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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第50話 新世界の神になる!by田中太郎

「ん?」

 何かの視線を感じて、上の隅の方を見る。


「・・・気のせいか?」

 首を傾げる。


「どうしたの?」

 抱きついているリリィが上目使いで聞いてくる。


「いや、何か見られている気がしてな。」

 う~ん。としていると。

「私は特に何も感じなかったよ。」

 抱きついているロシィは上目使いで言う。


 2人とも可愛くて抱きつきたいが、皆の前だし我慢だ。手をプルプルさせているが。


「妾も何も感じなかったぞ。」

 シルヴィも答えてくれた。


「2人が気付かなかったってことは、俺の気のせいかな。この機会にそういう覗き見防止のアーティファクトを作るか。今後、出てくるかも知れないしな。」

 そう言って、再びアーティファクト制作に取り掛かった。


 途中、夢叶以外は街を見周りに行き、指示を出したり様子を見に行ったりはしている。



―――――――――――――――― 次の日


『ここにいるのはわかっている!出て来い!』


 朝早くに突如、元帝国、都の空から男の声が響き渡る。


 慌てて起きてテレポートでバルコニーに転移する。ジャージ姿だ。外を見渡すと、上空にまるで空に立っているかのように人が浮いている姿があった。いかにも勇者というような格好で、マントを靡かせている。額当てをしているが、黒い髪に前髪を長めに伸ばし、目が少し隠れている。


「何だお前?」

 眠そうに尋ねる夢叶。


「・・・やはり、日本人か。」

 その声に気付き、先ほどの響き渡るような声ではなく、普通の声で喋り掛けてくる。


「・・・お前もか。」


 この世界で、日本人という単語が出てくるということはそれ以外に考えられない。自分自身、自分の力で異世界に行けるのだ。他の者もそういう力があっても不思議ではない。


「お前のような転生者が来るなんて、神からは聞いていないんだがな。召喚でもされたか?それなら、ここの連中なら百人もいれば可能だろうからな。」

 何やら、顎に手を当て、考えているようだ。


 神・・・?神から聞いていない?神と知り合いなのだろうか。やはり、何か引っかかる。


「それで?お前はなんだ?召喚されたのか?」

 とりあえず、現状を進展させようと会話を再開する。


「くっ、くくくく。」

 口元を押さえ、急に笑い出した。


「何がおかしい?」

 ドン引きしながら尋ねる。後ろに、ロシィ、リリィ達が駆けつけてきた。


「お前のような召喚されただけの人間と一緒にされて貰っては困る。俺は、神だ!」

 バッと手を前に付きだし、ポーズを決めている。


「「「「ハ?」」」」

 夢叶一行が同じ反応をした。


「もうひと眠りするか。」

「そうだね。」

「だねー。」

「ああ。」

「はい。」

 それぞれが、バルコニーから出て行こうと背を向ける。


「待て!待て待てー!何だお前ら!この俺が!神がわざわざ出向いたというのに何だその態度は!?」

 神と名乗る日本人が慌ててバルコニーに降りて来て必死に待てと言う。


「何だ?哀れな神よ。」

 ロシィがニタァと言う。


「小娘風情が。いいだろう教えてやる。」

 イラっとしたが我慢したようだ。そして、説明を勝手に始めた。


「俺は、田中太郎。この新世界の神だ!」

 超普通の見本となるような名前だ。


「俺は、神の手違いで日本にいた頃にトラックに轢かれてな。まぁ異世界物の定番だ。神に詫びに望みとこの世界への転生を与えてくれたのだ。そして、俺が望んだのが、新世界の神になる!だ!日本人のお前ならわかるだろう?このチートの力を!恐れ入ったか!」

