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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第40話 納得はできないから・・・

「やっぱ、駄目だろうなー。」

「だろうねー。」

「だねー。」


 決闘をした次の日、魔法学校に行く道の途中である。金貨も大量に払っているのに二日でまだたいしたことも教わっていないのに止める羽目になるとか洒落にならない。

 しかし、国家魔法使いとその息子であり、教師でもある者を殺したのだ。ただでは済まないはずだ。その場合はさっさと転移して逃げるつもりではあるが。


 メンバーはいつもの夢叶一行に、新しく加わったアース家だ。もともと家族同様に過ごしてきた4人に名前を付け、新しくできた家族と言うことでアース家としている。



 魔法学校に近づいてくると、通学の学生が増え始める。


「視線がー。」

 リカバー。


「あいつら、なかなかできるね!ユウの弱点をついてくるなんて!」

 ギリっとハンカチを口で引っ張るしぐさをするロシィ。どこで覚えた。


 通り過ぎる人、横切る人、相手がこちらの視界に入ると、畏怖、恐怖といった視線が多く集中する。シルヴィの取り巻き達でさえシルヴィの近くにいるためか近寄って来ない。


 校門が見えてくると、馬車が停まっており、その付近に国旗が刻まれた黒いローブを着た、まぁ国の魔法使いだろう10人ほどの集団がいた。


「嫌な予感しかしない。」

 全員頷いた。



 こちらの姿を確認すると駆け足で、全員やってきた。なんとも言えない光景が広がった気がした。

「貴方が、ユウト・オウセ様ですね?」

 ん?


「何か?」

 とりあえず、話を聞いてみることにする。相手が下手に出てきたからだ。


「国王がお呼びです。付いて来ていただけませんか?」


 皆を見てみると、微妙そうな顔をしている。ロシィなんかもう変な顔になってる。歪んでる。アース一家はもう、無駄に震えている。


「今から学校あるんで。またの機会に。」

 じゃ、と手を上げて去ろうとする。


「国家魔法使いより強い貴方が学校に今さら何を求めているのですか?」

「貴方は強いでしょう。我が国最強と言っても過言ではないかもしれないそこの物2人を従えているのですから十分でしょう?」

 2人を最強と言っているわりに、殆ど見向きもしないで夢叶だけに話しかけている。


「あ?ああ、まぁ、自分自身強くなりたいからね。」


「御冗談を、そこの物で十分にお強いじゃないですか。国王がお待ちです。行きましょう。」


「俺、アーティファクトを作りたくて学校に入ったんだけど?」

「はっはっは。そんな物を作る必要はもはや無くなりますぞ。」

「いや、自分で作りたいんだって!」

「大丈夫、何も問題ありません。」

 こいつら全然話を聞かないじゃないか。


「ちょっと、ユウはアーティファクトを自分で作りたいって言ってるでしょ!」

 ロシィが声を上げてくれる。


「さぁ!行きましょう!行きましょう!」

 3人掛りで背中を押して馬車に乗せようとしてくる。


「ちょっと、無視!?」

「ロシィ、あれは駄目な奴らな気しかしないよ。」

「懲らしめちゃう?むしろ殺しちゃう?」

「うーん?そうする?しちゃおっか。」

 リリィの思考がだんだんとロシィに染まって物騒になって来ている気がするぞ。


「さっきから五月蠅いぞ!奴隷の分際でわきまえろ!」

「持ち主の許可なく攻撃できるわけもなかろう!」


「あ?できるに決まってんだろ?本当に殺してやろうか?」

眼の前の男を睨みつけ、リリィが即座にその男の首筋に剣を当て、皮一枚切れ、血が出る。強くなったなリリィ。そして、ほんと最近俺のやってほしいことが分かってくれる。エリィの影がどんどん薄くなっちゃう気がするぞ。


