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異世界召喚されないので、行ってみた。  作者: 手那
第1章 魔法が使われていない世界
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第1話 もしかして、魔法がない!?

「さて、どうしようか・・・」


周囲には建物何一つない。道らしきものがあり、整備されている様子はある。遠くを見渡しても山、山、山、山。いきなり、のたれ死んだりしないよね?


 とりあえず、異世界物定番を試してみることにする。

「ステータス、オープン」


・・・シーン


ウインドウ系はないのか?


「ファイヤ」

 上空に掌から炎を放つ。遠くから見れば火柱のような炎だ。自分で放った炎を先ほどいた所から100メートルほど離れたところで見る。攻撃系の魔法と転移系の魔法は使えそうだな。


 思ったよりも凄く体がだるい。

大規模に魔法を使ったのも初めてだし、テレポートも使った為、思いのほか体内のマナが消費されたのだ。体内のマナでどれくらいの規模を打てるのか、実際に確認したかったのだ。


 夢叶ゆうと、俺が扱うことができる魔法。

 一般的な定番の魔法は使える。そして、転移・空間魔法。刑務所の中で思いつく限りの魔法は、規模は極小だがずっと毎日練習していた。


 魔法を発動するのに必要なマナも二種類存在する。まぁ、簡単だが、体内、生物や物質にやどるマナと、空気のように漂う自然に発生するマナだ。

 

 

 幼き頃から感じ取れていた自然のマナも体内のマナも練習で、十分扱うことができるようになっている。

体内のマナは実質、精神力みたいなものだ。使いすぎると、体がだるくなったり、頭痛がしたり、最終的に、意識がなくなり、死ぬ可能性だってある。と思う。実際に、やってみて死んだりしたら嫌だから当然やってない。だが、意識がなくなるまではやったことがあるのでその時の感覚からして、十分にありえる事だった。

体内のマナは、使い続けることで、自分の体内の最大マナ値が増えて行く。刑務所にいる間、ひたすらやっていたから、そこそこあると思っているけど基準がわからない。


 そして、魔法として具現化するのにイメージが最も必要となる。

 イメージさえしっかりとすることができ、それに必要なマナさえあれば、なんだってできるのではないだろうか。

 あと、注意すべき点としては、遠隔操作など魔法を使う場合、マナが繋がっていなければならない。今のところ、マナが途切れるような様子は見たことがないが、人為的、もしくは何かしらの現象でマナが途中で無くなるとそこで遠隔操作が不能となる。

 たとえば、よくある土魔法。地面から岩が突き出てドーン!ってやつは、地面にマナがあり、突き出るところまでが繋がっているから可能なのである。

 

 とりあず、何もない所にいてもしょうがないので、歩き出す。リュックを背負って。ちゃんと荷物は持ってきていたんです。


 夢叶は、異世界でお馴染みのアイテムボックスなるものを使うことはできない。正確にはできることはできる。空間魔法を用い、空間に穴を開け、そこに収納。そこまではできる。しかし、そこまでなのだ。移動してから、再び空間を開けるとそこには何もないのだ。

 いろいろと試した結果、同じ空間魔法で開けた穴の所を再び開けると、そこにはちゃんと物が入っていた。しかし、移動すると物がない。再び最初に作った穴の所を開けるとある。つまり、開けた空間を移動することができないのだ。何もない所からアイテムを取り出すなんて便利な事はできない。今の状態では、ゴミ箱程度にしかならないのだ。


 道沿いを歩きながら、そろそろ定番なら、可愛いどこかの令嬢が馬車で通り過ぎたり、盗賊やら、魔物やらに襲われている所をかっこよく助けたりすると思うんだが・・・

 などと考えていると、道の向こうから砂煙が見えた。

 

 ・・・軍隊か?


 1000人はいるだろうか、武装した集団が馬に乗って来ていた。やばい、こんな道のど真ん中を歩いていたら引き殺されてしまう。


 なぜ、女の子じゃないんだ!


