第30話 その後
いつも読んでくださっている方ありがとうございます!
「ロシィ・・・知ってた?」
「うん。っていうか、だからこその契約なんだけど?」
当然みたいな反応された。
どうやら魔法とは、魔力を用いてマナに干渉することによりさまざまな現象を引き起こせるのであった。
マジェストの使用していた世界の魔法の基本とは、魔力からマナを引き出して発動する。これを実行するのに、魔法陣で、現象を引き起こす形作りをし、詠唱により魔力をマナへ干渉しやすくなり、二つ合わせて初めて魔法を使えるのだということらしい。無詠唱、魔法陣なしでも発動できる人間はいるが、数倍の魔力の消費、技術がなければ不可能らしい。
「っていうか、やっぱりあんたはもともとこの世界の人間じゃなかったんだな。」
ちょいちょいと“この世界”という単語が気になっていたので確認した。
「あー。ということは、やはり貴様もか。」
「ああ。」
お互い頷き納得の顔。
「「えー!?」」
「ほう?」
「知ってた!」
相変わらずの驚きのリリィとエリィに関心のシルヴィ。ドヤ顔のロシィ。
「それよりも、先ほど、そこのブラックドラゴンが契約と言う気になる言葉を発したのだが?」
顔を引きつらせながら聞いてくる。
「ああ、俺と能力授与の契約をしている。」
「つまり、そこのブラックドラゴンもマナ操作を行えると?」
「どや!」
ロシィが口で態度を示す。
「ただでさえ、倒すことすらできなかった相手がさらにはマナ操作だと!?ふざけている!もういい、殺せ!」
自暴自棄になるマジェスト。
「ドードー。」
ロシィが落ちかせる。落ちついちゃった。
「まさか、この世界の人間どもにスキルを継承させるための主従契約でブラックドラゴンを強くすることになるとは思いもしなかった。」
スキルは、ステータスプレートに保有される魔力を用いて発動し、攻撃などの様々なサポートしてくれるというものだった。あくまでサポートであって、使用するのにはそれ相応の自身の体力などさまざま消費は必要だが。
「しかし、マナ操作を使えるわりに、アーティファクトは知らないのか?」
「アーティファクトって、魔法の道具とかってやつか?」
「そうだ、基本的に、道具に魔法でなんらかの効果を付与した物だ。これもそれなりの構築方法があるのだが、今回の私の魔物は、この核に刻み込むことで作っている。」
近くにあったワイバーンの核、メダル型のアーティファクトを拾う。
「この核に、姿形に行動パターンを刻みこみ、あとは必要な魔力をそそぎこむことで一定値に達すると魔物として活動する仕様だ。」
「なんか、簡単そうだな。」
「作る工程自体はさほど難しくはない。しかし、作る際に刻み込むのにそれ相応の膨大な魔力が必要となるため、すぐにはできず、1つ作るのにも何日もの時間を要するのだ。まぁ、貴様は直接マナを刻めば通常の半分以下の早さでできそうだがな・・・。その力が、神にも等しい力があれば私もブラックドラゴンに勝てたのだろうか」
「可能性はあったかもしれないけど、たぶん、そっちの魔法の使い方と根本的に違うからかなり熟練しないと無理だよ。」
ロシィがきっぱりと言う。
「それで、これからどうするんだ?」
マジェストがもう話すことはないというように内容を切り変えてくる。
「とりあえず、お前は今まで通り魔物のしっかりと管理してくれていればそれでいいから、こっちはあの兵団を回収して、洗脳が解けたということにして、俺じゃない奴を犯人に仕立て上げるさ。」
それでいいだろ?とリリィとエリィを見る。
「はい!」
「ああ。それで頼む。」
「ってことで、お前、もう復讐とかやめて自分の為に生きてみたらどうだ?魔物管理以外は自由なんだしさ。」
「・・・ああ、目的がなくなってしまったしな。適当に何か探してみるさ。」
手を軽く振り、マジェストと別れた。
「オールヒール!」
兵団の回復力を促進させる。
「皆さま、ありがとうございました。私達は無事、この方達のお陰で助けていただきました。」
リリィが兵団に説明を始める。
「殿下!?しかし、こいつは我々に水を操ると言う人間の所業ではないことをしてのけた魔物ではありませんか!」
「いいえ、違います。この方達は私達と同じです。身も心もしっかりと自分の意思を持っているのです。ただ、特別な力、魔法を使うことができるというただそれだけなのです。」
「魔法だって・・・!?」
兵団がざわめく。
「貴様達も目の当たりにしただろう?水を操る所業のことだ。そのおかげである黒幕からこの方達は我々全員を救ってくださったのだ!」
エリィが続いて言う。
「その、黒幕と言うのは・・・?」
「残念ながら捕えることはできませんでしたが、相手も同じ魔法使いであるとともに魔物使いでもありました。激しい魔法のぶつかり合いで相手は消滅してしまったのです。おかげで、体の自由を取り戻すことができたのです!」
オオオオオオオーーーーー!
