第39話 新たな仲間達
赤髪で短髪 赤い瞳 得意属性 炎 美形 14歳 剣士
レンディル・アース
金髪で短髪 黄色い瞳 得意属性 氷 14歳 魔法使い補佐
イエルス・アース
それが2人に付けた名前だ。
「とても良い名前をいただきました。」
「「ありがとうございます!」」
2人とも頭を下げ、閃きで付けた名前ではあるが、良い名前と思い聞いてみると気に入ってくれたようなので決まったのだ。
「しかし、今さらなのですが本当に良かったのですか?」
レンディルが申し訳なさそうに聞いてくる。
「何がだ?」
ロシィやリリィ達の方を見ても首を傾げている。
「・・・え?あの、私達に名前を付けるということは、私達を従属として、ユウト様が主となっていただけるということですよね・・・?」
はい?何故そうなる?
「なぁ、俺が何のために決闘したかわかってる?」
頭を押さえ、溜息ぎみに尋ねる。
「え、あ、はい。私達をアオイズマから解放してくださる為ですよね?」
違うのですか?という顔をするアースの3人。
「ああ、なのに何故また従属になりたいみたいな事を言うんだ?」
「何が駄目なのでしょうか?やはり、私達は邪魔ということでしょうか?」
もう、これは、しょうがないんだろうな。生まれてすぐに商品として、奴隷として育てられ、誰かに従わなければ生きていけない、依存しないと生きて行けないように育てられたのだろう。そう簡単に思考が変わるわけがない。
ああ、アクシアがさっきあれほど泣いたのは、主が見つかり、その主が初めて物ではなく、人間として扱ってくれるということに嬉しさで流したのだろう。
「あー、いや、何も邪魔なんて言ってないだろ。ただ、俺はお前達に奴隷や従属なんかじゃなく、1人の人間として、“自分の意思”でやっていって欲しいと思っているだけなんだ。」
自分の意思という所を強調して言う。
「「「・・・自分の意思。」」」
自分に言い聞かせる用に呟く。
「ああ、今のお前達はそれが一番大事な事だと思う。これから、その辺を鍛えるためにちょいちょい嫌がらせするからそれでも付いてきたいと言うなら、俺は構わない。」
皆はどうだ?と見渡すと、それぞれ頷いてくれる。
「「「ありがとうございます!」」」
バッと3人頭を下げる。
「それでは、早速契約を」
レンディルがアホな事を言い出す。
「契約したら意味ないだろ!」
「「「「アハハハ」」」」
笑いが巻き起こった。
―――――――――――
腰近くまである茶髪の後ろで三つ編をした剣士は、ギルドに登録しようとしたが、話し合いですでに日が落ちてきており、奴隷だったということが知っている人間がいて登録することができなかった。
ギルドに登録ができなければ、魔物を倒し素材を採取するしかない。
この世界の魔物は魔法により作られたアーティファクトの魔物ではない為、血が出たりとちゃんと生き物している。
暗いな・・・魔法が使えないウチにとってはさすがに今から魔物退治は自殺行為だ。
この世界は、小銭稼ぎぐらいの弱い魔物なら討伐は剣士でも可能である。ラビットなど。しかし、それなりの稼ぎをしようと思えば、魔法なしで挑むというのは自殺に等しい行為とされているほど、魔物が強いとされている。この世界でのサラマンダーは前の世界ではAクラスだったのがここではBクラスだ。中級魔法があれば、倒せるのだ。
野宿か。まぁ、外で寝るのは慣れているし、静かな所で適当に寝ようかな。
などと、考えて薄暗い路地裏に入る。
入ったすぐそこに、モヒカン頭の2人組が地べたに座り、何やら弄っている。
良く見ると、裸体の女性が倒れており、身包みを剥がしたのだろう、女性の服と思われる服から、物色していた。
まずい、すぐに引き返そうと方向を変えた時、木屑を蹴飛ばしてしまいをカランと音を立ててしまった。しまったと思い、すぐに走って逃げればいいものを、やってしまった感からか、つい振り返ってしまう。
「あ?」
モヒカン男の1人と目が会ってしまう。
「お?なかなか良い女じゃねぇか。」
モヒカン男の1人がじゅるりと唇を舐める。
ジリジリと迫ってくる。相手は1人で武器は持っていないようだ。もう一人はいまだに物色しながら女の体を弄っている。加勢する様子はないようだ。
一方的に相手を痛めつける行為は、自分がされていただけにあまり良い気分がしない。今は、奴隷からも解放され自由の身だ。今までの怨みの一環として殺してしまいたいとすら思うほどの殺意はこういう奴らにはある。
それに、幼いころから肉壁として、それなりの鍛錬は積んできた。まだ、幼いとはいえ、そこらのゴロツキには、ましてや相手は素手だ。こちらは剣がある。負ける気はしない。
戦闘態勢に入る。
「おい。」
モヒカンの男がもう一人に声を掛け、手を出す。
しまった!奥に武器は置いていたのか!
