第23話 白い契約
「さぁ、スカートを捲るがいい。」
ロシィが手をワキワキさせながらゲヘヘとおっさんの顔をしてシルヴァリアに近づく。
「やめぬか!」
ゲシッっとシルヴァリアがロシィの頭にチョップする。
「何故、スカートをめくらなければいけないのか聞いてもよいか?」
声は普通だが、顔がキレていらっしゃる。
「うんうん、勢いで私もしてたけど理由聞いたことない!」
ハイハーイと参加してくるロシィ。
「え、いや~。」
「あ、あの~、私達もお聞かせいただいてもよろしいですか?」
夢叶は困った顔をしながら顔を掻いて言うのを迷っているとリリィナな達3人が近寄って来た。
「う~ん。主従契約の紋って奴隷の証みたいな紋だろ?」
「そうですね。あと、一方的な契約と違って、能力授与は能力の受け渡し等によって紋の染まり具合が変わってきますから、主との信頼度も表せらます。しかし、基本的には奴隷という扱いですね。」
リリィナが補足説明もしてくれる。
「だろ?信頼関係はまぁ、のちのちでいいとしてだな。皆、女の子であるわけで、手や肩、とか首筋とか肌で出やすい所に紋を付けて、常に見える所だと、私奴隷ですって公言してるようなもんだろ?この世界の奴隷がどういう対応されているかは知らないが、奴隷だろうから良い待遇ではないはずだ。ましてや、金貨100枚はするアイテムが必要となればなおさらだろう。その分を取り返すように働かせなきゃいけないんだから。」
「この国では、奴隷を所持していることは個人の力の一部とも言えます。しかし、奴隷は奴隷。主からは、物のように扱われ、周囲からも奴隷だと蔑まれています。」
「やはりな。だから、表に出にくいヘソの下というわけだ。普通に服を着ていれば隠れるだろ?へそ出し以外の服装なら好きな服を着られるしな。それに俺は、他人が仲間に奴隷だと蔑まれるようなことをされたくはないんだ。奴隷だからと何かされれば、きっと殺してしまう。」
怒りの感情を押し隠すようにしながら言う夢叶。
「仲間・・・会って、まだ数日しかないのに奴隷ではなく仲間とおっしゃってくださるのですか?」
リリィナだけでなく、エイリも驚くように夢叶を見る。
「だって、同じ人間だろ?違うのもいるが、ちゃんと意思の疎通もできるしできないのはちょっと勘弁だが。それに、エイリとリリィナは、立場に固執せず、民の為に自分の身を犠牲して契約を結ぶことができる、優しい奴っていうのも知ってるしな。」
苦笑いしながら答える。
「・・・契約したのがユウト様で良かった。」
「はい・・・」
リリィナとエイリが目に涙を浮かべながら笑顔で言う。
「あ、あの!まさかとは思いますが、殿下とエイリ様が主従契約をなさっているのですか?」
恐る恐るトコウタが聞き捨てならない言葉を確認する。
「あ、ああ。この街を助けてほしいと嘆願したんだ。しかし、ユウト様の力はさっき見ただろう。普通ではありえないことを平然とやってのける圧倒的な力、知れ渡れば、取り込もうとしたり、言い寄ってくる者が増えたりと注目の的になってしまう。そういったことが嫌いなユウト様は、そういう部分だけの条件だけを契約して、助けていただいたのだ。」
会話の流れでばれてしまってはしょうがないと思い、エイリが服を少しずらし、トコウタに紋を見せ、事実であることを証明する。
「この通り、一方的な契約で全てを制約せずにいてくれている。」
言いながら、すぐに隠す。少し恥ずかしかったのだろう。
「バカ、そんなの見せなくていいよ。見えないようにその場所にしたのに、見せてどうする。否定してくるなら黙らせればいいんだから。」