リリィの殿下の言葉に、たいした疑問も持たずに信じ、歓喜する兵団だった。
「ちょろいな。」
「ちょろいね。」
「うむ。」
夢叶、ロシィ、シルヴィがこっそりと笑っている。
――――――――――――王都 王城 広間
「さて、お父様。私の言うことを何一つ信じてくれなかったお父様。あとの事は先ほど話した通り、お願いしてもよろしいですよね?」
少し怒り気味で言うリリィ。公共の場では父上、私的な場などではお父様と使い分けている。現在は、夢叶の秘密なども絡むため、国王、父親1人と娘、リリィの一対一で話し合っている。
「む、むぅ。しかしだなリリィよ。」
リリィの父親であるビギワンス王国国王が言い淀む。
国王には、夢叶達を最初に連れて来た最初から操られていなかったこと、魔物使いを倒し、夢叶達がいなければ解決しなかったこと、魔法使いであることを話している。そして、夢叶が魔法使いであるということに緘口令を敷くように言っている。
「あ、あと、十分に貢献したのですから、金一封お願いしますね。」
「それは、構わないのだが、リリィよ。お主が出て行く必要はあるまい。」
国王は、リリィのお願い、緘口令や金一封は当然の処置だと考え、異論もなく聞くのだが、むしろ逆に何をされるのかわからない恐怖すらある。ただ、夢叶にリリィとエリィが付いて行くのを認めないのだ。
「お主がいなくなっては余の跡継ぎはどうすればいいのだ。」
「従兄殿がいるじゃないですか。」
「そ、そんなにあの男が良いのか?」
「・・・はい。」
頬を赤らめ恥じらいながら言うリリィナ。この短い間に余の娘に一体に何をしてくれたのだ!と心で叫びたいのを必死で我慢する王。
「迎えに来たぞ。」
リリィの横にゲートを開いて現れる夢叶。テレポートではないのは、横に誰かいては危ないからだ。
「ユウ!ごめんなさい、お父様が頑固なの。」
夢叶が現れた時のあのリリィの顔・・・お父様はみたことないぞ。と悲しみに満ちている王様。
「なんか、王様、涙目になってるけどいいのか?」
「いいの。私がユウに付いて行くことを認めてくれないの。」
おお、リリィがあのように喋る所なんて見たことが・・・まぁそうするように言ったのは余なのだが・・・グス
「・・・涙が目に溜まってない?今にも泣きそうだけど?」
夢叶が心配になる。おっさんが泣くとか誰得だよ。
「ええっと、お父さん?」
「貴様に、お父さんと呼ばれる筋合いはないわ!」
怒鳴られた。
「お父様!!ユウに向かって何故そんな言い方をするのですか!?」
怒られてやがる。・・・泣きかけてやがる。
「何が不満なんだ?」
「貴様のその態度と娘を連れて行くことだ!」
唾飛ばすな。
「お父様!ユウはビギワンス王国を救った英雄と言ってもよいお方ですよ!それに何の不満があるのですか!?それに言葉遣いだって、・・・その、か、家族になるなら問題ないじゃないですか!」
頬を赤く染めながら言う。
「え、まだそこまでの関係になったつもりなんて欠片もないんだけど・・・」
「え”!?」
リリィの顔が絶望に染まる。
「貴様!リリィの恥をかかせるきか!」
お父さん、駄目じゃなかったのかよ。
「いや、確かに、貰い手がいなければ的なことは言ったけど、リリィまだ探してすらいないだろ?これから良い奴が見つかるかもしれないじゃないか。」
「探しました!そして、見つかっています!あなたです!ユウ!」
少しふてくされ気味にぷくぅっと頬を膨らませ言い寄ってくる。正直、ここまでまっすぐに好意を向けられるとは思っていなかった。
「俺のどこがいいんだよ。飛びまわして、吐かしたぐらいしか特にしてやった記憶ないんだが?」
