第44話 帝都襲撃 選別
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帝都の防壁周辺にずらりと隙間なく兵士達が並んでいる。その他に防壁、建物の上、至る所に兵士他、冒険者だろうありとあらゆる者達がブラックドラゴンに備え展開している。
「おー。なかなか壮観だね。」
「「「「ソウデスネ」」」」
アース家が片言で唖然としている。
「ロシィ、行けそうか?」
「グングニルだっけ?あれぐらいが何発もあるならやばいけど。そうでなければ余裕っしょ。」
圧倒的な人数に心配になり、尋ねるがロシィは余裕そうな表情だった。むしろワクワクしている感じだ。こっちはこの景色にお腹が痛くなってきているというのに・・・リカバー。
「んじゃ、ちょっくら行ってくるね~。」
「ああ、気をつけろよ。」
シュンとテレポートで消えるロシィ。
「さて、ロシィが片付けてくれている間に、こちらも片付けるか。」
ゲートを使い、残り全員移動する。
バン!勢いよく、見張り小屋のドアを開ける。小屋の中いっぱいの100人ほどの視線が集中する。リカバー。
「えー。帝都より、指示を受けてきました。指示に従ってもらいます。なお、指示に従わない場合、反逆者として扱っても構わないと指示を受けています。」
国の指示と言った方がスムーズにことが進むだろうと思い、そういうことにした。
「どういうことだ!?」
見張りの兵が問い詰めてくる。
「言った通りです。まず、奴隷の皆さん以外は外に出てください。」
兵を無視して、指示を出す。
「お前は昨日、この小屋にいただろう!ここからの帝都までは早くても1時間は掛かる!それを1時間もしないうちに指示を受けて帰ってくるなど嘘も大概にしろ!」
襟元を掴んで壁に押し付けられる。
「はぁ、俺はな。極秘戦力なんだよ。このように、瞬時に場所を移動できるほどの力がある。」
掴まれていた手を払い、テレポートで兵の後ろに移動する。
「「「「な!?」」」」
見張り小屋にいた中の人間達が驚きの声を上げる。
「そういうことでな。俺の指示に従わない場合は、容赦なく死んでもらう。」
開けっ放しのドアの外にテレポートで移動して、ここから出るようにと手で促す。
確か、マジェストが究極魔法だとか言っていたテレポートを軽々と使われては、中の人間達も頷くしかないようだ。
そして、小屋の中には50人ほどの奴隷達だけが残った。
「では、次にお前達に質問だ。お前達の主から離れたくない。ずっと仕えていたいと思う奴はいるか?いるなら前に出てきてくれ。」
一瞬、静まり返るが、おずおずと3人だけ前に出てくる。
「・・・お前達は、主人に恵まれたんだな。」
「「「・・・はい。」」」
真剣なその返事に頷き、指示を出す。
「なら、小屋の外に出て、その主人、家族を連れて小屋の横に移動しておくように。」
「「「わかりました。」」
返事をして出て行く。
ドアを閉める。
さて、あとは・・・
「あの、私達は・・・。」
前にいた奴隷の1人が質問してくる。ついでだ、最終確認をしておくか。
「お前達は、主人の元に行きたくないんだろ?なぜだ?」
沈黙が部屋を包む。
「理不尽な暴力、人間として扱わず、物として扱われ嫌気を指しているんじゃないのか?その他にもいろいろな大きな不満があるはずだ?違うか?」
沈黙が続く。
「もし、主人がいないと生きていけないとでも言う馬鹿がいれば外に出ろ。主人がいなくなっても、新しい未来を切り開いて生きたいという奴だけがこの小屋に残れ。」
奴隷達がお互いの顔を見合う。
「最後だ。言っておく。この先はその新しい未来しかない!自らの手で未来を掴みたい奴だけがここに残れ!」
奴隷達が目を見開き、考えを巡らす。
この言葉で、気付いた者もいるだろう。主人は殺されるのだと。
「まさか、主人を・・・」
1人がその考えを口に出した瞬間、瞬く間にその考えが全員にいきわたる。
「・・・どうする?外に出ても構わないぞ。」
全員が首を横に振る。よほど主人は嫌われているようだ。
「そうか、ならあとは、ここで待っていろ。今日より、この世界は大きく変わりだすはずだ。」
前に掌を広げ、グっと力を込めて握りながら話す。その後、背を向けて扉をバンと開け、出て行く。
外に出ると、魔法使い、奴隷の主達が喋りながら待っていた。出てくるとその会話はピタッと止まる。
小屋の横を見ると3人の奴隷とその主人達がいるのを確認する。
「さて、次はお前達だが、奴隷を使っていない者は前に出ろ。」
10人が前におずおずと出てくる。
夢叶とその10人を風の壁が囲む。
「安心しろ、ただの防音だ。これから聞くことが他に聞こえないようにするための措置だ。」
驚き、警戒している10人に説明する。
「確か、お前達の中に、ブラックドラゴンの意見に賛成という者がいたな。こっちへ。」
3人が夢叶の後ろに移動する。見張り小屋に入って来た時に入って来た者全てに質問していたのだ。全て覚えておくのは不可能だが、まだ1日しか経っていないし、ある程度は覚えている。