武器を手にする前に倒そうと地面を蹴る。
「ほら。」
地べたに座っていた音がポイッと武器を投げ渡す。
すぐにその武器で剣を防いできた。
「杖!?」
防いだ杖で力任せに剣を弾き返す。力が強く、バランスを崩しかける。
「巻き起これ風よ、切り裂く風よ、エアスラッシュ!」
「キャー!?」
透明な無数の風の刃が足を薄く切り裂かれ、倒れ伏す。
「フヒヒ。なかなか良い声で泣くじゃないか。」
下種な顔をして杖を片手に持ち空いた片手をワキワキさせながら近づいてくる。立って逃げようとするがエアスラッシュにより、足が切られ、痛みでうまく踏ん張りが利かず立ち上がれない。
「フヒ。なかなかあるんじゃないのか?ん?」
仰向けにされ、覆いかぶさられ、胸を凝視してくる。逃げだそうとするが、両腕を掴まれ、体も上に乗られ、足も怪我でまともに動くことができない。
「確認してやろう。」
ビリビリッ
力任せに服を引きちぎられ、胸が露わになる。何をされるのか、薄々分かっていたが、服を引きちぎられたことにより明確になったその恐怖に目を瞑り、声を堪え、涙を溜めている。
「フヒヒヒ。やはり、なかなか良い物を持っているじゃないか~。ブヒ。」
モヒカン男の手が胸に伸びてくる。目を力いっぱい瞑り、身構える。
しかし、いつまで経っても男の伸びた手は来なかった。恐る恐る目を開けると、誰かが立っていて、上着を掛けてくれた。
「何だ、オメエは!?」
周りを見ると、ウチに迫って来ていた男が壁にまで飛ばされており、もう一人の地べたに座っていた男が立ち上がって上着を掛けてくれた人にガンを飛ばしながら近づいている。
「だから、危ないって言ったろ?」
月の光が挿し、顔が見える。
「ど、どうして・・・」
「晩飯の時間帯になっても帰って来ないから迎えに来たんだよ。」
ウチをアオイズマから解放してくれた人がいて、笑顔を向けてくれている。
「な!?お前は!?国家魔法使いを殺した!?」
相手にも顔がしっかりと見えたようで、国家魔法使いを殺したと顔がばれているということは、あの会場に居合わせたのだろう。ついでにその決闘場は、マジカルアカデミーの隣にあり、誰でも入ることができる。
「だったら?」
「魔法を使う前に、殺ればいいだけだ!この至近距離でオメエ1人では対処できないだろ!」
男との近かった距離が無くなり、隠しナイフで下から突き刺そうとしてくる。
遅い。ステータス強化のされていない身体能力など、身体強化しなくても今の夢叶にとっては遅すぎる。持っているナイフの腕を捩じってナイフから手を離させ、落下中のナイフを足で蹴り上げ、そのまま男の腹部に刺す。
「ギャ!?」
短い悲鳴を上げ、転げ回る。
「・・・切り裂け、ウンドスラッシュ!」
壁に飛ばされていた男が立ち上がっており、魔法を唱えていた。
透明な風の刃が夢叶に迫る。が、やはり遅い。
「「は!?」」
少女と魔法を放った男は素っ頓狂な声を上げた。
「うん、なんともないな。国家魔法使いクラスじゃないと、たぶん俺傷つかなさそうだな。」
夢叶は、少し緊張しながら風の刃の速度に合わせ、手を当てる。切れる気配がないため、速度に合わせるのを止め、普通に当って見ると風の刃が霧散したのだ。魔法を素手で受けて無傷な人間を見たのは初めてなのだろう、唖然とする。
「死ねー!」
ナイフが刺さった男が腹部に刺さったナイフを引き抜きそのまま決死の覚悟で夢叶に迫る。
ドン
「ユウト様!?」
悲痛の声で叫ぶ。
「フヒヒ。所詮魔法使いは近接戦闘に弱いんだよ!」
確かに感じた手応えで笑う男の顔はだんだんと驚愕に染まって行く。
