女子供にはな。」
「ああ、過去にもそうやって自分達だけで大丈夫と言って、スライムに酷い目に合わされた女のパーティもいたんだぜ。」
「それに新人狩りもいるんだぜ。注意した方がいいんだぜ。」
じゅるりと嫌らしい目で体を舐め回すように見てくる。
「なるほど、貴様達がその新人狩りというわけか。これは、許される行為なのか?」
受付のお兄さんの方を向き訪ねる。
「い、いえ。ですが、この街の貴族の息子さんで、手を出すとこの街にいられなくなるか、最悪他の街に行っても手を下せるように手を打ってくるのです。」
目を逸らしながら説明する。
なんかデジャヴを感じる。皆、このモヒカン3人組のしていることは知っているが手を出せないようだ。グラディオでもこんなゴミみたいな三人組がいたな。前の世界でもいたが彼らが一番マシだったのではないだろうか。
「二度あることは三度あるっていうしね~。」
ニマニマとロシィがボソっと言う。ぐぬぬ。
「事情は分かるが、それならば一緒に依頼を受けて、魔物にでも殺して貰えば良いのではないか?」
シルヴィが本人達を目の前にして物騒な事を言う。
「過去に何人かそう言った事を考えた人達がいたみたいですが、彼らはランクA3人のパーティです。その為、彼等に返り討ちに会い、無残な姿にされているのです。実力も十分にあり、彼等を倒せる者は最低でもランクA以上となる為、この街が最前線と言っても限られてきますので簡単に犯人が割り出されてしまうでしょう。それに彼等は決してランクA以上の依頼を受けようとしませんので、そこで一緒に受けたパーティがいた場合その者達が犯人となる為、手が出せないのです。」
苦虫を噛み潰したように言う受付のお兄さん。相当このモヒカンに困らせられているみたいだ。
「ならば、その貴族を消してしまえば良いのではないか?それともその貴族がいなくなると困るのか?」
シルヴィは再び物騒な事を言う。
「残念ながら、先ほどの大規模な魔物の群れも彼が指揮をしなければ早々にこの街は魔物の群れに飲み込まれていたでしょう。それに彼自身もランクSの実力をお持ちです。現在は冒険者としては引退されていますが、それでもチームエメランスのあのお二方を同時に相手でようやく互角というほどの強さをお持ちです。」
受付のお兄さんが説明してくれる。
「クックック。そういうことだ。貴族であり、冒険者としても有能な俺達に歯向かう者は全て始末してやるぜ。あと、お前。残念ながらとかほざいたな。不敬罪だ。覚悟しておけ。」
受付のお兄さんが指さし、貴族であるモヒカンレッドがジ〇ジ〇立ちして言う。受付のお兄さんがしまったと真っ青な顔をしている。つい口が滑ってしまったと後悔しても遅い。何をされるのかともう、まともな生活は出来ないのではとこの先を考えると体が震える。
「なら、また白いドラゴンがこいつらを倒してくれたら別に誰も文句言えないよね。冒険者なんだからいつも死とは隣り合わせだもんね!」
ロシィがニコニコしながら言う。
「ふん、あんなドラゴンが俺らなんかを殺すためにわざわざ来るような奴ならとっくに俺らは死んでいるさ。そもそも、あのドラゴンが人間の味方なのかすら怪しいんだぜ。さぁ、もうわかっただろう、お前達にできることは俺に体を差し出す事だけだ。」
モヒカンレッドは鼻を鳴らしそう言うと、いやらしい笑みをしながら近づいていく。
「其方等に差し出す程、妾達は安くないのでな。断らせていただく。」
「お前ら、俺の言うことを聞かないとどうなるか分かっているのか!」
シルヴィが言い切ると、モヒカンレッドが声を荒げる。異世界人の夢叶一行に取って貴族などとか事実、どうでも良いのだ。居づらくなれば異世界に行けばいいのだから。
「いいから黙って、付いてこい!」
モヒカンレッドがガシっと手を掴んで一人を連れて外に出て行ってしまった。
「あ~れ~。おやめになってお代官様~。」
ちっぱいロシィを連れて。




