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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第55話 魔法の世界END

「・・・ロシィ?」

 田中太郎を跡形もなく消したあとには黒炎が僅かにチリチリと残っていた。

ロシィの方を見ると、神妙な顔付をしてどこか遠い所を見ているような目をしていた。こちらの視線に気づくとすぐにいつものロシィに戻った。

何やら田中太郎が誰かの名前を言っていような気がしたが・・・。


「いやー。なんか鬱陶しくなっちゃってさ。」

 テヘペロとするロシィ。


「・・・そうか。」

 何かを隠しているのは明らかだ。しかし、何故か聞いてはいけないと感じた為、それ以上何も言わなかった。



――――



「さて、なんだかこの世界のラスボスっぽいのも倒したことだし、この後どうするかだ。」

 手をパンと叩き、皆に聞く。


「ユウに付いてく!」

 ビシっと手を上げるロシィ。

「同じく!」

 ロシィと同じように手を上げるリリィ。


「旦那様に付いて行かないとかありえないよねー。」

 ねーっと2人声そろえて言う。


「・・・もしかして、新妻をいきなり置いて行ったりしないよね?」

 よね?とロシィの言葉の後に笑顔で続くリリィ。目が笑っていないが。


「と、当然連れて行くに決まっているだろ。」

 当然、拒否する理由などない。むしろ喜ばしいことだ。まだ結婚はしてない気がするが、する気はこちらにも十分あるのだから。ただ、気押されてしまってどもってしまっただけで。それに対して2人してジト目で見られる。


「ゴホン、エリィはどうする?」

 わざとらしい咳をして、話を続ける。


「私もユウとリリィに付いて行こうと思うが構わないだろうか?」

 どちらかというとリリィに付いて行くだろうな。


「ああ。構わない。シルヴィは・・・。」

 シルヴィに関しては、ロシィを死に追いやったという負い目もあるだろうし、居づらくなってしまったのではと心配して言葉が詰まってしまう。


「・・・できれば、妾も付いて行かせてもらいたい。ロシィを傷つけてしまったこと、ユウに助けられた借りを返したい。」

 少し、考え言葉にして付いて行くことを願うシルヴィだが。


「・・・駄目だ。」

 一言、シルヴィに言う。それに対してロシィもうんうんと頷く。


「・・・そうか。そうだな。当然だ。」

 ユウにとっては操られていたとはいえ自分と愛しい人を殺されかけ、ロシィは自身を殺されかけたのだから、またいつ操られるのかわからないのだから当然の反応だ。

 明らかに残念そうな感じでトボトボとこの場を立ち去ろうとするシルヴィ。


「俺はな。どうせなら仲間と楽しく過ごしたいんだ。借りだからうんぬんで付いてこられたって迷惑なんだよ。だから、俺達の仲間、友として付いてこい!」

 離れて行くシルヴィに、珍しく大きな声を出す夢叶。


「良いのか・・・?妾は、お主達を裏切ったのだぞ!?」

 涙が出るのを我慢してはいるものの声が震えてしまう。


「当たり前だよ!」

 ロシィがテレポートでシルヴィの後ろに現れ、ユウ達の元に背中を押して戻る。


「あの時は、私も動揺していたが冷静になれば契約しているのだからそもそも裏切れなかったのにな。すまない。」

 裏切ったなと言ったことをエリィは謝罪した。仲間なのに信じなかったことを後悔して。


「これからも楽しく過ごしましょう。皆で。」

 シルヴィの肩に手を置き優しく言うリリィ。


 シルヴィは、涙を堪え切れなくなり、涙を流した。声は我慢したが涙は溢れて止まらなかった。創られた自分を仲間だと言い、犯した過ちさえ許して暖かく迎え入れてくれるこの者達と共にいつまでも一緒にいたい。報いたいと心の底から想った。



「アクシア、お前はどうする。」

 シルヴィが落ち着いた後、アクシアに問う。アース家と言わなかったのは、今回1人1人の自分の意見を聞く為だ。


「申し訳ありません。私もユウト様に付いて行きたいです。」

 口癖なのだろう、言葉のわりに真剣な瞳をしている。じっと見ても目を逸らさずに見返してくる。


「・・・わかった。ただし2つ条件がある。」

 人差し指を立てて言う。


「条件・・・ですか?」

 首を傾げるアクシア。


「ああ、申し訳ありませんと必要以上に言うな。何でもかんでも謝り過ぎだ。口癖だろうから付いてくることをこの条件で許したが、口癖でなければ付いて行かせてないからな。その辺頭に入れておくように。それと、様付けとか言葉使いは気にしなくていい。仲間なんだからさ。」