 道の端の木々にもたれかかり、軍隊っぽい者達が駆け抜けて行くのを見ていると、ほとんどの者が剣か槍を持ち、たまに斧を持っている者もいたり、物資運搬係らしい者もいた。その間から隊の区切りだろうか、その区切りの先頭1人が何やら前進っぽい合図をしてからその人物周辺の4人、合計5人が馬に乗り、こちらに駆け寄ってきた。


「少年、向こうから来たのか?」

 軍隊っぽい1人に問いかけられた。あぶねぇ。言葉がわかる。言語の事をすっかりと忘れていた。

「え?はい。」

「先ほど、炎の柱が向こうの方で、上がったのを見なかったか?」

 そう言い、今まで歩いてきた方を指す。


ん?炎の柱?それって、俺の魔法のことじゃ?


「見ましたけど、どうかしたのですか?」

 キョトンとしながら尋ねた。


「どうかしたかなんてものじゃない!あれほどの炎の柱が出るなど、ドラゴンが炎を放った証拠だ!」

 怒鳴るような言い方に少しビビる。


「ドラゴン?」

 いきなり、ドラゴンなんて言うからさらにキョトンとした。


「そうだ。ドラゴン1匹に、街を1つ2つは、平気で潰される脅威の存在だ。」

「それをこんな街の近くに現れたというのに!」

 2人の兵士が若干怒り気味で言ってくる。


確かに、そんな脅威な物が現れたのにも関わらずのんびりしていたらそりゃぁいい気分はしないな。


「それより、少年。ドラゴンは見たか?どんなドラゴンだった?」

「すいませんが、見ていません。」

「・・・そうか。あの規模だと、最悪、ブラックドラゴンかもしれんな。」

 これは、あの炎の柱の犯人が自分だと言うと、厄介な事になるのは確定だな。

「あの、でも、炎の柱なら、魔法とかでバーンってやれば出る物じゃないんですか?」

 なんか、普通にイラっとする顔された。

「魔法?少年。一刻を争う時に馬鹿なことを言うものではない。魔法なんてそんな物が存在すれば、きっとドラゴンも容易いだろう。もう、いい。少年。我々はドラゴンをどれだけ我々に被害が及ぼうとも、市民を守るために戦わなければならない。心苦しいが、少年を街まで送ってやることはできない。すまないが、あと2時間も歩けば街に付くだろう。悪いが自力で頼む。」

 行くぞ!と軍隊っぽい後続に5人の兵士は合流した。


・・・なんか、もの凄く嫌な予感がする。魔法なんてそんな物が存在すれば、きっとドラゴンも容易いだろう・・・つまり、この世界には魔法は使われていない!?魔法という概念は存在するみたいだが、この世界の魔法という物は地球と同じ認識なのか。今の会話でその可能性が非常に高い。


 とりあえず、調子に乗って体内のマナばかり使ったマナを回復する為に、木に腰掛け、軍隊っぽいのを見送る。体内のマナは体を休めれば回復する。ついでに、自然のマナも使えばそのうち、また元通りにマナが発生している。

しばらく、していたら、今度は、先ほどの数倍の規模の軍隊っぽいのが来た。てか、もう軍隊だね。

 隠れよう。やっかいな事になりかねない。

(可愛い女の子はどこだよ・・・さっきの兵士の中に可愛い子がいて、仲良くなる流れじゃないのかよ・・・チクショウ)


 軍隊が通り過ぎ、誰もいなくなった所を見計らい、目で見える最大の位置の空にテレポートする。テレポートは定番、行ったことがある所じゃないと行けないやつだ。テレポート先のイメージが出来ないからね。目に見えるところならイメージは可能っていうことで空に飛び、降下中に空から地上よりは遠くを見えるその先を見る。すぐに街が見えた。街の近くにある木の陰にテレポートした。

 

 街の門のところから行列が伸びている。検問だろうか。空から飛び越えて入ることもできるが、滞在証明書的な物があっては、あとあと面倒だ。仕方がないので並ぶことにした。

 カッターシャツ姿というのはやはり珍しいみたいだ。ついでに、カッターシャツは真ん中のボタン1つだけ止めている状態である。全部前を開けるとバサバサと鬱陶しいし、かといって全部前を閉めるとなんかダサイ感じがして嫌だということで、この状態に落ち着いた。

 順番が近づいてきた。何やらお金を払っている。もしかして、街に入るのに金がいるのか!?