なんとか水はロシィだったはずだし・・・うん、記憶にないな。王様が口をパクパクしている。
「なんだかんだ言いつつも優しいところ、エリィに迷子の子供の事を聞いたの。それに、主従契約だって、私を奴隷にできたはずなのに能力授与の主従契約にしてくれているでしょ?あと、私に気兼ねなく、殿下とか王族とかそんなの関係なく話しかけてくれたのはユウが初めてで凄く嬉しかったの。」
「う、うーむ。エリィはそうでもなかったのか?」
「エリィは真面目過ぎかな。」
ああ、とお互い苦笑いする。正直、能力授与の主従契約の事を言われるとどうしようもない。動かぬ証拠みたいなものだ。普通なら、奴隷にできるならするだろう。そっちのほうがやりたいこと(意味深)もやらせることもいろいろと言うことを聞くから便利だし。
「あれ?なんか王様さん、白目向いてる気がするけど。」
「き~さ~ま~!!主従契約とはどういうことだ!?奴隷にしたことを良いことにリリィにあんなことやこんなことをやらせているわけではあるまいな!余ですらやらしたことないのに。」
なんか最後ボソっておかしなこと言ったが聞かなかったことにしよう。あ、リリィは聞こえてたみたいだ、顔が引きつっている。
「お父様?ちゃんと聞いてなかったですね?主従契約といっても能力授与の主従契約で奴隷などではございません!」
「信じられん!見せなさい!」
リリィのそばに寄ってくる。
「え・・・。」
そう、ホクシナ街で鎧が変わったといっても、下の服は変わっていない。つまり、見せるには脱ぐか、捲り上げるしかない。つまり、見えるわけで。
「無理です!変態!」
「何故だ!?」
いろいろと驚く国王。
「紋の場所はここにあるのです。」
ヘソの下を指差す。
「それがどうしたというのだ!?」
「見せるには、脱ぐか、スカートを捲り上げるしかないのですが・・・。」
赤面しながらジト目で自分の父親を見る。
「そ、それがどうしたというのだ!余は父親だぞ!気にする必要はあるまい!」
「・・・遺言はあるか?」
国王の緩みまくった変態な顔に少しキレ気味の夢叶。
「ぉ・・・い、いや・・・」
たじろぎ過ぎ。
「どちらにせよ、私はもう、身も心もユウの物なんです!」
ヒシと腕に抱きついてくる。国王の顔が引きつる。
「まぁ、恋愛感情は置いといても、もうリリィは仲間だし全力で守るつもりですよ。」
多少敬語を使うことにする。
「・・・本当だろうな?もし、リリィに何かあったら一生、末代まで呪ってやるぞ。」
「お父様!?」
「ああ、好きにしてくれ。」
国王がようやく折れてくれた。
「じゃぁ、そろそろ行くわ。ゲート。」
ブォンと開けると、ロシィ達が入って来た。
「やっと終わったの?」
「リリィ、大丈夫でしたか?」
待ちくたびれたように出てくるロシィ。リリィを心配するエリィ。広間を見渡すシルヴィ。ポカーンとしている国王。
「そういえば、どこに行くの?」
リリィが質問する。
「ああ、マジェストがいた世界にでも行ってみようかと。アーティファクトの作り方をちゃんと知りたいなと思って。」
「もしかして、異世界ってやつ!?」
「本当に!?」
「なんだって!?」
「ほほぅ。」
皆、目を輝かせている。新天地が楽しみなようだ。
「・・・ゲート。」
再び、マジェストのいた世界となんかそれっぽいアーティファクト、あと人気のないところをイメージしてゲートを開ける。そこには、世紀末のような荒野が広がっていた。
「あ、お父様、あとの事頼みますね。お達者で」
じゃ、と手を上げてゲートを潜っていく、夢叶一行。
「リリィよ・・・余の扱いが酷くないか?」
国王の目が一滴の涙が流れた。
第1章はこれで終わりです。