「申し・・・わかりました。」

 申し訳ありませんと言いかけたその言葉を飲み込み、胸に手を当て自分に言い聞かせるように頷くアクシア。敬語がくずれなかったのはアクシアがそういう喋り方だからだろう。そんな感じがするし。


「次は、レンディル。お前はどうする?」

「当然、私も主に付いて行きます!」

「却下。」


「・・・え?」

 当然という顔が、即答で却下されて唖然とする顔へ早変わりするレンディル。当然だろう、アクシアが付いて行っていいのなら自分も付いていけないはずがないと思っていたのだから。


「人の話聞いてたか?」

 やれやれといった感じで右手を腰に置きレンディルに問う。


「え?はい。」

 少し、キョトンとして答えるレンディル。


「なら、尚更却下だ。はい、次はルシアナ。どうする?」

 はい、おしまい。というようにルシアナに話掛ける。レンディルはその様子を立ち尽くしてぼーと見ている。


「当然、ウチもアンタに付いて行くわ!」

 フフンというルシアナの目をじっと見る。


「な、何よ!文句あるの!?」

 こちらに指を指し、じっと見られた為か少し照れているようだ。


「あー、いや、よろしくな。」

 ルシアナが照れるのでこちらもつられて照れてしまった。

 何やらジトっとした視線がある気がするが気のせいだろう。


「お待ちください。なぜ、ルシアナは良くて私は駄目なのですか!?」

 レンディルが必死な様子で問いかけてくる。


「だーかーら、人の話を聞いていたか?」

 再びやれやれと頭を掻きながらレンディルに問う。


「はい。全くわからないです。」

 きっぱりと言い切ったレンディルに、何気に自分の意思ははっきりと答える奴だなと思う。


「自分が言った言葉とルシアナの言った言葉を思い返してみろ。」


 レンディル「当然、私も主に付いて行きます!」

ルシアナ 「当然、ウチもアンタに付いて行くわ!」


 同じことを言っているじゃないかとレンディルは頭を悩ませる。


「少し、考えとけよ。その間にイエルス、お前はどうだ?」

 う~んと頭を傾げているレンディルを放っておいてイエルスに問う。


「はい。僕ももちろん貴方に付いて行きます。」

 う~ん。微妙。貴方様って付いてないだけ良いんだけど貴方って何か他人行儀って感じがするんだよな。夫的なアナタ♡だったらまだ良いんだけど。野郎にそんな意味で言われたら速攻置いて行くわ。


「何故?」

 微妙だからさらに聞いてみた。


「それは、貴方に仕える事こそが僕の喜びだからです!」

 さわやかな笑顔で言い切る。


「却下。」

 さわやかな笑顔で返した。立ち尽くすイエルス。


「わかりましたよ!ユウト様!」

 目を輝かせているレンディル。


「言って見ろ。」

「はい!ズバリ、男だから駄目なのですね!」


 ・・・おい。

 呆れて物が言えないとはこのことか・・・


「プフー。ケダモノだからね!」

 ペチペチと肩を叩いてくるロシィ。反対側から笑いを堪えてペチペチしてくるリリィ。


「ち、違うわ!」

 クワっと反論するが、


「ちょっと奥さん、旦那様、噛みましたよ。」

「動揺してたんじゃないですかね。本当に創るつもりですよ奥さん。ハーレミュを・・・噛みまみた。」

 ニヤニヤするリリィとロシィ。


「コホン。ルシアナ、何故か言っておあげなさい。」

 わざとらしい咳に変な口調になってしまった。ぐぬぬ。


「しょうがないわねー。良い?アンタ達。」

 人差し指を立て少し前かがみになり教えようとする。たわわ。

「ウチとアクシアはユウトさんの仲間で、アンタ達は仲間じゃないってことよ。」

 ビシっとレンディルとイエルスに指差す。まぁ、間違いではないんだがそれでは2人はわからないだろう。ほろ、はぁ?っていう顔をしている。


「えー。一応ルシアナが言った通りそういう感じが理由だ。」

ルシアナに仲間じゃないと言われ、それを夢叶に肯定され絶望する2人。


「何故、俺達の仲間じゃないと言われているかわかるか?」

 さっぱりというように首を傾げる男2人。


「俺の事をどう思っている?」

「「主です。」」

 即答で同時にそう返ってきた。


「はぁ、ほらな。お前達は俺を仲間とは思わず、主としてでしか見ていない。それは仲間ではなくただの主従関係だ。お前達はもう奴隷じゃないんだ。名前を付けたからといって悪いが俺はお前達の主になるつもりはない。」

 このままでは気付きそうなので答えを言う。


「しかし・・・。」

 何か言いたそうなレンディル。


「シルヴィにも言ったが俺を主として見ている限り、連れては行かない。しかし、今まで奴隷だった習慣や依存がそう簡単に消えるとも思えない。だから、せめて努力をしろ。仲間であろうとする努力を。それならば連れて行ってやる。」

 沈んだりしていたが、明るい顔になる2人。


「はい!ありがとうございます!」

「はい!ありがとうございます!ユウトさ・・・ん!」

 様と言いかけのをギリギリに替えたレンディル。


「ああ、その調子で頑張ってくれ。」

 男2人がわーいと両手を繋ぎあってピョンピョンしている。・・・誰得?