「すいません、ひょっとして、ひょっとしなくても街に入るのにお金が必要で、滞在証明書的なのが発行されるってことはない・・・ですよね?」

 若干焦りながら後ろにいた中年の男性に問いかける。


「何を言ってるんだ。当たり前だろう。」

 やっぱりかーー!ガクッと跪く。


「なんだ?少年、金持ってねぇのか?」

「はい、実は、道中で落としてしまったみたいで・・・」

 残念そうな顔で聞かれたので残念な顔で返した。

 当然、この世界の金なんて、見たことも無ければ持ってすらいないから落としたことにしているのだ。


「残念だが、見ず知らずのやつに金を貸すほど俺はやさしくないんでな。諦めな。」

 申し訳なさそうな顔ではあるが、俺は貸さんとビシッと言われた。


「こういう時に魔法とかでパパッと入れたらいいんですけどねぇ。」

「ハハ。魔法なんてそんな、便利な物があったら、こんな行列や、旅なんてしなくていいのにな。」

 ・・・どんどんと嫌な予感的中に近づいてくる。


「そういえば、ステータスプレートを作る時のあれは、魔法なんだろうか?」

「案外、そうかも知れませんね。」

 そのステータスプレートを作る物を見たことはないが適当に言っておく。

 っていうか、ステータスプレートか。持ち運び系か。作るのにお金いるやつじゃないのか?自分のステータスが非常に気になる所ではあるが、今はどうするべきか。


「少年。その鞄の中には、一体何が入っているのかな?良ければお姉さんが何か買い取ってあげるよ。」

 迷っていると、赤い長髪のボンッキュッボンなお姉さんがありがたいお声を掛けてくれた。それよりも、この世界の人、俺の事を少年って呼ぶの好きだな。それともそういう風習なのか?

「本当ですか!?助かります。」

 お礼を言って、何かないかとリュックの中を漁りだす。こういう時は、地球の、日本の物を出すとだいたい珍しく買ってくれるはずだ。

「これなんて、どうでしょうか?」

 100均で売ってそうなボールペンを出した。

「これは?」

「文字を書く物です。」

手の甲にスラスラと書いた。この黒い部分がなくなると書けなくなりますが、壊れなければ結構書けますよと。追加説明しておいた。

「これは珍しい。」

 食い付いた。予想通り。


「街に入るのに必要なお金でどうでしょう?」

 値段なんて知らないがとりあえず、それだけでもないと始まらない。

「街に入るのに、銅貨3枚。それっぽっちでいいのかい?こんな物は、見たことがない。いちいちインクを付ける必要がないんだ。しかも、一定の太さ、しかもこの細さで書けるんだ。使用回数に限りがあるとはいえ、かなりの物と見るが・・・」


