第26話 もう一人の魔法使い
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申し訳ありません。マナ設定がおかしなことになっていたので修正しました。
「どうやって行くの!?」
「ゲートを使えば、たぶん行けるぞ。」
そう、ゲートは思い描いた所を開く扉みたいなものだ。それが、例え実際に行っていないところや抽象的なイメージでも可能なのだ。でなければこの世界に来れていないのだから。ただ、抽象的なイメージの場合は、行き先が明確でない為、どこに出るのかわからないから注意が必要ではあるが、
「ゲート」
あの魔物使いの姿を、顔を思い浮かべ展開する。薄暗い部屋の中に開いたようだ。
「なんだ!?」
「これは一体・・・。」
ゲートの向こう側から複数の男の声が聞こえる。
「正解だな。騒がれる前に行くぞ!ロシィ!先行して場を制圧してくれ!」
「了解!ヒャッハー!」
楽しそうにゲートを潜っていった。
ゲシバシ!ドカバコ!まるでコメディマンガのような効果音が聞こえる。
「ほら、入った入った。」
慌てて後に続くエリィとリリィ。シルヴィもゆったりと潜る。そして、最後に夢叶が潜り、ゲートを閉じる。
部屋は荒らされ、机の上にロシィが仁王立ちしていた。周囲には、魔物使いと関係者と思われる者たちが4人倒れていた。
「おー。さすがロシィ。」
「えへへー。」
トコトコと近づいてくる。なでなで。
「何事だ!?」
ガチャとドアを開け、黒のローブと杖を持った男が入って来た。
「な、なんだ!貴様らは!」
「んん?」
男を見てロシィが首を傾げる。
「お前が魔物使いの主ってやつか?」
夢叶が尋ねると、男は一瞬後ずさる。その行為は肯定しているも当然だった。
「どうやって、ここの結界を破って来た!」
どうやら、結界が張っていたようだが、空間魔法には対応していなかったようだ。それよりも。
「・・・結界?まさか魔法か?」
「ほぅ、この世界に魔法の存在を信じている者がいるとはな・・・。だが、私にも目的がある!邪魔をするというのなら容赦はせんぞ!!」
男は魔法という言葉に反応し、興味を示すが警戒心はさらに向上し、戦闘態勢に入る。
「私の駒を倒したことは評価しよう。しかし、この私!この世界唯一の魔法使いの力を知るがいい!そして、後悔するがいい!」
エリィがリリィの前に出て戦闘態勢に入る。相手は、魔法使い、夢叶と同等強さはあるだろう。何が起きても不思議ではない。
マナ感知&マナ制御
対象 黒のローブの男
「・・・どうする?とりあえず、はっ倒す?」
夢叶は、男は眼中にないように皆に尋ねる。
「え?え?大丈夫なの?」
あわあわするリリィ。マナ感知により、男のマナ量を調べると、夢叶の方が100倍以上、いや、もっとあるかもしれない程のマナ量に差があったのだ。しかし、いくらマナ量が多いからといって、マナ量=強さというわけではない。この世界の住人のような戦士達にとってはマナがいくらあろうが、魔法は使えないからマナではわからない部分、技術や、身体能力があるからである。
しかし、この男は魔法使いと言った。魔法使いとしてもかなり優秀なのだろう。人間として、ではあるが。だが、初めての魔法戦である。万が一の為に余裕はこくが油断はしない。
「ゴチャゴチャと!!喰らえ!爆炎より出でし塊は、周囲を爆ぜる炎の弾!フレイム・ボム!」
左手の平に魔法陣が書かれており、そこから炎の塊が射出される。拳ほどの大きさの炎の塊は宙をゆっくりと進んでくる。
「あ!思いだした!レベル100の奴だ!」
ロシィがポンと叩く。
「昔、1人だけ戦ったことがあるみたいなこと言ってたっけ。」
「そう、それそれ。」
「ユウ!これ!」
「逃げないと!」
リリィとエリィが必死にフレイムボムを指して叫んでいる。
「んもう。うるさいな~。」
机から飛び降りるとともに、手から黒炎を出し、フレイムボムを消滅させた。
「「「な!?」」」
男とエリィとリリィが揃って驚きの声を上げる。
「こ、小娘が!貴様も魔法使いだったか!」
男の警戒レベルが最大まで上がり、懐から巻物を取りだした。
「え?違うけど?私のこと覚えてない?ほら、これこれ。これでフルボッコにしてあげたじゃない。」
男の行動を気にすることもなく、黒炎をもう片方の指でツンツンするように指す。
「あ?」
怪奇そうにする男は、じっと黒炎をつい見てしまう。すると、次第に男の顔からは汗が滝のように出てきた。
「ま・・・まさか、貴様は!?ブラックドラゴン!?」
「そだよー。魔物のブラックドラゴンと一緒にされちゃったら困るけど。」
サムズアップ!
