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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第2章 魔法の世界
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第33話 魔法学校 初日

魔法学校 入学の日


 あの3ゴミは、会う度に何か言ってくるが、いつもバッサリと切り捨てて放置している。とりあえず、のんびりとこの街、マジカルシティを探索して過ごした。



 2日前に言われた通りの場所にやってくると、すでにクラスの割り振りの用紙が張られていた。1クラス30人ほどで4クラスあるようだ。用紙の前は人だかりで順番に前がはけていくのを待つ。


「俺はDクラスか。」

「妾はAのようだ。」


 シルヴィとそれぞれクラスを確認し、教室へと向かう。


「それじゃ、あとで。」

「うむ。」


 シルヴィの教室の前で別れる。夢叶のクラスはその先にあるようだ。


 教室に入ると中は、教卓を中心に半円を描くように広がっており、段ごとに机があり人数にしては大きすぎるぐらいの広さがあった。


「席は、どうなってるんだ?」

「どうなってるんだろう。」

「どこでもいいんじゃない?」


 どこの席に座ればいいかわからず、周囲を見渡していると、後ろからドンとぶつかってきた。


「邪魔だ。」

 偉そうな、赤髪で赤のローブ、赤い杖、赤を基調とした青年がそう言って真ん中の一番前の席に座る。その左右に同じく赤を基調とした従者らしき者が4人別れて座る。


「何あれ、通常の3倍で感じ悪ー。」

 イーっとしているロシィにペシっとする。


「席はどこでも良さそうだな。」

 窓際の一番奥の席に座る。どこでも良いことは良かったが、主の席の位置、その左右に従者の席が2席ずつと立位置的なのは決まっていた。


 しばらくすると、席が埋まり、ワイワイと楽しみなのか皆それぞれ話しあっているみたいだ。


「席に着けー。」

 教師らしき人物が入って来て、教卓の前に立つ。紺色のローブに独特の龍の頭の形をした杖を持って青髪のキザっぽい男だ。


「今日から、お前達の担任となる、マルクス・ハリーだ。これでも冒険者ランクはMだ。よろしく頼む。」

 ランクMにおーと周囲がざわつく。


「ランクMの方に教えていただけるなんて。」

「これは、当たりじゃないか。」

「ハリーってもしかして。」

 なかなか好評のようだ。

 

「先生!」

 男生徒の1人が手を上げる。


「なんだ?」

 さわやかに返事する。


「先生はあの伝説の大魔法使い、マジェスト・ハリーの家系の人なんですか?」


「ああ、そうだ。伝説のマジェスト・ハリーほど凄いことはできないが、そこらの人達よりかは腕に自信があるぞ。」

 大げさにニカっとする。歯がキラーンってしてるような気がする。


「マジェスト・ハリーってどこかで聞いたような。」

 ボソと口に出る。

「あの、私を恋に落とした時に戦った相手よ。」

「はぃ?」


 いつ、リリィを恋に落としたのか。全くわからん。頭に?マークを出していると。


「魔物使いよ。」


 あー。あいつか。と手をポンとする。


「はいはーい。マジェスト・ハリーってどんなことができたの?」


 元気よくロシィが聞く。それに周囲はなんだあいつは奴隷の癖にといった目を向けている。


「奴隷に発言権はない。その者の主、しっかりと教育をしておくように。」


「あ?・・・ゴホン。すいません。あとでしっかりと言っておきます。」

 危うく、喧嘩を売りそうになったが我慢。いきなり問題を起こすわけにはいかない。


「何あいつ。」

「この世界では奴隷は人権がないに等しいかもしれない。悪いが発言に今後気を付けてくれ。」

 小声で話す。


「えー。まあいい。皆、マジェスト・ハリーという名前は知っているよな?魔法に関わる人間が知らないはずはないと思うが。しっかりと教育されていないと知らない者もいるみたいだから言っておこう。500年ほど前に姿を消したマジェスト・ハリーだが、過去に類を見ない素晴らしい魔法使いだった。いまだに彼を越えた者はいないとされている。」