「ちなみに、銅貨3枚で何が買えますか?」

「ん?そんなこともわからないの?少年。そうね・・・だいたい、軽食分ぐらいにはなるじゃないかしら。」

 少し怪しまれてしまったが、お金の価値については何となく想像できた。きっと銅貨100円だ。


  銅貨  100円

  銀貨  銅貨10枚分

  金貨  銀貨10枚分


きっとこんな感じだ。


「それでは、すいませんが・・・銀貨3枚でどうでしょうか?」

「銅貨3枚から一気に10倍の値段を付けてきたか。お主がそれでいいなら良いだろう。正直こちらはその十倍の金貨1枚も視野に入れていたぐらいだからね。」

 なんか、お金の価値の説明もしてくれた。しかも完全に予想通りの価値だった。


「ちなみに、ステータスプレートを作るのにもお金要りますよね?」

「銅貨3枚だけど?あなた冒険者になるの?そのひょろっとした体で?」

「はい、お金も稼がないといけないですし。旅をしたいので。」

 苦笑いしながら答えた。筋トレとか結構していたのになー。やはり、日常で鍛えている人達は違うな。若干、不貞腐れる。


「良かったな、良い商人がいて。少年。」

 後ろに並んでいた中年男性が声をかけてきた。やっぱり、あのお姉さんは商人だったのか。

「よかったです。」

 こうして、無事お金を獲得し、順番を待っていると、前の方で先ほどの商人お姉さんが列の何人かに声を掛けているのが見えた。きっと、何か商売しているんだろう。そして、そのまま、列の横を通り、門を通過していった。顔パスか!?有名な商人なのだろうか。でも、後ろの人は知らなかったしな。この街だけとかで有名な人なのかもしれない。それなら、後ろの人も冒険者とかだったら知らなくてもわかる。ってか今気付いたけど、腰に剣を挿している。冒険者やん。


 自己ツッコミしていたら順番がようやく来た。


「銀貨1枚だな。釣りが銅貨7枚。これが許可証だ。確かに渡したぞ。無くすなよ。」

 門番に特に荷物検査とかはされず、お金を払い、許可証を貰うだけだった。

「冒険者になりたいんですけど、どこに行ったらいいですか?」

「ああ、ギルドか。そこの大通りを曲がったらすぐに見える。」

 やっぱり、この世界にもギルドはあったんだ!冒険の予感が高鳴る。



 カランカラン。


 英字でGUILDと書かれた看板の扉を開け、入るといかついおじさん達がこっちを見て笑っている。


 なんだ?あのひょろいの。武器も持ってないじゃないか。などなどクスクスと笑いながら陰口を言っているようだ。


 我慢して、受け付けの人に声を掛ける。定番の美女ではなかったが、ブサイクな人でもなかった。視線が辛い。


リカバー


 心の中で状態異常回復の魔法名を言う。胃が痛くなりそうなのが治り、視線による体の強張りや緊張といった類がなくなる。


「すいません、冒険者になりたいのですが。」

「ご新規さんですね。簡単な試験と、ステータスプレート作成は必須となっており、その費用として銅貨3枚頂戴致します。」

 チャリンとどうか3枚渡す。受け付けが、何やらA4より少し大きいぐらいの石板を持ってきた。

「こちらに手を置いてください。」

 言われた通り、手を置くと、体全身が薄い光に包まれ、光が消えたと思えば、石板の横からカードっぽいのが出てきた。

(今の感じは・・・)

「こちらが、ステータスプレートとなります。あとは、持っていると常にあなたの状態がステータスプレートにも反映されます。」

「ありがとうございます。」

 お礼を言って、ステータスプレートを見てみる。


 ステータスを見てみる。

―――――――――――――――――

 名前  ユウト・オウセ

 職業  冒険者

 レベル 1

体力  50

 力   10

 防御力 5

 素早さ 4

 次のレベルまで 10

―――――――――――――――――


 これは、この世界ではどれくらいなんだろうか・・・決して高くはなさそうなんだが。

 名前も、漢字じゃなくなっている。往世 夢叶という文字は当分見れなくなるかな。


「ん?」

 思わず声に出てしまった。もう一度ステータスプレートを見る。


―――――――――――――――――

 名前  ユウト・オウセ

 職業  冒険者

 レベル 1

体力  50

 力   10

 防御力 5

 素早さ 4

 次のレベルまで 10

―――――――――――――――――


 嫌な予感が的中したことが、目に見える形でわかってしまった。

 そう、このステータスプレートには、魔力や精神力、MPとかといった魔が絡むようなステータスがないのだ。


「あのー。非常に申し上げにくいのですが、冒険者になるのはおやめになった方がいいと思いますよ?ステータスも子供程度しかないのですから・・・」

行き当たりばったりで、思いつくまま書いています。

2017/09/09 微修正

2017/11/10 微修正

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