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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第51話 魔力値18ですが、何か?

「馬鹿な・・・あり得ない。あり得ないはずだ。あの魔法がそう簡単に還せるはずがない!」

 近場の屋根に降り、驚愕している田中太郎。同じく、向かいの家の屋根に降りる夢叶。


「これならどうだ!」

 周囲の屋根が剥がれ、夢叶目掛けてかなりの数の瓦礫となった屋根が飛ばされる。


「その程度!ファイアウォール!」

 手を横に払い、向かってくる瓦礫の範囲に炎の壁を出現させる。瓦礫はファイアウォールにより、焼失していく。


「さらばだ。」

 夢叶の後ろにテレポートして、手をクロスさせ、左手が顔を隠し、薬指と中指で目を挟むように目を覗かせ、キランとさせている。右手で夢叶の背中目掛けて、何やら集束砲を放つ。


「お前がな!」

 田中太郎の集束砲を体を翻すようにして躱。そのまま、見下すように顔を上げて目を下に向け、手を田中太郎の目の前に付きだすと、田中太郎の足元から火柱が立ち上がり、田中太郎を飲み込んだ。


「ユウ、強くなってない?」

 苦笑いして呟くロシィ。

「ああ、恐らく、もう我々では勝てないだろうな。」

 ロシィの呟きに返すシルヴィ。それを聞いて唇を尖らせるロシィ。


 異世界に来た当初は、ド素人がマナ操作による力技でどうにかしてきた夢叶だが、実戦も多数することにより、属性による影響、攻撃する際の効率の良いイメージ。戦闘のイメージ。マナ操作にさらに磨きが掛かっているのだ。元々なかった戦闘経験が、異世界でのトップクラスの強者とばかり当り、マナ操作によるごり押しでもその経験値はかなりの者である。強くならない要素がない。


 火柱の中から炎の矢が無数に飛び放たれる。


「な!?」

 体を捻りながら後方の屋根に飛び移る。


「ふぅ。危ない危ない。」

 火柱が収まりだし、無傷の田中太郎の姿が現れる。


「あれを無傷か・・・。直撃したと思ったのだが。」

 何かカラクリがあるのかと思考を巡らす。


「なるほどなるほど。お前の魔力量もなかなかなようだが、魔力操作が強さの秘密と言うところか。久しぶりに戦いというものをしたよ。しかし、この私、田中太郎神たなかたろうしんには勝てんよ。」

 顔をフッとし、手を頭に添え、手を横にバッと残った火柱をカッコよく(つもり)全て消す田中太郎。


 イラッ。


「ねぇ、あれって。」

「うん。」

「ああ。」

「ユウと同類だな。」

 ちょいちょいやる夢叶の痛い行動にそっくりだ。


「なかなかやるようだな!田中太郎神!しかし、お前の力はもう見切った!」

 左手で片目隠し、右手を前にビシッと付きだす。


「ほぅ。この神の力を見抜いたと言うのか?良いだろう。答え合わせをしてやろう!言ってみろ!」

 両手を広げる田中太郎神。


 イラッ。


「お前は、この世界に存在する魔力を最高の権限で自由に操ることができる。ただ、それだけだ!ゆえに、異世界である俺の魔力を操ることはできない!例え、魔力操作が封じられようとも、俺の魔力だけでお前を足せばいいだけの事だ!」

 握り拳を作り力説する。


「フフフ。ハーッハッハッハ!素晴らしい。正解だ。だが、正解したからとして私に勝てるとでも思っているのか?お前の魔力はいずれ底をつく。ならば、最大火力で一気に俺を倒すしかない。そんな見え透いた手で俺が、我が!神が!!この世界の絶対存在である神が!倒せるわけがないだろ!!」