「ほら。今、俺攻撃するよう言ったか?」


「馬鹿な!?奴隷がそんな事できるはずが!?」

「勝手に動くとは罰が恐ろしくないのか!?」

 驚愕している。

 勝手に攻撃、動けば奴隷は罰を受けるのが普通なのだろう。しかも、命令無視とでもなるのだろう、罰は重たいようだ。


「お前ら、昨日の決闘見て来たんじゃないのかよ。」


「話に聞いただけだ。」


「ほう、なんて聞いたんだ?」

「そこの物2人が国家魔法使いよりも強く、その力を使い殺したと。」

「決闘理由は聞いていないのか?」

「ああ。」

「なら、教えておいてやる。あいつらは物じゃない。人間で俺の大切な仲間だ。それを愚弄したから決闘したんだ。次、これ以上お前も物扱いすれば容赦はしない。」


「「「あーっはっははは。」」」

 会話していた男以外からも聞いていた者達から笑いの声が漏れる。


「ククク、奴隷が仲間?お前、頭おかしいんじゃないのか?ぐぎ!?」

 顔面から地面に落ちる。

「な、なんだ?」

 顔を押さえながら、何かに蹴躓いたと思い、足元を見ると足が曲がってはならない方向に曲がっていた。

「あ、あああ!?足がー!!!」

「容赦しないって言ったよな?」


 ひぃ!と他のローブの男達が距離を取る。


「こいつら、見た感じ、国の犬だよな?しかも、王の命令まで受け持っているんだからそれなりに王に近いところにいるやつらだよな?」

「そうだろうな。少なくとも王城にいる奴なのは間違いないだろう。」

 エリィが答える。


「国掃除でもするか・・・。この世界は、駄目だ。俺の精神衛生上良くない。」

 ボソっと呟きながら異世界人がここまで干渉するのはどうかと思うが、知ったことではない。気に食わないのだからしょうがない。それにアーティファクトを習得してからの方が何かと良いはずだ。次の世界にもあるかどうかわからないしな。できる限り、技術は習得しておくと何かと役に立つはずだ。


