第45話 新たな都
「あ、うん。そこ!良い!」
変な声を上げながら降下・・・地面に背を向け堕ちて行くロシィ。
「効いているはずだ!撃て!撃てー!!」
誰が指揮をしているのかと思えば、なんと帝王その人だった。城の最上階のバルコニーから声を張り上げている。
「もうちょっと上、そこそこ。あん、違う。あ、そこ。」
帝都で一番広い広間にズシンと地面すれすれで反転して翼を広げ、速度を少し落として着地する。
「うーん。気持ちの良い威力がたまにしか来ないからいまいちだったなー。」
ふぅと溜息を付く。
「今だ!放てー!」
「「「「ダーク・エクスプロージョン!」」」」
20人ほどの魔法使いが同時に放つ。
闇属性の大爆発が起こる。爆発の煙でロシィの姿が見えなくなる。
「やったか!?」
「フラグ乙。あ、違った。ふん、その程度の闇属性が我に効くはずがなかろう!」
いつものノリで答えてしまったが、一応、言いなおしておいた。
「くっ。者共!ダーク・エクスプロージョンが効かないとなると奴は闇属性のドラゴンだ!聖属性で攻撃を行え!」
「フン、今さら気付いた所で遅いわ!散るがいい!」
口からブレスを街と街の間に通るように放つ。その道にいた魔法使いを全て焼きつくした。
「ホーリー・ランサー!」
「ホーリー・シャイン!」
「ホーリー・スパーク!」
聖属性の様々な魔法が放たれる。
「ふん、その程度の聖属性で我を倒せるとでも思うたか!」
ゴゥ!と体を薄く、黒炎が纏う。黒炎に遮られ全ての魔法が消滅する。
「な、なんだあの黒い炎は!」
纏った黒い炎が50はあるだろうか。黒い炎の玉、黒炎弾へと変わる。
「我に刃向ったことを後悔するがよい!その身に受けよ!2400のダメージを!」
目に見える帝都にいる人間全てに黒炎弾を放つ。マナ操作により、可能となったロシィの新技だ。もともと、技は口から黒炎を吐くぐらいだったが、玉状にすることで、黒炎の威力が圧縮され、なおかつ余分な所に当らず、ダメージも拡散しないというように今まで通り、黒炎を吐くよりは圧倒的に威力が高いのだ。2400という数値は気分で出てきただけだ。気分により出てきた数値だ。大事なことなのでry。
「王!」
次々に黒炎弾により散っていく者がいるなか、帝王を護り防いだ者がいた。
「ほぅ。」
ロシィは再び、黒炎弾を50発程度作り出し、背を向け、空へ飛び立つ。。
「聖なる光よ、闇を照らし、数多の裁きの光よ、悪しき者を貫け!ホーリー・ジャッジメント!」
ロシィを捉え、頭上から聖属性の光の柱が降り注ぐ。それと同時に黒炎弾を周囲に放つ。
「ギャー!」
「ぐわー!」
遠くの方で悲鳴が聞こえる。
黒炎弾で先ほどの視界の反対側の人間を消したのだ。
悲鳴が収まるとともに、ホーリー・ジャッジメントの光の柱が消える。
「さすがに、あれをまともに食らえば・・・。」
王を守った魔法使いが言う。
その瞬間、黒炎弾がその魔法使いの頭部をかき消し、通り過ぎて行く。首が無くなった胴体からは、血管が焼かれ血飛沫すらでない。
「ふん、弱い。せめて、マジェスト程度の人間を集めるべきだったな。もう、これ以上やってもたいした戦いにはなるまい。少しは楽しめるかと思ったのだがな。」
ロシィはがっかりしている。
「マジェスト・・・だと・・・。」
マジェストは帝国側でも伝説的な存在だ。それと同レベルの人間を集めてようやく、まともに戦えると言っているのだ、このブラックドラゴンは。不可能だ。口ぶりからして、過去にマジェストと戦ったことがあり、マジェストに勝っている。この世界の誰もがマジェストを越そうと努力してもその域に達した者すらいないというのに。そんな伝説的な人間を集めないと勝てない相手だなんて・・・無理だ。
帝王は、絶望で膝を付き、もはや心ここに有らずという状態だ。
「あっけなかったな。」
帝王は、抵抗なく黒炎弾により消滅した。
帝都に残った人間も上空からの黒炎弾により、呆気なく消滅し帝都から誰もいなくなった。奴隷を残して。
「奴隷達よ!いや、人々よ。汝らは、奴隷という牢獄、地獄から解放された。この帝都は今から汝達の都だ!・・・心配せずとも良い。しばらくは、我がこの都を護ってやる!汝らは、人間らしく、しっかりと生き、我がここにいる間に自立せよ!」
そう言い、城のバルコニーに人の姿になり降り立つ。
「今からが、汝らの時代だ!」
お、オオー!!