 腰に手を当て、胸を張りワーッハッハッハと大声で笑う。


 マナ感知。田中太郎のマナを調べる。この世界の者よりは多い。マジェストの倍ぐらいだろうか。

 ここで、注意するべき点は魔力量だ。マナは感知できるが、魔力は感知できない。魔法は最終的にマナが動く為、どれくらいの威力か把握できるが、体内の魔力保有量はどれだけあるのかがわからない為、正確な強さがわからない。肉体的な強さはマナ量である程度わかるのだが。マナ量が多いと、それだけ体が強化されているということに繋がるか、魔法に長けているかだ。

 マジェストは魔法に長けており、マナ量により想定した以上の強さを持っていた。あのグングニルほどの威力を持つ魔法を放てるとは予想外だった。魔法陣とかの影響ではあるだろうが。


 そして、気になるのは、新世界の神という望みで与えられた力だ。恐らくだが、この世界に干渉できるのだろう。どの程度干渉してくるのかが問題だ。あの自信、かなりの干渉ができるに違いない。良い予感がしない。


「ああ、なんとなく想像できる。それで、何かようなのか?」

 警戒しながら尋ねる。


「ああ、数百年ぶりに自分の世界以外の人間と話をしたかったっていうのもあるが、ブラックドラゴンが俺の王国と帝国をぶち壊しやがったみたいだからな、処理しに来たんだ。それで、様子を見るために覗いたらブラックドラゴンではなく、まさかの日本人がいるじゃないか。」


 昨日、何か視線を感じたのはこいつだったのか。

 ロシィが肩眉をピクっと動かす。


「アーティファクトでなかなかの魔力を込められるところを見て、何やらハーレム紛いのことをしている奴がどんな奴か合って見ようかと思ったわけだ。」

 何故か顔を引き攣らせている田中太郎。


「もう、見ただろう。用がないならとっとと帰れ。」

 シッシッと手を振る。


「神に向かって、その態度はなんだ?」

 声が少し低くなった。


「お前が神であるはずがないだろ?仮に神であったとしても俺は認めん!」

 指差してやった。


「・・・ほぅ?その理由は?」

 我慢しているようだ。


「ファンタジー世界に作ったのなら何故、獣人や魔族(サキュバス的な)や亜人、サキュバスがいない!」

 当然のように言い放ち、後ろの背景に雷が鳴っているかのようだ。


「ねぇねぇ、何か同じことを二回言っているような気がしたのは気のせいかな?」

「気のせいだと思いたい。」

 ロシィとリリィがコソコソと話している。


「フッ。俺は、ケモミミなど亜人に興味はない。俺は、人間のハーレムが作りたいのだ!男のロマンだろ?」

 親指を立て、歯を見せてキランと光っているようだ。良い顔だ。


「確かに。」

 静かに親指を立てる。


「ハーレム一号です!」

「2号です!」

 ヒシっとロシィとリリィが左右に抱きついてくる。その2人の後ろに手を回す。


「おい、何だ、その女どもは。俺への当てつけか?ぁあ!?」

 声が低く、明らかに怒気を放っている田中太郎。


「田中太郎。お前、ま、まさか!?」

 察してしまった夢叶。


「んん?何か問題があるか?1000年間、まともにハーレムを作れなかったが、何か問題あるか!?ハーレム作りたくて、奴隷ハーレムを作りやすい世界にしたというのに、所詮奴隷だ!俺を俺として想ってくれる奴なんて1人もいなかった!それなのにお前はー!」


「凄い八つ当たりじゃない?」

「自分が作った世界でも自分の魅力が出せないとか。」

 ねー。とロシィとリリィが哀れと首を振っている。


「おい、2人とも事実であっても言っても良いことと悪いことがあるんだぞ!」

 夢叶の言葉にあ、ごめん、テヘペロという反応をする2人。


「許さん!」

 さすがに怒ったようだ。


 バルコニーが崩れ、田中太郎と共に宙に舞って行く。


「まずは、その厄介な結界をぶち壊そうか。」


 城内全体に対してアーティファクトによる、夢叶が魔力を込めた結界が張り巡らせている。バルコニーは田中太郎と会話する為に対象外にされていた。


「ブラックドラゴンは恐らく俺の最高傑作でもある神龍と同程度の力を持っているはずだ。さすがに1人で処理するには骨が折れるからな、神龍の奴がどこかに行ってしまってな。ぶつけようにもぶつけられないのだよ。だから!いない間にお前には消えて貰う。何、同郷の好だ。楽に殺してやるよ。」