「ねぇ、ユウ。今、ゾクってしたんだけど、気のせいだよね?」

 リリィの言葉に振り向くと、全員が首を縦に振っていた。


「いや別に、国を滅ぼしてみたくなっただけだ。」

 ボソっと言うと。

「おお?ついにやっちゃう?」

「制圧は、任されよう。」

 ロシィとシルヴィは派手に戦えるのが嬉しいのだろう目を輝かせ、他の者達は引いた顔で固まっている。


「まぁ、国王に会ってからまた考えるよ。」

「え?それって前向きに検討しているよね?」

「おい!お前ら、国王とやらに会ってやるよ。」

 リリィの突っ込みをスルーしながら足が折れた男に回復魔法を掛けている男達に国王に会うことを了承する。


「わ、わかっ、わかりました。感謝します。馬車に案内しろ。」


 案内通りに馬車に乗り込むと、前の席に男3人、後の席の真ん中に夢叶でその左右に男2人と馬車に乗り込む。


「おい、仲間が乗れないんだが?」

「大丈夫です、御仲間には後ろの馬車に乗っていただきます。」

 後方を見ると、仲間全員が馬車に乗るのを確認できた。


「それでは、参ります。」


 ヒヒーンと馬が鳴き、馬車が動き出す。



「それで、国王さんは俺に何の用なんだ?」

 道中、問いかける。国家魔法使い、この国最高の魔術師を殺したのだ。それを、捕まえようとせずに会おうとするならば、代わりとして迎え入れようという所だろう。


「はい、詳しくは聞いておりませんが、あなたに国家魔法使いになっていただきたいと聞いております。」

「やはりか。見ず知らずの者を国家魔法使いにしようだなんて国王は頭大丈夫か?」

「貴様!無礼な!」

 怒りの形相で馬車の中で壁に手を付きながら立ち上がる。

「だってそうだろ?俺が他の国の諜報員だったらどうするんだ?何もかも筒抜けだぞ?」

 立ち上がった男がフーと息を吐き座り直す。

「いえ、むしろ、その言葉を聞いて安心しました。普通の諜報員はそのような事言いませんからね。これで、あなたが諜報員の可能性がかなり低くなったと私は思います。」

 思ったより、この男は冷静なようだ。先ほどは国王を侮辱され起こったのだ。なかなかに慕われているようだなこの国の王は。


「普通じゃないかもしれないぞ?」

「その時は、諦めるしかありませんね。あとは我らが王にお任せ致します。」



――――――――――


「到着いたしました!」

 4時間ほどだろうか、寝ている間に王宮に到着した。途中、魔物に何度か遭遇したが、何なくと男達が撃退して通った。


「こちらです。」

「おい、仲間達は?」

 馬車を降り、周りを見ると仲間が乗っていた馬車が見当らない。


「後から御連れ致しますのでご安心ください。国王はまず、あなた1人との話し合いを望んでおられますので。」


 うーん、アース家が少し心配だが、馬車にロシィとシルヴィが別れて乗っていたし大丈夫だろう。

 王宮の至る所に国旗が風で揺れている。リリィの王城と同じぐらいの大きさだろうか。


 案内された大きな扉が開き、中に入る。大きな広間が広がり、左右には国旗が刻まれた紺色のローブを着た100人近くいるだろう男たちが整列していた。

ああ、状態異常回復リカバーってなんて素敵な魔法何だろう。緊張や震えや胃の痛みがなくなる。本来こんな使い方では絶対ないはずなんだけどな。


「良く来てくれた。ユウト・オウセ殿。」


 整列された男達のその先に玉座があり、そこに座る男、国王が喋り駆けてきた。


「まず、我が国の国家魔法使い、マドニクス・ハリーを殺し、その息子マルクス・ハリーを殺したのはお主で間違いないか?」


「・・・ああ。」


 その返事に周囲がざわつく。


「聞く所によるとお主は、魔力値18らしいが間違いないのか?」

「ああ。」

 さらにざわつく。


「どのようにして、マドニクスを倒したのだ?」

「正面から叩き潰しただけだが。・・・なぁ、それが、聞きたいからわざわざ呼びつけたのか?」

「貴様!国王に向かってその態度はなんだ!」

 呆れた物言いに国王の横に立っていた文官らしき男が怒声を上げる。それを国王が手で制する。


「よい。まぁ、それも1つだ。まずは、そこから詳しく教えて貰えないか?」


 何か企んでいる笑顔をしている気がする。


「詳しくも何も、あいつの魔法を捩じ伏せ、殺しただけなんだが。」

「魔力値18では到底マドニクスの魔法に勝てるとは思わないのだが、ああ、お主の奴隷は優秀だと聞いている、その物の力か。」

「いえ、この者の物は端で見ていたと報告があります。」

 文官が訂正している。

「おい、国王だからといって、言い方には気をつけろ。俺の仲間だ。」

 眉が少し攣り上げながら言う。


「仲間か・・・。」

「そうだ」


 何やら思案しているようだ。国王はそれほど馬鹿でもなかったようだ。向こうからしたら魔力値18で勝てるわけがない、それで勝てたということは他の要因が何かの可能性を考えているんだろう。


