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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第34話 魔法学校 2日目

―――――夕方 宿屋


「はああぁあぁ。」

 ベッドに腰掛け盛大な溜息をつく。


「明日どうなっているか心配。」

 リリィが心配して横に来てくれる。


「初日から問題起きるとか、ないわー。」

「妾が適当に叩き潰してやるぞ?」

「いやいや。それは本当に最終手段ね。」

 シルヴィが怖いことを言うので我慢してもらう。


「まぁ、なるようになるか!」

「開き直ったな!」

 ロシィが指差してくるので「おう!」と威張っておいた。


「とりあえず、そろそろ食事にしないか?」

 エリィの提案に全員賛成する。


 2階の部屋を出て、階段を下りるとまた3ゴミがいた。


「お、お子様だぜ?」

「学校で恥かいたんだぜ?」

「ださいんだゼ?」


 む、今日の標的は俺か。

 こいつらは、あの手この手で奴隷にしようとしてくるからな。いい加減諦めたらいいのにと思うのだが、無駄にしつこい。


「こいつら・・・。」


「だぜ?」

「イラッと来てるんだぜ?」

「図星なんだぜ?」


 こんな時だけ当ててきやがる。


「さっさと行こう。」

 先へと促す。


「だぜ?」

「逃げるんだぜ?」

「笑い者だぜ?」

 クックックと笑って挑発してくる3ゴミ。


「ユウ殿。学校でやってしまった程度の魔法なら構わないか?」

「あー、頼む。さすがに俺も我慢の限界が近づいて来てる。」

「任された。」

 ニヤっと笑い、指を鳴らしながら一歩踏み出す。。


「「「何なんだぜ?」」」

 ビクっとなる3ゴミ。


「はて、別にお主たちには何も用はないが?ビクついていたようだがどうしたのだ?何か怖いものでもみたのか?」


「別にビクついてなんていなんだぜ!?」

「そ、そうだぜ?」

「き、気のせいだぜ?」

 明らかに動揺しとる。


「そうかそうか、なら、妾達はこれで失礼するとしよう。」

 すぐにシルヴィが背を向けて外へ行こうとする。


「ま、待つだぎゃ!?」

「ま、だぎゃ!?」

「だぎゃ!?」


 止めようとしたその刹那、3ゴミがものの見事に転んだ。周囲にクスクスと笑いが起こる。まぁ、当然シルヴィが足元に風を送り、バランスを崩させたのだが。


「行くか。ユウ殿。」

「ああ、サンキュ。」

 恥の部分で攻撃してきた3ゴミを恥をかかせることでクロスカウンターの如くダメージを与えてくれた。なんだかんだで、シルヴィは仲間思いだと最近気付いた。




―――――――次の日 魔法学校 校門前


「「「「キャーー!」」」」

「「「「お姉さまー!」」」」


 シルヴィの取り巻きが3倍ぐらいに増えている


「む!?何だ、お主達。」

 シルヴィが取り巻きに囲まれ、少し困惑している。


「お姉さま、私に魔法を教えていただけませんか?」

「あ、ずるい。それなら私達にも!」

 押し寄せてくる取巻きを何とか抑えようと必死にエリィが頑張っているがむぎゅぅとなっている。


「おい、シルヴィが困ってるだろ!」

 取巻きとの間に割って入ろうとするが。


「ちょっと!あなた、お姉さまに向かって愛称で呼ぶとか死にたいの!?」

 ドンと突き飛ばされ、尻もちをついてしまう。恥ずかしい。


「おい、死にたいのはお主のようだな。」

 腕を伸ばし、ガシっと夢叶を突き飛ばした女性の肩を掴む。

「え!?な、何を!?」

 シルヴィの方へ振り向いた少女の目にはシルヴィの手に風の塊が粗ぶっていた。


「いいか!お主達、次、妾の仲間に手を上げるようなことがあれば、その者の体が血に染まると思え!」

 