一瞬、困惑したようだが、歓声が巻き起こった。
「お疲れ、ロシィ。」
転がっていた死体を黒炎で消滅させ、城の中に入ったところ、ゲートで夢叶達が来ていた。
「ちょーよわっちかったよ。この通り、殆ど建物を破壊せずに殲滅できちゃった。」
ありがとうとロシィの頭を撫でると目を細めて微笑む。
奴隷達はいやいや戦っている可能性が非常に高い。極力、魔法使いだけを消すようにと言っておいたのだ。その為、残った奴隷達の行き先が無くなってしまわないように、この帝都をそのまま奴隷達の都へと使えるように、できるだけ壊さないように対処してもらったのだ。
まさか、ここまで綺麗に残るとは思わなかったが。そうとう弱かったのだろう。
「ユウ。」
「ん?」
ロシィに正面から呼ばれる。
「私、しばらく王様。」
自分を指差し言う。
「そうだな。ロシィの場合、龍の王様だから龍王か?いや、龍を率いているわけじゃないから違うか・・・。」
「まぁ、それはどっちでもいいんだけど。私、偉い。」
「そうだな、偉くなったな。」
「ユウ ヨリ エライ。」
何故か片言でユウを指差し自分を指差す。
「な、何を企んでいる?」
嫌な予感しかしない。
「ちょっと、今日1日、ユウを独占したいなと思って。」
急に顔を赤くしながら両手の指先をツンツンとしながら言う。
なんだこの可愛い龍王?は。
「何か、用事か?まぁ、今回、ロシィにはいろいろと協力してもらったしな。できることなら何かするぞ。」
「じゃぁ、とりあず、1日私に付きあって。」
顔を赤くしながら言う。なぜ赤くなっているのかはいまいち理解できないが、それぐらいなら全然良いだろう。
「わかった。」
「じゃぁ、他の皆は外の様子を見て来てくれるか?絶対に1人で行動はしないように。危ないと感じたらすぐに逃げて知らせに来ること。その他何か気が付いた点とかはメモを取っておくこと。あとは、自由にしてよし!」
安全第一に行動しろよと注意して解散を促す。
「しょうがない。今日は、ロシィに花を持たせてあげるか。」
「リリィ、まずはどこに行きますか?」
リリィとエリィが一緒に出て行く。
「私達はどうしましょう。」
「適当に見周りでもすれば良いのでは?」
「でも、私達の力では何かあった時は・・・。」
「そうですね・・・。」
などとアース家が話しあっている。
「心配するな。妾も共に行こう。」
シルヴィが共に行動することになり、安心するアース家。やっぱり仲間想いのシルヴィ。
「あの、申し訳ありません。ロネシリィさん、どこかいつもと違う感じだったのですけど、何かあったのですか?」
部屋を出てリリィ達と別れるとアクシアが、同行してくれているシルヴィに尋ねる。
「ああ、あれは発情期だ。」
何事も無いように答える。
「「「「え!?」」」」
アース家が固まった。