「なるほど、ブラックドラゴンより少し強い程度か。なら、俺には勝てないよ。田中太郎!」

 睨みつけて言う。


「フン、強がりを。この世界で俺に勝てる者はいない!」


 宙に舞った、バルコニーの瓦礫が加速を付けて飛んでくる。それを結界で弾く。その間に田中太郎は、さらに上に飛び、人差し指を空に向け、その先に大きなそれは大きな、まるで、どこかの星を壊して綺麗な花火でもするのかというほどの太陽のような炎の玉が出来上がる。


「さすがにあれは、アーティファクトでは防げなさそうだな。」

 昨日即席で作った結界のアーティファクトではあるが、遠距離から魔法等で見られないように認識阻害に、防御の結界を作ったそれなりの大規模なアーティファクトである。それを城の主柱に付与し、城全体を護るようにしている。そして、もうひとつの小型のアーティファクトを用いて、遠隔操作できるようにしている為、夢叶の魔力、マナ操作により範囲等の調整が多少できるようになっている。


 あまりに大きな太陽の炎の玉にアース家は腰を抜かしているようで、リリィとエリィも少し怖気づいているようだ。ロシィとシルヴィでさえ、これはガチでいかないとまずいかもと思うほどである。


「ほう、お前、なかなか面白いな。魔力を操れるのか?さすがは召喚者というところか。お前自信の魔力とこの世界の魔力がこの結界に混ざっているな。ならば、この世界の魔力を取り除けばその結界の効果は半分もないだろう。」


 その通りである。夢叶はいつも通り、マナ操作を用いて作った為、夢叶自信の魔力は極僅かだ。この世界の魔力分を取り除かれてしまえば紙も同然だ。

 しかし、嫌な予想は当るものだ。こうなってはもう一つの嫌な予想も当る可能性が高い。


「アクシア!ルシアナ!レンディル!イエルス!絶対にこの城から出るなよ!」

 そう言って、城外へと跳び出す。


「ほう、空も飛べるか。最近来た者にしてはかなりの力を手に入れているようだな。しかし、俺以上に強い者はこの世界に存在できないんだよ!」

 腕を振り落とすと太陽のような炎の玉が夢叶に向かって放たれる。


「闇よりの湧き出る水、闇を纏いし、聖なる氷、聖なる水よ。飲み込み吐き還せ!ダークセントケイス!」


 闇属性を纏った聖属性の巨大な氷の中に聖属性の水が入り、それを闇属性の水、津波となり太陽の玉へと放たれる。


「む!?最上位属性両方を同時使用か!だが、そんな魔力密度ではこれは防げんぞ!」

 余裕の表情だった田中太郎だが、その表情は一瞬にして崩れ去る。


 闇属性の津波が太陽の玉へと当ると、表面から分解していき、3分の1ほど玉が削り取られ、さらに闇属性を纏った強大な氷でさらに3分の1が削り取られ、聖属性の強大な氷が表に出ると、周囲の分解された炎を取り込み、氷が中の水と取り込んだ炎をを放つように割れ、聖属性の水がさらに炎を取り込み、その炎が田中太郎へと向かう。大半の炎を失った太陽のような炎の玉だった物は、城に辿り着く前に霧散した。


「馬鹿な!」

咄嗟に、テレポートで避ける田中太郎。


「悪いな、お前より強い奴は存在しているみたいだぞ。」

 夢叶は決め顔でそう言った。

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