「「「「「は、はいぃ!!」」」」」

 殺気を込めて言うと取巻き一同が返事した。


「ユウ殿大丈夫か。」

 呆気に取られて見ていたら、シルヴィが手を差し出してきてくれる。その手を取り、立ち上がる。


「ツンデレか・・・?」


「なぜだか、不愉快な事を言われた気がするのだが気のせいか?」

「気のせいだ、気のせい。ありがとな。」

 ポンと頭につい手を置いてしまった。不思議とちょいちょいと頭に手を置きたくなるんだよな。(可愛い子に限る)


「う、うむ!ではさっさと行くとするぞよ。」

 ぞよ?照れてるのか。顔が赤い気がする。教室に向かい歩き始めると、ザッと左右に取巻きが別れ、その間を歩いて行く羽目になった。


「では、また後ほど。」

「おう。」

 手を上げて、昨日と同様シルヴィの教室で別れる。


「ようやく来たな!ユウト・オウゼ!」

 自分の教室に入るとブルシウスが絡んできた。


「・・・何か?」

「決闘だ!決闘!昨日は決闘を放って帰るなんて、ビックリしすぎて放心してしまったわ!」

 それで、すんなりと帰れたのか・・・。


「うーす、席に着けー。」

 教師が入ってくる。


「あ、授業始まるので。」

 それじゃ、と昨日の席に着く。ほとんどが昨日と同じ席に着き、一部はすでにグループができ始めているのか固まって座っているようだ。


「今日は、基本中の基本。魔力の扱いだ。貴族の皆は、幼いころから修練している所が多いと思うが、復習のつもりで聞いてくれたら幸いだ。」


 マルクスは、伝説的魔法使いの家系ではあるが、貴族ではない。マルクスの父、マドニクス・ハリーは国家魔法使いとされ、地位の高い人間ではあるが、貴族はいろいろと面倒だと爵位は受け取らずにいる。よって、マルクスの位置は国家魔法使いの息子というだけで貴族よりは立場が低い平民である。しかし、その父の地位と自身の功績と教師という立場から貴族相手にも尊敬される対象であり、敬語でなくても許される。


「では、まず目を閉じて、自分の中に意識を集中して見てくれ。」


 言われた通り集中してみる。


「体の中に、何か温かい物が巡っている感じがしないか?」


「はい、します。」

「まぁ、あります。」

「当然。」


 いろいろと当たり前という声が出る。


「あ、感じる。」

「うん、感じる。」

 ロシィとリリィも感じたようだ。


 ・・・まじで?


「何も感じないんだけど・・・。」


「プークスクス。」

「本当?」

 笑っているロシィにチョップし、小声で聞いてきたリリィに対応する。


「マナの感じはするんだけど、それとは別の感じのやつが感じられないだよ。」


「たぶん、それは、ユウの中には魔力よりマナが多いんだよ。だから、なかなか感じ取れないと思うんだよね。」

 ロシィが頭を撫でながら説明してくれる。


「むう。」


「先生、あそこで魔力を感じ取れない人がいます。」


 1人の生徒の声で視線が夢叶に集中する。どうやら夢叶以外は全員奴隷含めて感じ取れることができたらしく、クラスの全員が夢叶を見て、嘲笑っている。

 恥ずかしさで顔を伏せてしまう。戦う時とかは何だかんだで必死でやるから大丈夫だが、こういう時は耐性がなくなってしまうから辛い。だから目立ちたくないんだよ。


「その年で魔力をすぐに感じられないのは珍しいな。えーっとお前は・・・ユウト・オウセか?」

「はい。」

「あー、魔力値18の奴か・・・。」

 クスクスと笑い声が聞こえる。


「あー、すまん。もっと、奥底にあるように集中してみてくれ。一度見つけることができれば、それ以降は結構簡単に探せるようになるはずだ。」

 自分の発言によって笑われてしまった夢叶に誤り、アドバイスを送る。なかなか良い教師じゃないか?