「お主、奴隷契約ではなく主従契約をしておるのか?」

「ああ。どいつもこいつも仲間だと言っているのに奴隷扱い物扱いだ。」

「しかし、学校には奴隷と登録しているが?」

「金銭面の問題だ。それに奴隷扱いがここまで腐っているとは思っていなかったんだ。」


 国王は顎を押さえ考える。


「主従契約をしている、お主が倒せるということは、お主の仲間は国家魔法使いよりも強いと言うことか。」

「ああ、強いな。」


「・・・ユウト殿の仲間を連れてきて参れ。」


 しばらくすると、20人以上に囲まれて仲間全員が連れられてきた。面倒な予感。ロシィとリリィは手を振って来ている。緊張感がない。


「ユウト殿の主殿は前に出てきて貰えないだろうか。」


 国王の呼びかけに誰も動こうとしない。頭が?マークだ。


 なるほど、国王は俺が従属で、仲間の誰かが主だと思っている訳か。

 夢叶一行の面々はそれに気付いたが、アース家は、この王宮にいると言うだけでもう震えあがっている。


「リリィ、こっち来てくれ。」


「え!?」

 ロシィが声を上げる。主になりたかったのだろう。頬を膨らませている。主とか気にしてないんだけどな。ただ、ロシィだと何か悪戯して面倒が増えそうなだけなのだ。


「ロシィ、五月蠅いよ?」

 ニッコリと勝ち誇った顔でリリィが言う。


 ロシィがリリィを指差し、口をパクパクさせている。


「お主が、ユウト殿の主ですかな?」

「わざわざ私共をお呼びになられるなんて、どういった御用件でしょうか?」

 

「うむ。そなたに我が王国の国家魔法使いとして、国を護って言ってもらいたいのだ。」

「うーん。そうですね。王様は奴隷に付いてどうお考えですか?」


 国王は悟った、この回答は間違えてはならないと。


「奴隷とは、商品だ。魔法使いにとってなくてはならない存在だと言ってもいい。肉壁がいなければ、接近された時の対処が難しいからだ。奴隷は人間と違い変えがいくらでもいる。命途絶えるため主を守り抜く力が高いほどその商品価値は高い。素晴らしい産業だと考えている。貴方もそこの物は肉壁としてより有益とする為に、奴隷契約ではなく主従契約で己の力を貸し与えているのではありませんか?」


「・・・はい?」

 リリィと夢叶の顔が引きつる。


「実際、そういう商売もあるのですよ。例えば、魔力値が生まれながらに高い人間が商品の中で生まれた場合、主従契約によってその魔力の一部を使えるようにし、契約者の魔力量を増やしたり、高位の得属性を持って生まれれば、その得属性を分け与えたりと人間にとって有益な契約をしているのです。御存じありませんでしたかな?」


「・・・なるほど、王様は奴隷・・・従属に属する人は全て商品と、良い産業とそう言うお考えであるわけですね?同じ人間なのに。」

 リリィが国王を睨みつける。


「?うむ。同じ人間とは違いますな。奴隷は商品、家畜のようなものです。鳥や牛なども食べる為に育てているでしょう?それと同じです。」


「ですが、同じ人間、同じ種族です。意思疎通もできます。別物として扱うのはおかしいのではありませんか?」


 正直、国王のその考えはわからないわけではない。理解はできるが、納得はできないという感じだ。


「人間とお前らの言う商品の違いはなんだ?」

 話に割って入る。


「それを見極めるための紋ですよ。今回の用に、そこの肉壁と貴方様のような優秀な魔法使いを間違えるような事が多く発生しております。その為、ここ最近では、奴隷商に奴隷紋の場所は、額に統一するように言い聞かせております。」


 ザクッ。


「あら、ごめんなさい。外してしまいました。」


 リリィが玉座に一瞬にして詰め寄り、玉座に国王の耳を少し切りながら突き刺す。


「「「「な!?」」」」


「貴様!何ということを!」

 横にいた文官と、その周辺の者達が杖を翳し、詠唱を始める。その隙にリリィには、ポーンポーンとボールが跳ねるように後ろに跳躍して夢叶の傍に着地する。


「やっちゃった。」

 テヘっとするリリィ。ほんとロシィに似てきたよこの殿下は。


「「「・・・切り裂け渦巻く烈風、エアトルネード!」」」

 

 協力魔法だろう、竜巻の如く、迫りくるその魔法から逃げる素振りも見せず迫るのを眺めている。


「愚か者!その魔法はマドニクスでも、魔法陣と長い詠唱をしなければ防げぬ魔法だぞ!」

 王が殺してしまうではないか!と叱咤する。


「よし!決めた!」

 エアトルネードが迫っているのにも関わらず、悠長に言う。

「何を!?」

 魔法が使えないリリィにはあれを防げない為、若干焦りが見える。


「この国を潰す!」

 その瞬間、黒い炎がエアトルネードを一瞬にしてかき消した。


「待ってましたー!」


 ロシィが跳躍して夢叶達の前に着地する。

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