「おい、服に穴が空いたじゃねぇか。どうしてんくれんだ?」
夢叶に刺さったはずの場所、腹部には刺さっているどころか、ナイフが折れていた。
「何とも言えない感触だわ。」
腹部をさすっている。なんて、規格外の人なんだろう。
「お前ら、俺の仲間に手を上げたこと、死を持って償ってもらおう。」
「「ひ、ひー!!」」
モヒカン男は走って逃げだした。
「あー・・・死ね!」
何か考える素振りを見せたが、面倒になったのだろうか、一言言うと、ウチを犯そうとしていた男の体に赤い、赤い炎が燃え上がり、転げ回っている。もう一人が上着を脱ぎ、その炎を消そうとしているが、そこに槍だろうか?棒状の物が地面から突き出て、男の手足を貫いたのだ。
「大丈夫か?ルシアナ。」
夢叶の言葉が一瞬理解できない。
「・・・ルシアナ、この名前を君に送ろうと思うのだが駄目か?」
優しい声に、先ほどまで襲われていた恐怖の緊張が一気に解け体が震え、涙が止まらなくなる。
夢叶に肩を抱かれ、夢叶の胸の中で声を出して泣く。暴力は今まで散々あったが、性的な危険な目に会うのは初めてで、涙が止まらない。
「悪いな、来るのが遅れて。」
背中を優しく叩く。泣き止むまで待った。
「申し訳ありません。お恥ずかしい所をお見せしました。」
「大丈夫か?」
「はい、夢叶様、助けていただき本当にありがとうございました。」
「じゃぁ、帰るか、ルシアナ。」
「あ、あの。その勝手に出て行ったのに、おまけに助けていただいたのにも関わらず良いのでしょうか?・・・」
バツが悪そうに聞いてくるルシアナ。
「当たり前だろう?仲間なんだし助けるのも当たり前だ。皆待ってるぞ。」
「・・・はい!」
目に涙を溜め、笑顔で返事をする。
――――――――――――――――
「ただいま。」
アース一家は、ルシアナを迎えに行く時もそうだったが、空いた口が塞がらないとはこのことかというような顔をしている。
たいしたことはしていない。ゲートでルシアナのそばをイメージ、迎えにいって帰って来ただけだ。
「ユウト様、規格外過ぎです。」
アクシアが心ここにあらずな状態で呟く。
確かに、この世界からしたら規格外なのかもしれない。この世界ではマナを操る為に魔力を用いるのにも関わらず、魔力を使わずにマナを操ることができるのだから。まぁ、逆に魔力をほとんど扱うことができないんだけどね。
「おかえりなさい。あ・な・た ♡ 」
リリィが腕を抱いてくる。
「ご飯にする?それとも御風呂にする?そ・れ・と・も・・・」
何だこれは!?
「わ・た・し?」
キャッと顔を真っ赤にしている。
「リリィ・・・大丈夫か?」
こんなキャラじゃなかったはずだ。とりあえず、オデコに手を当て熱がないか調べる。
「熱は・・・なさそうだな。」
安堵する。
「ちょっとどういうこと!?私、結構勇気振り絞ったのだけど?」
何故かキレ気味でいらっしゃる。
「どういうこと?」
周りに聞いてみる。
「ふっふーん。あれだよ!あれ!」
「あれ?」
「乙女心は複雑ってやつだよ。」
ロシィのドヤ顔説明が終わった。
「まぁ、いいや。飯行こう。」
夢叶の痕に皆付いて行き、リリィが取り残されているのをエリィが心配そうに振り返りながら出て行く。リリィがペタンとお尻を地面に付けると、頑張ったのにと涙目になっていた。そこに、リリィの肩にポンと手が置かれる。パァツとユウトが戻って来てくれたと思い顔を向けると、ロシィが口元に手を当て、
「プークスクス。」
と肩をペシペシと叩いて部屋を出て行った。
「・・・。」
1人部屋に取り残されるリリィ。
「キー!!」
誰もいない部屋で地団駄を踏んだ。