「残りは、奴隷が手に入ればどうするんだ?確か、資金がないだけのようなことを言っていたような気がするが。外にいる者達と同じように、自分の為に奴隷を使うのか?」
「当然だろ?何のために、高い金を払って奴隷を買うと思っているんだ?」
そうだそうだと他の者もその意見のようだ。
「それは例えば、ストレスが溜ったからと奴隷をサンドバック代わりに殴ったりするのは当たり前の行為、当然の権利だと思うか?」
「当たり前だろ?人間を殴っては、罪に問われてしまうが奴隷は物だ。自分の物に何しようが自由だ。」
「暴力はさすがにどうかと思うが。」
「身の回りの世話とか、戦闘のサポート、肉壁として主にさせるのが奴隷の使い方だとは思うが。」
「良い女を買って、体を売らせるというのもできるな。グヘヘ。」
「お前とお前、あとそっちの奴はこっちに来い。」
3人ほど、さらに夢叶の後ろに来させる。まだ、今後に改めてくれる可能性がある者を選別した。
ブワっと風が吹き通るように風の壁が消える。
「おお、出て来たぞ。」
「何をしていたんだ。」
ざわつきが聞こえる。
「ユウ、この場を去ろうとする者はいなかったよ。」
リリィが横に来て、風の壁の中で話している間に逃げだした者がいないかを報告してくれる。
サンキュとリリィの頭を軽く撫でる。
「さて、目に焼き付けておくといい。これが、奴隷を、人を物扱いしている、物としか認識していない者の末路だ!」
小屋の方を向き、叫ぶ。
「は!?」
「何を!?」
何を訳のわからないことを急に言い出すんだという反応が返ってくる。しかし、その反応を無視し、奴隷達、選別した者達の反対側、奴隷を物扱いしている者達の方へと向き、手を空へと掲げ、振り下ろす。
終焉と思わせるような黒が、闇が奴隷達を物扱いしている者達を壁となり周囲を囲う。
「なんだこれは!?」
その闇に手を触れた者の手が消滅した。
「ぎゃー!!」
悲鳴が響き渡る。
「これに触れるな!離れろ!」
「逃げ場はないのか!?」
「クソ、帝都から非難したら大丈夫じゃないのかよ。」
「言ったはずだ。奴隷紋は解除しておけと。」
「お前、まさか、ブラックドラゴンの!?」
「今さら知ったところで遅い。後悔して死んで逝け。」
「上だ!上から逃げれるぞ!」
上はまだ空が見える。そう、まだ見える。
詠唱が始まる。エアボードでも使うのだろう。遅すぎるが。
空から、黒い糸のような線が落ちる。
「・・・なんだ?」
その黒い線を触ろうと指が触れた瞬間、その指が消滅する。
「ああー!!?」
再び悲鳴が響く中、黒い線が、雨が降り出し始めのようにポツポツと落ちてくる。
だんだんと逃げ場がなくなって行き、ランダムで落ちるその黒い線は、肩に落ちれば方が消滅して腕が落ち、足先に当れば足先が消滅する。じわじわと触れれば消滅する闇の空間、名付けてダークエンドフィールドとでも言おう。
空に飛ぼうとしてもそこに黒い線が落ち、墜落させていく。
そして、空が全く見えなくなり、その空間が消える。
今まで、叫び声が聞こえていたその場所、奴隷の主達がいた場所には元から何もなかったかの用に、そこには何もなかった。
――――― 帝都
「さて、いっちょ暴れますか!」
ドラゴンの姿へと変え、帝都防壁の前に急降下して降り立つ。
「・・・ほう、これが答えと受け取って良いのか?」
あたかも今見たかのように問う、威厳モードのロシィ。
「貴様一匹にこれだけの戦力に敵うと思っているのか!帝国はドラゴン一匹にやられたりはせぬ!者共!見事、あのブラックドラゴンを打倒せば、報奨金を出すぞ!各自奮闘せよ!」
風の魔法で音を遠くまで飛ばすようにでもしているのだろうか。帝都中に声が届く。
オオオオ!!!
鬨の声を上げ、一斉に詠唱が始まる。
「我と話すことは何もないということか・・・。良いだろう。その愚かな行為、身を持って知るがよい!」
翼を広げ、飛び立つ。
「ファイアランス!」
「フレイムアロー!」
「エアトルネード!」
「ホーリーランサー!」
「ダークランス!」
「ホーリー・シャイン!」
「アイス・ランス!」
様々な魔法が放たれる。それを空中で帝都周辺を旋回しながらなんなくと避ける。
ほとんどの魔法は、ロシィを捉える事ができておらず、また、空のロシィに届くことなく消える魔法すらある。
「ふぅ。正直、ここまでとは驚いたぞ。」
あまりの弱さに溜息を付く。
「よし!皆の者!ブラックドラゴンは我らが魔法に怯んでおるぞ!」
違う!
「このまま押し倒してしまえ!」
オオー!!
再び数々の魔法が放たれる。
「ええい。めんどくさい!」
帝都中心の真上に上がる。
「逃がすなー!」
「逃げないよ。全く。」
ロシィは、やれやれといった感じだ。
魔法の天嵐の中を再び、急降下する。
「突っ込んでくるぞー!」
「待て!何かおかしいぞ!」
ロシィが、ブラックドラゴンが背中を向けて降下してくる。いや、まるで落下しているようだ。