 高らかに笑い叫ぶ。


「神神うるさいな。殺すぞ?」

 夢叶の空気が変わる。


 その変化にロシィやシルヴィ、田中太郎神も含め全員がゾクっと寒気を感じる。


「何か、無性にイラッとするなぁと思ったら。それだわ。神だわ。死ねよ。」

 一瞬にして、最初の田中太郎が作り上げた太陽のような炎の玉を作り出し放つ。


「ふん!貴様にこの神が倒せるわけがないだろう!言っただろう!貴様の魔力操作は無意味と!」


 太陽のような炎の玉を掻き消す。

しかし、その後ろに同等の大きな黒炎の玉が田中太郎に押し寄せた。


「闇属性を付与したか。だが、しかし!」

 再び、田中太郎は魔力操作により掻き消そうとするが、だがしかし。その黒炎の玉は消えるどころか何の反応もない。


「馬鹿な!これをお前1人の魔力で作ったと言うのか!?」


 この密度、この大きさ。田中太郎は焦った。これほどの物を自分の魔力だけで作れる者がこの世界に存在できるはずがないのだ。これほどの魔法を1人の魔力を作るとなると神である田中太郎1人の魔力量と同等の魔力が込められているはずなのだから。

 この世界を作った時、田中太郎は自分よりも高い魔力を持つ者がこの世界に入らないようにと転生した神に追加で頼んでいたのだ。神の不手際だ。それぐらいのサービスはしてやろうとしてくれているはずであった。

 だというのに、この魔法である。高い魔力を持つ者。つまり自分より強い者は入って来れないが同等の魔力を持つ者ならば入って来れると言うことだ。今になって田中太郎は後悔した。これでは、油断すれば殺られるのは自分じゃないかと。神となり、寿命が無くなっている為、今までだって何度も戦いはした。自分のハーレムを作るため、自ら冒険者となったりして。モテる為に。最終的にモテることが出来なかった為、奴隷ハーレムという手段に逃げた結果このような世界になったとは声に出して言えないが。冒険者になり戦ったとはいえ、自分より強い者や魔物も存在しないし、もしもの時に、殺されないようにと作っているのだ。命の危険など感じたことがない。


「だがな!かわしてしまえば何の問題もない!」

 テレポートで夢叶の頭上に現れる。


 田中太郎の保有魔力量と同等であの魔法を放ったということは、夢叶はもうまともに動くほどの力は残っていないはず。勝ちを確信して、光の矢を放つ。

 しかし、その矢は夢叶の黒炎の薄い壁により防がれて消滅した。当然、田中太郎は妨害できないようにと魔力を夢叶にさせないようにと対策はしていた。なのに、防がれた。


「あり得ない!何故だ!」

 驚きを隠せない田中太郎。あれほどの魔法を放って、まだ魔法を使えるほどしかも闇属性の炎を使える力があるということは田中太郎よりも魔力が高いということになる。神がさぼっていたのか?そんな疑問さえもよぎる。


 その答えを確認しようと再び光の矢を放つ。先ほどよりも強力な物を。

 しかし、それは再び薄い黒炎の壁が防ぎ、相殺される。


「ハハ。なんだ。そういうことかよ。この神を驚かせるとはなかなかやるじゃないか。」

 黒炎の壁が使えた理由がわかった田中太郎。


「アーティファクトか。昨日そんな物を作っているのを見たぞ。お前の魔力だけで込められていたら確かに可能なことだな。」

 夢叶が手に持っている鉄のカードを見て安堵する田中太郎。


「お前は良くやったよ。本当に。この神にここまで追い詰めたのだ。誇りに思って消えるがよい。」

 夢叶の対面へと降り、まるでビックなバンなアタックするかのような構えをする田中太郎。


 だが、そこから放たれることなく、回避を余儀なくされる。黒炎の玉が再び田中太郎を襲ったのだ。速度を上げて。


「あり得ないあり得ない。」

 田中太郎は目に見えて焦っている。


 あの魔法を操るほどの魔力がまだ残っているだと!?日本人だ。この世界では考えられないようなこともやってくるのはまだ分かるが、いったいどれだけの魔力があるというのだ。あれほどの魔法を操るのにもそれなりの魔力は必要なはずだ。俺でも一度、方向を変換させることが出来るかどうかという所なのに、なぜあいつはそれでも平然としていられる。