 マジェスト・ハリー

  稀代の天才魔法使いであり、研究熱心努力家。

  究極魔法である空間・転移魔法初めて扱うことができた人物。

  魔力値も300を超え、同じ魔法で火力が全く違い、数多の魔法陣を駆使して、当時、最強の魔法使いであり、いまだに彼を越えた魔法使いは現れたことがないという。



「世界最強って本当だったんだな。」

 だねーっと小声で話す。


「えー、この学校、マジカルアカデミィでは1年で魔法に関わる基礎全般を教え、2年目に冒険者用の魔法とアーティファクト作成の部門に別れ、そして3年目はその応用編と3年掛けて行う。それでは、とりあえず初日だ。自己紹介でもしてもらおうか。」

 学校の説明が終わったあと、自己紹介を促してきた。

自己紹介とか嫌いだなー。と思っているとさっきぶつかってきた赤髪のやつの番が来た。


「俺は、アズナ・キャス・ダイブルだ。奴隷が見ての通り4人。肉壁3人、補佐の魔法使いが1人だ。良い学校生活を送りたいと思う。」

 どこかの3倍の人の名前が合体したような名前だ。ミドルネーム持ちがどうやらこの世界では貴族と言う証らしい。キャス卿という感じになる。ほかにも何人かいた。数えてない決めてない。


「肉壁?」

「そういえば、宿屋であの3ゴミだっけ?剣士のことをそのような風に言っていたような。」

「剣士は魔法使いには絶対に勝てないから近づかれるのを防ぐためのただの壁ってか?少しムカつくな。」


 そうこうしているうちに自分の番がやってきた。今まで、奴隷がいる者達は全員奴隷の役割を言ってきた。どうするか・・・。


「えーっと、ユウト・オウセです。それぞれ1人ずつです。よろしくお願いします。」

 役割は、肉壁の魔法使い補佐の二つしか出ていなかった。その為、濁した言い方をしたのだが、少し驚きがあったものの無事に次の人に進んだ。


「教材は全員に全ていきわたったな?今日は、これで終了とする。クラスの者達と話でもしてから帰ると言い。各自、明日からに備えて予習しておくように。解散!」


 教師が出て行くと、教室内がざわつき始めた。すると、青髪の青を基調とした服と杖の青年・・・自己紹介で言ってたが覚えてない。その後ろに青を基調とした奴隷の剣士が控えていた。


「お前、平民の癖に奴隷二人とは良い御身分だな。」

 困った・・・平民は普通奴隷は持たないのか・・・いや、自己紹介の時にも何人かいたし。そうか、奴隷がいても普通は1人なのか。そして、このクラスに平民で2人以上いるのは夢叶1人しかいない。しまった。面倒が起きそうだ。


「いえ、そんな、亡くなった親が残してくれただけですので。」

 財産にしておけば、ある程度なんとかなる。と思っていた時がありました。


「ハッ!それでも普通、平民は、奴隷は2人持たないだろ?貴族に対する当てつけだろ?あん?」

 当てつけ?意味がわからない。金のない貴族が妬むとかそんなしょうもないことか?

 

この世界の奴隷は普通に売買されている。それなりの金は必要だが誰でも変えるようで、魔力値が高いほど高いらしい。あと見た目も大事。魔力値が少ない場合、剣士別名肉壁として育てれら、その名の通り、命の危険がかなり高い壁役に使われる。


「私達が、このブルシウス・ウール・スーマルが奴隷を2人も買えない金しか持っていないとでも言いたいのかとそう言っているんだが?あん?」

 うぜー。そして、予想は当りっぽいし。


「そんなことはないんだが・・・。」


「なんだ?その言葉使いは!何様のつもりだ?」

 奴隷の剣士、肉壁に指で指示し、剣士が剣を抜く。


「申し訳ない。言葉使い気を付ける。」


「気を付けてそれか!痛い目を見たいようだな。」

 言葉使いって難しい!


「ユウ殿、帰るぞ。」

 ガラっと教室に入って来たシルヴィ。良いタイミングだ。


「なんだ、貴様は!今話しているのは私だぞ。」

 ブルシウスが言い寄る。

「ん?お主こそなんだ?妾はユウ殿の仲間だが?」

 話しあって、シルヴィとの関係は仲間と言うことにし、力は極力隠して、真ん中ぐらいを心掛けるようにと念を押して言っている。


「何?その後ろの人達?」

 

