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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第48話 アーティファクト作ってみた。

「テストですか?」

「ああ、自分の命の大切さが本当に分かっているかのテストだ。」

 レンディルの問いに対し、そう答える。


「どういったことをするのでしょうか?」

「まだ、何もしない。まだな。」

「は、はぁ。」

 意味深な言い方をする夢叶に頷くしかないレンディル。


「とりあえず、どうせだから皆でアーティファクトの知識を教わろうと思うんだが、どうだ?」

「「サンセ―。」」

 夢叶の提案に手を上げるロシィとリリィ。


「知っておいて損はないだろうし、賛成だ。」

「うむ。」

 エリィとシルヴィも賛成。


「・・・お前達は?」

 少し待っても返事がないアース家に尋ねる。


「私達も、いいのでしょうか?」

 申し訳なさそうに言うイエルス。


「はぁー。まぁ、まだしょうがないか。」

 奴隷から解放されてもそう何度も簡単に自分の意見は言えないのだろう。特に自分達がしたいことについては遠慮してしまっている感じがする。


「いいんだよ。アーティファクトに興味がないと言うなら別だが、知りたいんだろ?俺は、皆で教わろうと言っているんだから遠慮する必要はない。」

 どうする?と言う感じで手を出す。


 アース家はお互いの顔を見合わせ、目を輝かせ。

「「「「お願いします!」」」」

 頭を下げた。


「じゃぁ、えっと。早速だけどアーティエだっけ?悪いけど呼んで来てくれるか?」

 リリィに頼む。


「うん、ちょっと待っててね。」

 パタパタと出て行く。


「リリィ。1人では!」

 エリィの心配を余所に姿が見えなくなった。


 まだ、安全とは言えないこの都でリリィを1人にしとくには危なすぎる。

エリィがこちらを見たので頷き、頼むと片手を上げると、すぐに走って追いかけて行った。



―――――――――――


 特に何事もなく帰って来た2人。その後ろにアーティエが恐る恐ると言った感じでリリィの背中から幼い顔を覗かせている。


 エメラルド色の髪にエメラルド色の瞳。エメラルド色のローブを着ている。


「ほら、アーティエ。隠れてないで挨拶して。」

 リリィに背中を押され、出てくる。その手には巾着袋が握られていた。


「ア、アーティエ・グラディオです。リリィナ様に名付けていただきました。20歳です。よ、よろしくお願い致します。」

 一生懸命に勢いよくペコリと頭を下げる。



「「「「「20!?」」」」」


 明らかにまだ、中学生ぐらいだろうという少女の容姿に誰もが驚いた。


「な、何か?」

 皆の驚きに動揺するアーティエ。


「あー。すまない。ただ、合法ロリかと思っただけだ。」


 ?と首を傾げるアーティエ。


「あー、気にしなくていいからね。ここにいる人達にアーティファクトについて教えてほしいの。」

 苦笑いしながら、本来の目的へ移る。


「わ、わかりました。行う場所は、ここでよろしいのでしょうか?」

 たじたじしながら始めようとするアーティエ。


「ここでできるのか?」

 鍛冶をする場所みたいな所をイメージしていたんだが。


「は、はい。アーティファクは基本的にどんな物でもアーティファクトとして作ることができるのです。」



 アーティファクトとは、古代文明による高度な技術による強力な道具の事も言うが、この世界では魔法道具のことである。


 作るのは案外簡単で、物に魔力を込めることにより、アーティファクトすることができる。魔力を込める時に、どの様な時に何が起きるのかなどを意識して物に魔力を込める事によって可能となる。

 ただし、魔力を込めた分の働きしかしない為、少量の魔力では使い捨てアーティファクトとなるようだ。

 何回でも使えるようにするためには、魔石が必要なようだ。魔石は、常に微量の魔力を空気中から集め、蓄積する能力があり、一度に枯渇するまで使わない限り、繰り返し使うことができるのだ。


「え?超簡単じゃん。」

 予想外の簡単さに驚きの声を上げた。


「・・・え?」

 その驚きの声に驚きの表情をするアーティエ。


「え、え?あの、そんなに簡単ですか?やってもいないのにですか?」


「ああ、悪い。そうだよな。やってみないとわからないよな。説明聞いてるだけでは魔法と同じだと思ったんだよ。」


「・・・魔法と同じですか?」

 どこが?という感じだ。


「え?むしろ、どうやって魔法使ってるんだ?」

 先ほどと違う驚きだ。


「詠唱に魔力を乗せることで発動するのでは?」


 詠唱、言葉が鍵となり発動すると言っている。イメージで発動するとことが分かればこの世界の魔法の有りようが変わるのではないか?