「ええい!」

 周囲の魔力を集束し聖属性で放つ。


 黒炎と相殺され、すさまじい衝撃が起こる。

 その衝撃により、城を護っていたアーティファクトの結界が壊れてしまった。


「しまった!」

 瞬時にアース家の元へとテレポートして、アーティファクトを2人に渡す。


「これで、小さいが2人ぐらいは結界の中に入れるから、アース家はそれぞれこれに入ってくれ。」

 魔法を使えるアクシアとイエルスに渡し、すぐに発動させる。


「悪いが、ロシィとシルヴィ。リリィとエリィの事を頼む。余裕があればアーティファクトを作れるんだが、作るまでの余裕はなさそうだしな。頼む。」


「当然!ハーレム2号は守って見せるよ!」

 ドンとない胸を叩くロシィ。

「任された。」

 頷くシルヴィ。


 その2人を見て田中太郎の目の前にテレポートする。


「・・・ほう。くくく。良いことを考えたぞ。確かに、お前は強いようだ。この世界には俺より強い魔力を持つ者は入って来れないようになっているが、入って来てから上昇したとしか考えられない。しかし、あれほどの魔法を放てば、魔力操作もできないお前でも、あれほどの威力の魔法は放てないだろう。それにあれを防ぐのに周囲の魔力は薄れてしまったしな。どの道お互い強力な魔法は使えない。そうだろ?」

 ニヤニヤとする田中太郎。明らかに何かあるのが明白だ。


「それに、お前は仲間が大事なようだな。そんなお前にはこの攻撃が耐えれるか?」

 指をクイッと上げると、都にいた人間達が宙に浮き上がった。


 各所から悲鳴が聞こえるがそれも浮き上がった所から順に消えて行く。


「・・・何をした?」

 田中太郎を睨みつける。

 

「何。この世界の神は俺だ。自由に扱えるのは当然のことだろ?」

 都の人々が田中太郎の前に集められる。


「人質のつもりか?」


「人質?そんな生易しい物じゃないさ。わかっているんだろ?この状況を。」

「クズだな。奴隷ハーレムにしかできないわけだ。」

 吐き捨てるように言うと、田中太郎がプツンと何か切れたような音が鳴った気がした。


「やれ!」

 空を飛んで、攻撃してくる都の人達。


 殺すわけにはいかない。おそらく、様子からして気絶させても無意味だろう。人形のように操っているはずだ。悲鳴が止まったのがその証拠と言える。なら、人々の攻撃をさけ、田中太郎を先に倒すしかない。


 テレポートで田中太郎の真後ろに周り、集束魔法を放つが。

「さっきのお返しだ。」

 今度は、こちらが読まれていた。田中太郎に後ろを取られた時に返した事をそっくりそのまま返され夢叶の下から火柱が上がる。

 瞬時にテレポートする。


「読んでいる!」

 テレポートから現れる影が出た瞬間、聖属性の集束魔法が放たれ、その影が崩れさる。


「何!?」

 崩れ去った影は、夢叶ではなくただの瓦礫であった。


「身代わりの術ってね!」

 火柱を黒炎で突っ切って、顔面パンチを直撃させ、田中太郎を数軒離れた屋根まで吹き飛ばし、ぶつかった衝撃で瓦礫田中太郎が埋もれる。当然身体強化しており、普通の人間なら胴体から首が離れていてもおかしくない威力だ。離れないと言うことは、田中太郎も身体強化をしていたということである。まぁ、異世界に身体強化は基本だからなと思いつつ、人を思いっきり殴ったのは初めてかもしれないと殴った感触を確かめる。


 

「・・・己、己、オノレおのれ己、おのれー!!!」

 ガラガラと瓦礫から出てきながら、どこかの最古の王が言ってそうな事を連呼している。


「お前の魔力は、一体どれだけあるんだ!」

 クワっと目を開き、叫ぶ。


「魔力値18ですが、何か?」

 真顔で返した。

御読みいただきありがとうございます!

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