「信じられない・・・まさか、殿下とランクMであるエイリ様が奴隷になるなどと思いもしませんでした。これが、他国に知られれば、我が国は、下に見られ、最悪戦争にまで発展しかねません。」
「まさかとは思うが、言いふらしたりはしないだろうな?」
「まさか!この事は、一切他言いたしません。この身に誓います。」
エイリの睨みに、誓いを立てるトコウタ。
「トコウタだったか?エイリとリリィナを卑下しているようだが、お前もその2人を護るために手段を選ばなかったんじゃないのか?」
「そ、それは・・・」
トコウタがエイリとリリィナを人質に捕っていた事を夢叶が指摘され、言い返せないでいる。
「それを2人は同じようにやっただけで、今回、その手段は契約するという形でしか俺が動かなかったからだ。こんな男と契約するなど、かなりの勇気と決意が必要だったはずだぞ。めしてや、殿下という身分の高い人間がするのだからなおさらだ。民の為に自分の身を犠牲できる国の人間なんてそうはいないだろう?お偉いさん方は自分の身を守るのと甘い汁を吸うので精一杯だろうからな。それを、誇ることはしても、卑下することはないはずだ。むしろ、そんなやつは殺す。」
トコウタを睨みつけ、釘を刺すとビクッとして何度も頷く。
「そろそろ、妾と契約をしていただいてよろしいか?ユウト殿。」
「あー、すまない。」
痺れを切らしたのか、シルヴァリアが急かしてきた。
「では、獣殿。スカートをめくり上げればいいのだな?」
顔を赤くして確認をとってくる。
「まぁ、その服装ならそれしかないと思うが、脱ぐわけにもいかないだろ?あとさ、ドラゴンって人間と同じ羞恥心って持ってたの?」
「あたりまえじゃ!馬鹿にしているのか!?」
「いや、だって、ドラゴン形態の時って裸じゃないの?」
「む・・・あの姿の時は、服とかという概念がないのだ。・・・正確に言えば、確かに最初は服などいらないと思っていたのだが、街に出ると騒がれるは、キモイ男どもがよってくるは、面倒だったのでな、服を着るようになったのだ。そして、数十年ぐらいかの、人間と過ごしてきたら、自然と人間のありようというかそういうものに目覚めての。怒り、願い、想い、欲などなど人間の感情がわかるようになったのだ。」
「私とおんなじだね!」
ロシィがうんうんと同意する。
「了解。それじゃぁ、まぁ契約しようか。」
「う、うむ。」
顔が真っ赤だ。スカートに手をやる。
「っと、待って!」
「なんだ?せっかく決意を固めていたのだぞ。」
「あれ。」
親指でトコウタを指差す。
「え!?なに?」
あまり、理解していないらしく、尻込みしている。
「死にたいようだな。」
シルヴァリアが頬を少し赤く染め、殺気を出す。その殺気でトコウタが尻もちをつき、震えている。
「エイリ、悪いがそいつ見えない所にやってくれ。」
「わかりました。」
夢叶の指示にトコウタを連れて行こうとすると、何やらトコウタの下半身が濡れている。
「・・・あ。」
トコウタは顔を真っ赤にして、顔を逸らす。エイリはそのままトコウタの襟元を掴んで引きずって離れて行く。その様子をリリィナは暖かく見守っていた。「なかーま。」と・・・。
「さて、そっちが求めるのはロシィと同じでいいのか?」
「うむ。」
「マナ操作だな。」
「なんと!?そういうことか・・・ユウト殿からはたいしたマナを感じないのにも関わらず、あのような強大な魔法を使えたのは。」
「あれ?俺、他人の体内のマナまでは感じられないんだけど。」
「操れるのに感じられないとはどういうことなのだ?」
「いや、自然のマナとかは感じられる。その自然のマナを操ることで基本的に俺は魔法を使っているんだ。ただ、他人の体内のマナまでは感じ取れないってこと。」
