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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第47話 ハーレム王に俺はなる!?

お待たせしました!

「あれ?あの人達って確か、見張り小屋にいた奴隷達じゃありませんか?」


 アクシアの言葉に顔を見ると見覚えのある顔が多数いるのを確認した。


 見張り小屋で夢叶に選別された、47人の元奴隷と7人の主とその奴隷3人、そして奴隷を持っていない人間6人だ。


「どうしたのだ?」

 シルヴィがその集団に近寄り問う。一番前にいた、茶髪で無精髭をした男性が答えた。確か、奴隷の主の1人だ。


「貴方は確か、見張り小屋にいた少年と一緒にいた・・・。」

「うむ。シルヴァリア・ブランジュだ。」

 風で髪の毛が前にきたものをワサっと撫でるように後ろにやる。


「帝都での戦いは終わったのでしょうか?ブラックドラゴンはどうなったのでしょうか?」

 夢叶の普通ではない力を持っているのは見張り小屋で十分に見た。その仲間とあってか、かなり下手に出ているようだ。


「うむ、先ほどブラックドラゴンが圧勝した。今は、この都の状況を確かめるために回っている所である。」


「我々は、この帝都に・・・いえ、今はもう帝都とは言えないですよね。ブラックドラゴンが勝利したのなら滅んだということですから。」

 悲しそうな表情を見せるが仕方がないことだろう。建物等はほとんどそのままでも住んでいる人間がいなくなったのだ。友人もいたのだろう、しかし割り切るしかない。


「その、我々は中に入れさせていただけるのでしょうか?」

 不安な様子で訪ねてくる。


「構わないが、わかっているとは思うが、ここでは奴隷は1人の人間ということを忘れてはならんぞ。」

 少しきつい目な言い方をするシルヴィ。


「はい、それはもうどうなるかは、見張り小屋と、ここを見ればどうなることかは安易ですし、承知しておりますとも。」

 少し恐怖があるような言葉だったが、仕方がないことだろう。うっかりと物扱いしてしまえば、それで終わりなのかもしれないのだから。

 もっとも、この無精髭の男にとっての奴隷は一緒に過ごしてきた家族同様の扱いをしている為、世間体を覗けば物扱いなどしないから大きな問題ではない。心配なのは、奴隷を持ったことがない人間だ。奴隷を見ては自分もいつか持ちたいと思っているものもいたはずだ。まぁ、見張り小屋と元帝都を見てもそのようなことを思っているかどうかは別だが。


「妾達もまだここの現状を把握していなくてな。戦闘に駆り出されていた奴隷達が多少残っている程度だろうから、元の家にでも戻っておけばよかろう。また落ち着いたら召集があるだろうが、ひとまず今日はないだろうからゆっくりと体を休めておくが良い。」

 

 わかりましたと頭を下げ、連れて来ていた元奴隷達と共に移動を始めた。


「少し心配ですね。」

「ですね。おそらく家に戻っても指示する者がいないので、何もしない、いえ、何もできないと思います。」

「まぁ、普通に生きるだけなら、大丈夫でしょう。」

「・・・だと、よいのですが。」

 元奴隷達は、指示がなければ動かないように、自由意思をできるだけ持たないようにと育てられた。アース家自身もそうだったが、幼い頃に引き取られた為、完全に染まりきってはいないからこそ、すぐに自分の意思も持てるようになったのだが、元奴隷達を見た感じでは、そういった様子の者はほとんどいない。良き主に恵まれた者達だけであろう。



 そして、シルヴィとアース家は他に何事もなく宿屋で一夜を過ごしたのだ。当然、ロシィに気を使って。その宿屋で、リリィとエリィに偶然あったのだ。

 そこで、リリィとエリィは、ロシィの様子が少しおかしかったのが発情期だったからだと聞き、飛びだして行こうとするリリィをシルヴィが首根っこを掴んで阻止して一晩を過ごすのだった。



―――――――――――――――


「ユウー!ロシィー!どこー?」

 気持ち、焦ってしまうリリィの声が城に響いている。


 朝早くに、リリィ達皆が城に戻って来たのだが、昨日いたところにはいない。まさか、本当にユウとロシィは一線を越えてしまったのではないかと。


「あ、おはよー。」

 ガチャッと、リリィ達が廊下を歩いていると手前の扉が開き、ロシィが眠そうに挨拶してきた。リリィがロシィを見つけた瞬間、ズカズカと近寄っていき、肩を掴み、もの凄くロシィの体を揺さぶった。