 再び、目を閉じて奥底に集中する。隣で2人が頑張れと言ってくれる。ロシィも茶化してきたりは来なかった。


 集中する。深く、奥底、マナを掻きわけるように自分の奥底へと探す。すると、マナとは違う、暖かい感じのものがあった。巡っていると言うより、詰まっている感じだ。これが、魔力よりマナが多いということで感じ取りにくくなった原因だろう。


「ふぅ。」

 目を開ける。


「よし、感じ取れたようだな。さっきは、悪かったなユウト。皆も最初なんだから誰だって出来なくて当たり前なんだ。今後、彼も出来て自分だけができない立場になったらどうする?ここには、そういうできないことを学ぶ、練習する為の場所だ!決してできないからと言って笑うんじゃないぞ!いいな!」


 皆、自分達がその立場になった時の事を考えたのだろう。誰もが無言で頷く中、


「フン!できない奴は努力が足りないだけのただの怠け者だ!できないできない言う奴はただの言い訳にすぎない!努力すらせずにできないのなら笑われて当然だ!」


 青髪で紺色のローブを纏った青年が立って言う。


「特に!そのユウト・オウセとかいう平民は魔力値18!魔法社会で魔力の鍛錬を今まで怠るとはあり得ない!なのに!!こいつは単連を今まで行ってこなかったからこういうことになるのだ!」


 この世界では、もっともな意見なのだろう。


「まぁ、そういうな。ユウトは、すでに両親が亡くなっているというし、何かと大変だったんだろう。」

 教師が庇ってくれるが、


「甘いですね、マルクス先生。別に、我々の年代で両親が亡くなるなんてことは珍しくないでしょう。こういうのは早い目に徹底的にしておかないと、我々のクラスの品が問われます。」


「そうかもしれないが・・・別に魔力値だけが全てではないだろう。今から鍛錬してもまだ魔力値は上がるし、これから勉強する魔法陣、アーティファクトの作成で貢献してくれるかもしれないだろう?」


「しかしですね、彼は自分の魔力すら感じることがなかなかできないのにそんな期待を持つことはできませんね。それに、奴隷に愛称で呼ばせているなんて虫酸が走る。奴隷とはその主人である力で、物だ。物に愛称を呼ばせているとは、魔力とか以前に品がすでにない。」


「言いたことはわからなくはないが、まだ授業初日だ。もうしばらく様子を見てもいいだろう。ってことで、はい!もうこの話は終わりだ!次行くぞ!」


 フンとしぶしぶと座る生徒。睨まれた。


 良い教師と思ったが前言撤回せねばならないだろう。奴隷は物と認めているのだ。思い返せば、確かに初日に奴隷に発言権はないとか言っていたしな。


「えー。次だが。属性は皆知っているよな?知らない奴の為に念のために言うぞ。」


 四代元素 基本属性

  火、水、地、風

 その上位に

  氷、雷、光、

 さらに上に

  聖、闇


「と言うように、上位の属性に対して勝とうとするなら通常の一回り以上の強い魔法を放たなければ打ち破ることはできない。そして、残念なことにこの属性は生まれながらに決まってしまっている。決まっていると言っても決してその属性だけしか使えないと言うわけではない。訓練次第で扱えるようにはなるがかなり苦労するぞ。」


「先生の属性は何ですか?」


「俺か?俺は光属性だ。そして、氷や雷属性も使えるようになっているぞ。」


 おー、流石だ。と口々に言う。


「この生まれながらに持つ属性はただその属性と相性が良いというだけで最上位である聖属性や闇属性でないからといって悲観することはない。鍛錬すれば誰でも使えるようになる。相性が良ければ、魔力の効率が上がったりといろいろと便利ではあるけどな。」


 周囲にそれぞれ何属性が得意?とか聞いてざわついている。


「ロシィは当然闇だよな?」

「もち!」

 久しぶりに胸を張っている気がする。

「リリィは何かわかるか?」

「たぶん、光かな。何か眩しい感じがするし。」



「「「光!?」」」

「「「闇!?」」」


 バっとクラス全員がこっちを見る。もう、勘弁してくれー。

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