第32話 少年は魔法学校へ
「ガーッハッハッハ!少年。気を落とすな。いや、お子様か?」
杖を持った2メートルはありそうな長身にスキンヘッドが光、ローブを来ている。
なんだか、懐かしい気がするぞ。
どこかで見たなこの禿げた親父はという感じで見るロシィ。
「お子様でも、これから必死に修行すれば平均的な魔力値ぐらいにはなるだろ。・・・たぶん。」
「たぶんかよ!」
まぁ、いい。マナと魔力値は比例しているようで全くしていないことがわかった。勘違いしていた部分があるが、魔力と同じだと思っていたが、マナは生命力と同じような物だ。何かを起こす現象全てにマナが関わってくる。それに魔力が深く関わっているのだ。
「幸い、このマジカルシティには魔法学校がある。金さえあればお前達の年でも入れるはずだ。」
「学校!?なにそれ!?」
「興味があるな。」
ロシィとシルヴィが食いつく。リリィとエリィも何それ状態だ。ビギワンス王国には学校というものはなかったのか。
「まぁ、簡単に言うと、魔法を教わることができる学び舎だ。」
夢叶が答える。
その魔法学校で切磋琢磨して、冒険者になったり、冒険者をしながら学び、強さを向上させていったり、アーティファクト作成方法を教わってそれを商売にしたりとまぁ、人それぞれだそうだ。魔法で上を目指したいなら必ず入っておいた方が良いだろうということらしい。
「いつ、入れるんだ?」
「おう、確かそろそろ締め切りだったはずだから急いだ方がいいぞ。」
「わかった。ありがとう。」
「おう!俺は、オージ・サンハゲだ。何かあったら声を掛けてくれ。これでもランクBなんでな。」
禿げのおじさんからおじさん禿げになった。世界に同じ顔をした人間が3人いるとかいうけど、異世界も含まれるのだろうか。
宿を確保し、外に出ようとすると、いつかと同じように3人が道を塞いだ。
「ちょっと待ちな、お姉さん、お嬢さん達。」
「俺達は、ランクBの冒険者だぜ。」
「そんな、少年・・・いや、お子様なんかについていないで、俺達と来ないか?」
イラ。ニヤついて近づいてくる。あー。なぜここまで同じ奴がいるんだ。違うのはローブに杖を持っている所ぐらいだろうか。
「あんた達ごときに付いて行く理由もないし、得になるようなこともないよね?」
「俺達は全員魔力値が150以上ある、天才パーティだせ。」
「今は冒険者期間が少ないからまだBだが、すぐにランクは上がっていくんだぜ。」
「俺達に付いてきたら能力授与の主従契約でオリジナル魔法を使えるようにしてやるぜ。」
ぜの口癖も同じか。
「たとえば、どんな魔法なの?」
「いいだろう。」
「みせてやるぜ。これが!」
「俺達が編み出した魔法だ!」
「我が、炎纏いし杖は槍の如く、近寄る者を焼き払わん!フレイム・エンランス!」
杖を翳して詠唱し、翳した杖の先端に炎が纏い、まるで槍のようになる。
「本来、我々魔法使いにとって、剣士など魔法を使えないゴミどもは近づく前に倒すのが当たり前だぜ。」
「簡単に近寄られるような魔法使いはクソ弱いやつなんだぜ。」
「だが、剣士にも優秀なやつはいるし、数で押されればさすがの魔法使いにも詠唱中に、近寄られるかもしれない。そんな時、このフレイム・エンランスがあれば、そいつを簡単に鎧ごと倒せると言う隙のない魔法なんだぜ。」
おおー。とどよめく。そんなに凄いのだろうか?詠唱も長かったし、いざ近寄られたらそんな暇ないと思うのだが。
「えっと、魔法学校とやらに行くんだっけ?」
「ああ、締め切りもそろそろまでみたいだし、今日までだったらやばいしな。さっさと行こう。」
「うん。」
「そうだな。」
「ああ。」
何も見なかったかのように通り過ぎて行く。
「おい!待つんだぜ!」
「この魔法は今の所、俺達しか使えない高等魔法なんだぜ!」
「欲しくはないんだぜ!?」
馬鹿な!?という反応だ。馬鹿だからしょうがない。というか、これで高等?やばくないか?