 それは、いろいろと危険だ。この世界の魔法の幅が広くなる。そうなると、この世界の魔法使い達が強くなってしまう。仲間に危険が伴う確率が上がるし、何より俺つえーがしにくい。魔力操作とマナ操作の圧倒的な違いはあるが、無双ができなくなったりしたら、全く持って面白くない。

 それに、仲間の危険が大きくなる。もしもの事があっては駄目だ。


「ま、まぁ、そんな感じだ。」


 とりあえず、誤魔化すことにしたが、アーティエはどこか納得がいかない様子だ。


「とりあえず、家にあった素材を適当に持ってきたのですが。」

 そう言いながら、巾着袋をリリィに差し出す。


「開けても良い?」

「はい。」

 アーティエの確認を取ってから巾着袋を開けると良くあるお店のポイントカードぐらいの大きさの鉄が3枚に鉱石が2つ入っていた。


「この鉱石って魔石?」

「はい、そうです。魔石は山奥にあり、入手が難しい大変高価な物となっていまして。この魔石1つで小さな家なら1軒買えるほどの価値があります。」


 リリィの問いに対し、説明を入れながら答えるアーティエ。


「まじで!?これいっぱい収穫したらここの食糧問題とか金銭面もろもろ解決するんじゃね?」


「いや、あの、だから、入所場所が非常に困難なので不可能です。」

 キタコレと思っていたらアーティエに不可能と言われた。なんだろう、見張り小屋にいた奴隷達よりもいろいろと物をはっきりと言う子だな。年上なのだが見た目ゆえにそう思ってしまう。


「どんな所にあるんだ?」


 夢叶の何気ない質問だったが、アーティエはリリィを見て離しても良いのかを確認する。リリィを主として、認めているようだ。よほど名前を付けられたのが嬉しかったのだろうか。前の主は、例の如く物扱いされて来たのだろう。職人として育てられたとしても、扱いは物。機械の役割を果たしていたに違いない。


「リリィナ様が良いと言うことで、御教え致しますが、無闇に口外はしないでください。今の用に、お金儲けの為に取りに行って何人もの人が帰って来なかったのですから。中途半端に小耳に挟んだ程度だとそう人が後を絶たないのです。」


「わかった口外はしない。しかし、それだけ危険な場所なのに、二つもよく手に入れれたな。」


「これは、その場所とは違う場所で手に入れた物ですので。」


 何人もの人が帰って来ない場所は、大きくて質が良く、量が非常に多いそうだ。ここにあるのは違う場所で入手した物で質も数も悪いそうだ。


「・・・その場所は、ドラゴンの巣になっているのです。」


 え?と思わず全員がロシィとシルヴィの顔を見た。その様子に何で?と首を傾げているアーティエ。


「つまり、ドラゴンの物を盗もうとしているってことだな。それで、ドラゴンに襲われるということか。」


「いえ、ドラゴンと言えど所詮は魔物です。知能などあるとは思えません。」


「それは、早計じゃないかな。魔物にだって知能はあると思うぞ。それ以前にドラゴンからしたら人間こそが魔物と思っているかもしれない。自分の宝かどうかは知らないが、持物を何度も奪いに来るような最悪な連中だ。力の差も考えないで毎回やって来るんだからな。人間の方が知能がないと思っているんじゃないか?」


「確かに、辛うじて生き延びて帰って来た者の中には声を聞いたという話がありましたが、その後そういった話は聞いていませんので、必死で幻聴ということになりました。あ、でもブラックドラゴンも喋れますし、奴隷解放なんて良く分からないことを考えていますし、案外本当にそこのドラゴンも知能があったり喋れるのかもしれませんね。」

 否定しながら喋っていたのだが、ブラックドラゴンの存在で喋れる可能性は十分にあると1人で納得していた。


「まぁ、とりあえず、この鉄で試してみても良いか?」


「どうぞ。」

 チラっとリリィを見て確認を取り返事をするアーティエ。何度も確認をしてこられてリリィは少し苦笑いしている。


 鉄に手を翳し、魔力の扱いはいまいちよくわからない為、マナをちょっと注ぎ込む。


「なんという魔力量!?」

 ちょっとのつもりだが、魔力だとかなりの量みたいだ。それも仕方がないが、魔力はマナを動かすための物だ。その動かすための魔力を用いず、直接マナを動かしている為、感じる魔力はその動かすのに必要な分として感じるのだ。


「しかし、それでは魔力をただ無駄に垂れ流しているだけです。ずっとそこにあるように刻み付けるように注いでください。」


 刻みつけるようにか。一呼吸してもう一度、鉄に注ぎ込む。刻みつけるように。


「これでどうだ!?」

 数秒後、イメージした物を刻み付けれたと思い注ぐのを止めてアーティエに確認を取る。


「す、凄い。凄いです!初めてで、これほどまでのアーティファクトは始めてみました。何の効果を付与したのかまではわかりませんが、これなら金貨数十枚は取れると思いますよ!」