「ふむ・・・。ならば、我の対価はその体内のマナを感じ取れるというのでどうだ?」
「他人の体内のマナを感じ取れるのは、相手の強さの目安に繋がるから良い能力だとは思うが、それだけだと割に合わないな。」
「ならば、行動に制限を掛ければ問題あるまい。」
「それでも割に合わないんだよなぁ。光炎っていうのか?とりあえず、それも追加で。」
「それこそ、割に合わない。我が誇りの炎を愚弄する気か!?」
少し本気で怒るシルヴァリア。
「悪い。愚弄する気なんて欠片もない。良い力だから欲しいと思っただけだ。それにさ。ほら。」
と光を纏う炎を出す。聖属性を付与した炎だ。
「な!?バカな!?我だけが使えるはずの炎を出すなど・・・いや、これは・・・」
「そう、シルヴァリアの光炎の劣化版だ。でも、数倍のマナを使えばおそらく再現できるが、マナ消費が割に合わない。黒炎もそうだった。」
「そうなんだよねー。マナ操作って応用がかなりできるんだよ。テレポートもできるし、水も電撃すらも可能なんだよ。」
ロシィがいろいろと出しながら説明してくれる。
「私が黒炎を渡したのだって、マナ消費が減るからとかっていうそんな理由だよ。」
あっけらかんに言いながら続ける。
「誇りの炎を渡したとしても、それ以上の力が手に入り、さらなる高みへと行けると考えれば安いもんだよ。」
「・・・確かにそうかもしれないが・・・。」
「別にいいんだよ?誇りは大事だもんね。私だけ、上に行くし。それで、シルヴィ虐めるのも楽しいかなて思うんだ。」
おちょくるポーズ。(どんなのだ・・・;)
「わかった!わかった!ならば、マナ感知。行動制限。光炎!これで良いのだろ?」
半ばやけくそ気味に言う。
「俺は構わないが・・・いいのか?」
「構わん!」
「わ、わかった。それじゃぁ、紋様はこっちで頼む。」
ロシィのと反対側の左肩を差し出す。
「では、・・・汝の能力ちからは、我に。我の能力ちからは、汝に。我、汝を主と認め、我の能力ちからは汝の為にあると誓う。
我が求むは、マナ操作の能力。その能力ちからを糧に我は汝を主と承認する!」」
夢叶の左肩にロシィと同様のドラゴンの紋様ができあがるが、色が白だ。
「・・・さぁ。ひと思いにやってくれ。」
ガバッとスカートをめくり上げると、なんということでしょう。そこには、純白の大人なパンツがある光景が目の前に広がったのです。
・・・
「獣でしょ?」
ニヤニヤなロシィの言葉でハッと我に返り、顔をブンブンと振る。ついでに、ロシィもしゃがんで見ている。
「ゴホン、ええっと、我が求むは、汝の行為、汝の能力。俺を絶対に裏切るな、マナを感知する力、そして、光炎。これらを対価に我の従属となることを承認する。」
「ねぇ・・・ユウ。その俺を絶対に裏切るなってところ、もっとどうにかならないの?」
「・・・言うな。それは、本人(作者)が一番わかっている。」
ロシィの言葉に涙が出そう。
シルヴァリアのヘソの下に手を当てると、白いドラゴンの紋様が現れるが、その染まり具合は半分ほどだ。
「バカな!?我が誇りを授与したというのに半分だと!?」
「うそ!?半分も染まってるの!?」
シルヴァリア以上に驚いたロシィが紋を覗き見る。
「まさか、ロシィ。お主、半分も染まっておらぬのか?」
勝ち誇った顔をしているシルヴァリア。
「ちょっと!ユウ!私もマナ感知ならできるんだから、私ともしてよ!」
しかし、夢叶はまだスカートを捲り上げているシルヴァリアのパンツを見ておらず、顔を下に向け、苦しそうに頭を押さえていた。
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