「ねえ!何もなかったよね!なかったよね!?」

「え“え”!?ぬ、あ、にがぁあ?・・・ッフ。」

 ロシィは首をガクガクしながら答えている途中に何を聞いているのかわかり、意味深な顔をした。


「ちょ!?嘘!?嘘よね!?」

「ちょお!?」

 ポイと言わんばかりにロシィを投げるかのように退けさせ、部屋に入るとベッドに腰掛けているユウを見て、膝を付いた。


「・・・絶望した。」

 ボソと言いながら下を向くリリィ。


 リリィが見たユウとは、上半身裸でまさに着替えている最中だったのだ。


「ど、どうした?リリィ。」

 シャツだけ来て慌てて駆け寄るユウ。


「ユウ、何も、何もなかったよね・・・?」

 涙ながらに聞いてくるリリィに、たじろぐユウ。もう、自白したのと同じだ。


「・・・軽蔑するなら軽蔑してくれていいんだけどさ。・・・ハーレム王に俺はなる!」

 握り拳にドヤ顔をしてしまった。


「え・・・?」

 唖然とするエリィ。そして、後ろでそれを聞いていたロシィ以外の面々。


「いや、誰も言い寄ってくるような男なら、良い男だよね。ってロシィに言われて。確かにと思ったんだ。」

「・・・それで?」

 睨むように聞いてくるリリィ。


「い、いや。それにな?こんな可愛い女の子達に恵まれているし、皆良い子なのに好きな子達とは末長く一緒に過ごしたいと思うのは駄目な事だろうか?」

 気まずい感じの言い方になってしまったが、皆を見渡し、1人1人目を見る。真剣である。


「・・・冗談とは言わないんだね。じゃぁ、私ともいいってことだよね?」

 顔を真っ赤にして目をウルウルさせて見上げてくるリリィ。効果は抜群だ。冗談と言えなくもないが、すでにリリィの想いは聞いている為、言えなかった。それに、実現すればこんなに嬉しいことはない。ハーレム万歳。


「いや、でもお前、王族な・・・!?」

 確かにリリィは可愛いし、優しく、良い子だ。好きか嫌いかで言えば当然好きなのだ。最近では良く、支えになってくれることが多い。魅力に感じないわけがない。だが、王族である以上、身元も異世界などという普通では考えられないような人間に嫁ぐと血筋や地位なども何もない為、世間的にいろいろと問題があるだろう。そう思って出た言葉をリリィの口で塞がれた。


「「「「「「おお!?」」」」」」


「私、これでも真剣なんだよ?」

 少し、顔を下げ、ちらりと見るように真っ赤にして見つめてくるリリィ。


「・・・本当に、俺でいいのか?」

 先に、想いを伝えて貰っておいてロシィと一線を越えてしまい、ハーレム宣言までしている。そんな俺でも良いと言ってくれている。ここまで来て断れば男が廃るというもの。


「ユウだから良いんだよ。」

「リリィ・・・。」

 リリィと見つめ合う。


「あの・・・そろそろ。」

 桃色空間ができ始めたところにエリィの声が届く。ハッと振り向くとその後ろでロシィがニヤニヤしており、キャッキャしているアース家の女2人、目を逸らすそぶりをしながらがチラチラ見ている男2人。やれやれとしているシルヴィの姿が目に入り、エリィと2人して顔が真っ赤になった。


「コ、コホン。な、何かようだったか?」

 かなりわざとらしい咳をして、用を訪ねる。


 苦笑いや、やれやれといった顔で昨日、見張り小屋にいた人達も中に入り、住んでいた家で過ごすようにと言ったこと、元奴隷達に農業をやらせるように言ったのと、鍛冶やアーティファクト作成できる人がいてアーティエ・グラディオっていう名前をリリィが付けたということ、そして教えてもらう約束をしたことを聞いた。


「アーティファクト作成は良いな。早速、呼んで来て貰えないか?」

 目を輝かせるユウ。大金を払ったのに、何も教わることができなかったことがまさかこんな所で教えてもらうことができるとは思ってもいなかったのだ。


「構わないけど、その他の人達の事も考えないと。」

 呼ぶ前にやるべきことは先にやれと言われる。


「あとから来た、見張り小屋にいた元奴隷達をどうするか、だな。リリィが提案した農業に当面の間は参加させたら良いと思うのだが。」

 エリィが問題の部分とその解決案を言ってくれる。


「俺もそれで良いと思う。あとは、全員が農業にいっても多すぎるだろうから、鍛冶の手伝いや、俺と一緒に何人かアーティファクトの作成を習うっていうのはどうだ?その他は、良い主の奴を中心に随時、指示を出すという形を取ればしばらくはやることとしては大丈夫じゃないか?」

「そうだね。あとは、金銭面なのだけど。」


 農業の成果を末までに確実に都にある食料は尽きてしまうだろう。農業するのも素人ばかり、元奴隷ができるといっても基本ができるだけだと思うし、主が物にそこまで細かく教えるとは思わない。最低限の何をするべきか、何をしたら駄目なのか、あとは雑用といった程度だろう。ということは、実りが少ない可能性も十分にあり、結局食料が足りなくなる。だから、金を手に入れ、食料を別の街、国から調達する必要があるのだ。


「商売とかできるのが、このメンツでできる奴がいるわけがない。やはり冒険者か!」

 クワっと言うユウ。


「それしかないよね。」

 しょうがないというリリィ。


「よし、今回は帝国側だな。王国側だと顔バレしている可能性も高いが、帝国側は、国家魔法使いを倒した者がいるということは伝わっているだろうが、顔まではまともに伝わっていない可能性が高いからな。」


「申し訳ございません。あの・・・私達は・・・。」

 アクシアがおずおずと何故か謝りながら聞いてくる。


「お前達はどうしたい?ここに残って、連中と一緒に過ごしてくれて良いぞ。」


「申し訳ございません。私は、できればユウトさん達に付いて行きたいのですが。駄目でしょうか?」

 アクシアが言うと、俺も、私もと他のアース家も付いてきたいと言う。


「わかっているか?冒険者になるということは、命の危険、死ぬことだってあるんだぞ。」

「「「「わかっています!」」」」

 即答するアース家。


 本当に分かっているのだろうか。奴隷として肉壁として育てられているからには死の恐怖は内容にされているはず。麻痺しているのではないだろうか。


 視線を感じ、チラっと見るとどうやらリリィも同様な考えなのか複雑な表情をしている。何も考えてなさそうな顔をしているロシィ以外はそれに気付いたようだ。


「うーん。正直、わかってなさそうだから、テストをしようか。」

「「「「え!?」」」」

たぶん、ハーレム王にはなりません。

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