 あまりの出来栄えにアーティエは感動しているようだ。


 そのキラキラとした目を見ると、ああ、アーティエはアーティファクトが大好きなんだなと思い、なんだか嬉しくなり、顔がほころぶ。


「あれ?そういえば、アーティエって魔力を感じることができるのか?」


 先ほどから、アーティエはなんという魔力量とか言っているし、アーティファクトを見てどれほどの魔力が宿っているのかが分かっている様子だ。


「?当たり前じゃないですか。魔力感知ができなければアーティファクトを作成することなんてできませんよ。」

 さも当たり前のように言われる。


「あれ?学校でも学べるって・・・。」


「ああ、学べるみたいですよ。聞いた所によると、魔力感知ができなくても魔力を流すことは魔法使いならできますから。ただ、本当に出来ているのか、出来栄えやあと何回ほどそのアーティファクトが使えるのかがわからないといったことがあるので、普通、魔力感知ができない者は知る必要がないのですよ。作ったとしても一発勝負になりますからね。死と隣り合わせな時にそんな無謀なことは普通しませんから。」


 魔力感知ができなくても作れるのは作れるが、ちゃんと魔力が刻まれ、効果が発動できる状態なのかわからないということだ。魔力感知できない人間が作り、そのまま冒険に出ていざ使う時に実はちゃんと魔力が刻まれていませんでした。作成失敗していたことが気付かず、土壇場で使えず、命を落とすことだってあるということだ。また、仮に成功していたとしても、何回使えばその刻まれた魔力が無くなるのかが分からず、これもまた土壇場で使えなくなって命を落とすということもある。

 つまり、魔力感知がなければ、商品としてのアーティファクトにはならないということだ。他人の制作した効果は実際に1度使い、どんな効果付与されているか、一回でどれほどの魔力が消費されるか、その残りの魔力量を計算して、表示することにより商品化することができる。それを狙い、魔力量に腕の自身のある者は、たまに作って売りに来る者もいるという。

 学校で学ぶのはそう人間か、魔力感知ができる者だけだそうだ。


「それで、何を付与されたのですか?」

 これほどの魔力を刻んでいるのだ。よほど凄い物に違いない。期待の眼差しを夢叶に向けるアーティエ。


「いや、お試しでやっただけだから大したものじゃないよ。ほら。」


 鉄カードの中心からドパっと勢いよく水が出る。

 アーティファクトに極僅かな魔力を通すことでアーティファクトは発動する。


「きゃあ!?」

「「「「おお!?」」」」


 悲鳴を上げるアーティエと水が鉄カードから出た驚きで声を上げるその他の皆々。


「あー。悪い!」

 水を出すのを止めて、近づいて謝る。


 ゴクッ。


 一瞬静まり返ったその中で誰かの唾が飲む音を聞こえた。

 振り返ると、アース家の男2人。レンディルとイエルスが顔を薄らと赤く染めて何やら凝視している。

 視線の先を追ってみると、アーティエの服が肌にピッチリと張りつき、水が掛かった影響で、肩の部分が少しずれて露出しており、下着のラインもくっきり見えている状態だ。


「ああ!?悪い!まじで悪い!」


 謝りながら、アーティエと男の間に手を広げて隠す。


「だ、大丈夫です。」

 顔を真っ赤にしながら、自分を抱くように体を隠すアーティエ。


「悪い。あんなに勢い良く出るとは思わなかったんだ。」

 アーティエに何度も謝る。


「・・・それで、ケダモノさんはいつまでアーティエを見ているのかな?」

 リリィが静かに近寄って来る。


 ・・・あ。やばい、目が笑ってない。

 

「こ、これは不可抗力というやつで・・・。」

 たじたじと言い訳をする。


「言い訳なんていいから反対を向きなさい!」

「はいぃ!」

 ビシっとしてアーティエに背中を向ける。すると、やれやれといったエリィとシルヴィ。あわあわしているアース家の女子二人。すでに反対向いているアース家男子2人。そして、腹を抱えて笑いを・・・堪えてはいない、声を出すのを堪えて、壁をバンバンしているロシィの姿が目に入る。

 はずい。リカバー。


「リリィ。悪いが着替えを・・・。」

「アアン!?お前今なんつった!?もういっぺん言ってみろ!玉ぶち割るぞゴラ!!」


 どすの利いた声が部屋に響き、肩をグイっと引っ張られて体を回され、胸倉を掴まれる。

掴んできたのは凄い顔をしているアーティエであった。


「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」


 誰もがその豹変に唖然とした。さすがのロシィも笑いが止まったようだ。

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