「それでだ。次の行き先はまた別の異世界に行こうと思っている。」


 ・・・シーン。


「「「「え!?」」」」

 アース家が唖然とする。普通は異世界に行くなんていう選択肢はないのだから当然である。アース家以外はそんな気はしていたという反応だ。


「これからすぐにというわけではない。せっかく奴隷解放運動的なことをしたのに解放したら終わりだとすぐに制圧されて終わりだからな。だから当分は・・・そうだな、1年・・・いや半年ぐらいこの都にいるつもりだ。それだけいればある程度の形にはなるだろう。何よりも俺がそんなに長くここにいるつもりがないしな。それまでにアース家はしっかりと奴隷習慣を卒業すること、わかったな!」


「「「「はい!」」」」

 アース家の元気の良い返事が返って来る。



――――――――――――


 それから約半年間、都の運営を見張り小屋から奴隷引き連れて来ていた茶髪で無精髭をした男性に任せることにした。貴族で領地も収めていたことがあるそうだ。


 しばらくの間、都にいる元奴隷達には基本的な指示を出し、自分で考えて作業をやる様に極力仕向けていた。1か月ほどすると自分から何かしたりする者が現れ、指示に関係ないことや趣味を見つける者も現れ始めた。そして、半年ほどすぎれば、殆ど普通の人間と変わらない奴隷だとは思えない人間らしさを得ていた。


 その間、夢叶はひたすらアーティファクトを作成し続けていた。必要となる魔石は、クリエイトにより作成することが出来たので全く不便な事にはならず、どんどんと様々なアーティファクトが創られていった。途中、ロシィとリリィにシルヴィともチョメチョメしていた。

 ん?シルヴィとも何故しているのかって?ある日「妾もハーレムに加えてくれ!」と言ってきたんだ。最初は「ハア!?」となったが、理由を聞けば、

「妾を妾と見てくれる殿方はユウだけだ。それに妾よりも強い。こんな感情は初めてだ!これぞ、まさしく愛だ!」

どこかの武士道的な発言をしていたが、真剣だったし、あの時の顔を真っ赤にしたシルヴィは非常に可愛かった。ロシィとリリィもシルヴィが加わる事に何の問題もないようだったし、こちらもシルヴィは良い奴だし、好意だってなかったわけじゃないところに告白?された為、ハーレムに加わったのだ。

 そのチョメチョメの間にリリィとも主従契約をしてマナ操作を与えた。自分がいない所で何が起こるかわからないから自分でも護る力はあった方が良いということからだ。


 あと、完全に忘れさられていたアーティエも付いてくることになった。リリィに。命の危険があると言っても奴隷にそんなの当たり前と凄い形相のアーギョモードで怒鳴られながら言い切られ、すでに覚悟はできているようなので特に断る理由もないから反論はできなかった。ただ、エリィに剣を鍛えて貰い、魔法はアクシアに教えて貰うことを条件にした。なぜ、自分かロシィやシルヴィ達が教えなかったのか。それは、リリィもまだ魔法に触れている期間が短いし、夢叶とロシィにシルヴィはマナを操れるが、魔力操作は教えるほどできないからだ。



 そんなこんなで約半年が過ぎ、思ったよりも早く都の機能も元奴隷達もしっかりと自身の生活を行えるようになってきたので、そろそろこの世界を発つことにした。困っていた資金源はクリエイトした魔石が大半を補っていたがもうしばらくすれば自分達でも食糧や資金も調達できるようになるだろう。その間の資金は渡しておいた。それと、ブラックドラゴンにこの都は守護されていることを世界に知らせ、アーティファクトの黒炎の防壁を作れる物を渡しておいた。しっかりとこの都いや、奴隷解放による独立した国を護るように、たまに見るから変な事はするなよと釘をさしておいた。


 さぁ、この世界でやることは済んだ。たぶん。次の世界に行くとするか。


「俺が求めるのは剣と魔法がある世界、ファンタジー世界。冒険してみたんだよゲート!」

「何そのやけくそ気味な詠唱。」

 ロシィに突っ込まれながら、皆と笑いながら開かれたゲートを潜った。

いつも御読み頂きありがとうございます!

次回から第3章に移ります。

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