「いらないよ、そんなゴミみたいな魔法。」
バッサリと言いきるロシィ。
「だぜ!?」
「ゴミだぜ!?」
「何年も掛かって編み出したこの魔法をだぜ!?」
まじかよ。
「だって、そんなのマ・・・」
「ちょっと待て!」
何を言おうとしたのか察して、慌ててロシィの口を塞ぐ。
「マナ操作の事はこの世界では知られたらたぶんかなりやっかいなことになるから絶対にいうんじゃないぞ。」
小声で全員に言う。えーとロシィがブーっとするが、しょうがないなーと頷いてくれる。その他も皆頷いてくれる。
「あん?」
「だぜ?」
「怖気ついたんだぜ?」
「そんな魔法がなんの役に立つ?」
チャキと3ゴミの1人の喉元にエリィが剣を突き付ける。
「なにするんだぜ!?」
「いきなりだぜ!?」
「卑怯だぜ!?」
慌てる2人。
「戦場で、そんなことが言えるか?貴様らのその魔法が不意にこう近寄られたらなんの意味もあるまい。このまま詠唱するよりも、いや、貴様が口を動かした瞬間に喉を突き刺すことだってできる。そんな遅い魔法になんの価値がある?」
剣を鞘に納める。
「ふん、肉壁が何を言っているんだぜ!」
「戦場ではこちらも肉壁を用意してるんだぜ!」
「魔法使いの常識だぜ!」
「・・・貴様ら、剣士は肉壁とそういうのか?」
怒りを押さえながら睨みつけるエリィ。
「エリィ、やめといてくれ。気持ちはわかるが。目立つ。」
エリィの肩をポンと叩き、もう行こうと言う。
「ああ、すまない。貴様ら、次はない。」
もう一度睨みつけ、夢叶一行はさっさと宿、ギルドを出た。
「やっつければいいのにー。」
両手を頭の後ろにやり、口を尖らせているロシィ。
「まぁ、なんか余裕でできそうだけど、面倒事はできれば避けたいしな。今は魔法学校だ。」
「まぁ、今回はお金取られなかっただけマシって感じ?」
ケラケラと笑っている。
「あれ?ロシィ、あの時いたのか?」
「うん!実は隅にいたのだ!」
フッフーンと胸を張る。
「ここが、魔法学校か。」
「おっきいね。」
「王国ぐらいありそう。」
学校と言うより、王城と言った方がいいだろう。門の左右に学校の立派な旗が2掲げられている。本日本の学校よりも2倍以上は大きい建物、敷地は3倍以上はあるだろうか。
「すいません、魔法学校に入りたいのですが。」
エリィが門の近くにいた門番らしき人に話しかける。
「ん?ああ、受け付けは今日までだ、そこをまっすぐに行くと入学の受け付けがあるぞ。」
礼を言い、戻ってくる。
「受付、今日までだったぞ。」
「ぉう。あぶない。急ぐか。」
言われた通り進むと一軒家ぐらいの大きさの建物に入学受け付けという旗があり、そこに行く。
「すいません、魔法学校に入りたいのですが。」
再び、エリィが。
「あ、はい。えっと、何名様でしょうか?申し訳ないのですが、あと枠が二名までとなっているのですが・・・。」
受付の男性が少し困ったように聞いてくる。
「なんとかなりませんか?」
「うーん。奴隷がいるのでしたら数には入らないですし、その奴隷の費用は半分になるのですが。」
「えっと、その前に、主にアーティファクトを教わりたいんだが。」
夢叶が尋ねる。
「えっとですね。まず、1年間魔法の基礎を学んでいただきます。その後、自分にあった方向、冒険者の為の攻撃魔法の訓練だったり、後方支援の為のアーティファクト制作についての勉強を選んでいただきますので、最初は気になさらなくてもいいですよ。最初の1年でも基礎はどちらも教えていただけますから。あ、ですが奴隷の場合は主人と同じ所に行っていただきますのでご了承ください。」
「能力授与の主従契約の場合はどうなるんだ?」
「従者の方は奴隷と同等の扱いになりますが、可能です。」
「わかった、ちょっと考えさせてくれ。あ、その2名に入るのは決定だから確保しといてくれ。」
「畏まりました。」
少し、受け付けから離れて相談することに。
「さて、どうわける?」