 何故か、シルヴィの後ろに5人の女性が付いて来ているのだ


「わからん。教師の奴が、妾の魔力値をばらしよってな。魔力値が高いからか、貴族か何か知らぬがしつこく言い寄ってくるから吹き飛ばしたらこうなったのだ。」


「おま!?あれほど言っといたのに・・・。」

 見事にぶち壊された。


「別にこれといったことはしていないぞ?風で少し飛ばしただけで。」

 慌てて弁解しようとするシルヴィ。


「無詠唱で魔法陣もなしに、人を吹き飛ばせるほどの風を起こせるなんて凄過ぎです!よお姉さま!」

 取り巻きが「ねぇー」とキャーキャーしている。


「まぁ、なってしまったものはしょうがない。俺の方が強くて、俺と主従契約をしているのは絶対に言うなよ?」

 耳元で小声で注意する。それに頷くシルヴィ。


「貴様ら、この私を無視するとはいい度胸だな。」

 イラつきを隠さずにブルシウスが割って入ってくる。


「ちょっと、あなた、シルヴァリアお姉さまの何なの!?」

「そうよそうよ!」

 何故かブーイングがくる。


「さっき、仲間って言ったろ?」

「お姉さまの仲間って事はさぞ、お強いんですよね?」

「魔力値は御いくつかしら?」


「魔力値?18だけど?」

 当りが静寂に包まれたのは気のせいではない。


「ぷっ。」

「あはははは。」

「わーはっはっは。」

「プークスクス。」


 教室全体が笑いに包まれる。そこにロシィが混ざっていたのでチョップしておく。くそう、別にこいつらより強い自信はあるが、笑い物にされるのは苦手なんだよな。拳をギュっと握り、いろいろと我慢する。その手をそっとリリィが優しく包んでくれ、思わずリリィの顔を見ると、笑顔を返してくれた。


「どうも、あなた方は魔力値だけが全てだと思い込んでいるようですが。この方は魔力値が少なくても凄い人なんですよ!」


「どう凄いか言って貰おうか?」

 イラついていたはずのブルシウスが笑いを堪えながら聞いてくる。


「えっと・・・。」

「妾が、・・・魔力値183である妾が認める人物ということだ。」


 マナ操作の事は言えないし、などと言い淀んでいるとシルヴィが助け船を出してくれた。


「「「「183!?」」」」

 教室がざわつく。


「ふ、ふん。魔力値183がどうしたというのだ!ただの生徒がたいしたこともできないくせに、何をぬかすか!」

「ふむ。逆にお主は何ができる?お主の最高の魔法はなんだ?」

 やれやれといった態度で質問するシルヴィ。


「なに?」

 質問で返され、しかも最高の魔法だと!?

「貴様らのような平民と違って、私は幼い頃から魔法の練習をしてきたのだ!粋がるなよ!白いの!」

 まぁ、確かにシルヴィは髪も服も肌も白いが。


「水よ、水の球、大きく、大きく、浮かべ、浮かべ。・・・ウォーターボール!」

 杖の先に拳二つ分ほどの水の玉が浮かび上がっている。


「さすがは貴族様。すでに、あそこまで大きくウォーターボールを御作りになることができるとは。」

「さすがです。ブルシウス様。」

 周囲と、ブルシウスの奴隷がほめる。空いた口が塞がらないとはこのことか。


「フン。驚いて何も言えないか。」


「うん!しょぼ、んん!?」

 ロシィが危うく更なる面倒を起こしかけたので口を塞ぐ。


「ロシィ、場の空気とか読もうな?・・・な?俺がこういう揉め事とか目だったりするの嫌いって知ってるはずだよな?今は、いかに速やかに事が収まるようにするかが先決だ。OK?んん?」

 キレ顔でにこやかにロシィに耳元で言う。


「お、おす。」

 何故か空手家のような返事が返って来た。


「だからどうしたのだ?妾は、ユウ殿・・・仲間を笑い物にされて少々ムカついているのだが。謝るのなら今のうちだぞ?」

 明らかに呆れた様子で対応しちゃうシルヴィ。その態度にブルシウスの額に青筋が張る。


「いいだろう。もう許さん!決闘だ!」

 シルヴィに向かい手を突き出す。


「帰るか。」

「だね。」

「あ、待って。」

「む。ユウ殿が帰るなら妾も帰るとするか。お灸を据えたかったが仕方あるまい。」

 踵を返し、教室の出口へと歩いて行く。夢叶の後ろを無言でなんとも言えない表情で付いて行くエリィであった。

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