「な、何をしに来た!?私を殺しに来たのか!?」
壁に背中を付け、喚き散らすように言う。
「いや、魔物の操り方について知りたいだけだ。」
夢叶が割って入る。
「ふん。少年が!この私になんという物言いだ。」
久々の少年頂きました。内心、明らかに少年が!って言いにくいだろっというツッコミを入れておいた。
「爆炎より出でし塊は、周囲を爆ぜる炎の槍!」
男は再び詠唱を初め、右手の平の魔法陣を翳す。その時、倒れていた駒と呼ばれた魔物使いの1人が夢叶を羽交い絞めにする。
「「ユウ!」」
ロシィ達が助けようとするが他に倒れていた魔物使いがそれぞれに跳びかかり邪魔をする。
「スピア・ボム!」
槍の形をした炎は先ほどと打って変わって速度が速い。間に合わない!
ドガーン!と爆発が起こる。
「やはり、貴様は傷一つも付かないか。」
まず、爆発の煙から炎を纏い、姿を現したロシィ。相殺したのだろう。
同じく、シルヴィも炎を纏い、姿を現した。その姿に、男は顔を顰める。
そして、リリィとエリイの前には透明な壁で2人を護っていた。まぁ、バリア的な。
同様に夢叶もそのバリアに守られていた。良く見ると、魔物使いの腕だけが夢叶の体に羽交い絞めの形のまま引っ付いている。
腕以外はすでに跡形もなく、しばらくすると、引っ付いていた腕が霧散して消えて行った。
「ぐ、まさか、貴様も魔法を使えるのか・・・!?だとすれば貴様は、私と同じ・・・」
「・・・おい、おいおい、待て待て。どういうことだ!?これは!?」
「どうしたの?ユウ」
明らかに困惑する夢叶に対して、心配そうに見るリリィ。しかし、リリィを見る夢叶の眼は明らかに今まで見ていた眼ではなく、化け物を見るような眼であった。
「ユ、ユウ?」
その眼に怯えながらも声を振り絞るリリィ。
「はぁはぁ、リリィ、エリィ、ロシィ、シルヴィ・・・。」
動悸が早くなる胸を押さえながら4人を見渡す。
「すまない。」
ヒュンヒュンと風を切る音が聞こえた。
「キャ!?」
「つっ!?」
「いっ!?」
「むっ!?」
それぞれの手の甲に切り傷ができる。その傷口から赤い血が出るのを見て、夢叶が落ち着きを取り戻していく。ドラゴンも赤い血のようだ。ロシィの言っていた魔物と一緒にされたら困るの意味が理解できた。
「何をしているか知らないが、私以外に来れる者がいるとはな。そんな同胞を殺してしまうのは良い気分ではないが、私の邪魔をするというのならば仕方がない。」
そう言うなり、懐から何かを取り出し、地面に手を開いてつく。そこから光だし、地面からブラックドラゴン3体が建物を壊しながら顕現した。魔物使いの主、自分も当然のように魔物を扱えるようだ。しかも世界最強と言うブラックドラゴンをだ。
ブラックドラゴンの出現により、建物が崩壊して外に出る。どこかの孤島のようで森林で囲まれている。まるで、ロシィと戦ったデマイス島のような場所だ。
「いくら純正のブラックドラゴンと言えど3体相手ではきびしいだろう。しかし、今回は他にも邪魔ものがいるようだ。油断はしない!全力でやらせてもらう!」
さらに、先ほどと同様の方法でブラックドラゴンが5体現れ、そのうちの一体が低空飛行で突っ込んで来る。それを夢叶は横跳びで回避し転がる。エリィはリリィを抱えながら、ロシィ、シルヴィはそれぞれ、横後方へ跳んで避けた。
ロシィに、ブラックドラゴン5体に魔物使いの主、魔法使いの男。
シルヴィと夢叶にブラックドラゴン1体ずつ。エリィとリリィに1体。
さらに、周辺にはS級以上の魔物、ワイバーンやレッドワイバーンなどドラゴンタイプの魔物が50体以上はいるだろうか、ずらりと展開されていた。
「リリィ・・・。」
夢叶が呼びかける。
「は、はい!?」
反応は一週間前のような少し他人行事のような返し方だった。夢叶はその反応に苦笑いで返す。
「さっきは、すまなかった。まさかの事でどうしても確認しておきたかったんだ。説明は後でする。」
夢叶は頭を下げ、リリィの眼をまっすぐに見る。いつも通り、夢叶の眼にリリィが安堵する。
「いえ、こちらこそすいません。」
手を顔の前で振り、夢叶を怯えたことに対し謝罪する。
「それで、何かするんですか?」
「レベル上げしよっか。」
「はい!?」
この圧倒的にランクS以上の魔物がうじゃうじゃいるなかでレベル2にレベル上げしようとはどういうことだと、抗議の眼で訴えるのであった。