「とりあえず、ユウは主だよね。」
リリィが言う。
「俺はアーティファクトを知りたいからアーティファクトの方に進もうと思っているんだが、攻撃をしりたいやつはいるか?」
「あの、杖を炎の剣?槍?にするやつで高等魔法なんでしょ?さすがにしょぼすぎるから、いいかなー。」
「だよなー。たぶん、1年の間に見学ぐらいはできるだろうし、思ったより凄かったら行くのもありって感じだな。」
ロシィと夢叶の言葉に頷く。
「それじゃぁ、もう一人の主となる奴を選ばなきゃいけないんだが。」
「はいはい!」
元気よく手を上げるロシィ。
「却下、ロシィは問題を起こしそうだから俺と一緒にいること。」
「えー。」
文句を言いたそうだが、他の奴の言うことなんて聞きそうにないし、シルヴィともめそうだしな。
「リリィに頼もうと思うんだが良いか?」
「嫌です!」
「え!?」
正直、断れるとは思わなかった。
「私はユウと同じ所に行きたいの!」
少し、頬を染めて上目遣いで言ってくる。ぐぬぬ、そんな目で見られると断りづらい。
「それじゃあ、シルヴィに主役をお願いしてもらえばいいのでは?」
エリィが提案する。
「シルヴィ、どうだ?」
「まぁ、当然だな。妾が普通の人間の下に付くなどありえんしな。」
「シルヴィ?仲間に対して、そういう言い方は好きじゃないな。」
「お、ぉう。済まない。」
きつめに言うと素直に謝った。その様子をロシィが口元に手をおいてプークスクスしている。
「あいて!?」
頭を軽く叩いといた。
「それじゃぁ、俺とロシィにリリィ。シリヴィとエリィでいいか?」
「あーい。」
「うん。」
「ああ。」
「うむ。」
それぞれ頷く。ロシィは頭をさすりながら。
「待たせた。」
「いえ、お決まりになりましたか。」
「俺とシル・・・こっちが主として入る。」
名前を言ってもわからないと気付き、肩に手を置いて示す。
「それでは、皆さまステータスプレートを提示願います。」
全員出す。
「180!?183!?18!?」
目をパチクリして見てくる。
「ああ、あんまり騒ぎにしないでくれよ。目立つのは嫌いなんだよ。」
「ああ、はい。申し訳ございません。貴族の方でしょうか?」
「いや、違うが?」
「魔力値は血の関係でも生まれた時から高い数値になることがほとんどですので、貴族の方達はほとんど、魔力値が高い者同士が結婚して、より強い、魔力値が高い子孫を残すのが普通なので、貴族の方でなくここまで高い方は珍しくて。」
「貴族は、地位が高くて魔力値が高いのが普通と。」
「まぁ、そうなりますね。ですので、平民は貴族に対して強く言うことができないのです。」
苦笑いしている。何かと苦労があるようだ。
「それでは、主の方は金貨20枚、奴隷は10枚、合計金貨70枚いただきますが大丈夫でしょうか?」
貴族ではない平民がこれほどの大金を持っているのかと心配に見てくる。
「ええと、これでいいか?」
金貨の入った袋を取り出し、数えて支払う。
「はい、確かに。平民なのこれほどの大金どうやって集めたのですか?」
確認し終えて訪ねてくる。
「えー。まぁ、親の財産がほとんどで。」
「そうですか、失礼いたしました。
苦笑いして誤魔化すが相手は、親が死んだことを聞いてしまい気まずそうにする。こっちも気まずい。
「それでは、明後日の朝9時にもう一度ここにお越しください。クラスなどの割り振りを行ってから授業が始まりますので。」
「わかった。」
「明後日が楽しみだね。」
「ああ。シルヴィ、エリィのこと頼むな。」
「うむ。任された。」
「そこらの奴らよりかは強い自信があるのだが。」
「相手は魔法だから、ユウも心配してくれてるんだよ。」
いろいろと魔法学校のことを話しながら宿へと戻った。
「俺達の凄さがわかって帰って来たんだぜ?」
「教えてほしくなったんだぜ?」
「奴隷になるなら教えてやるんだぜ?」
「いや、全く興味ない。」
「「「だぜ!?」」」




