第10話 暇つぶしに来た結果
なんか、一気に緊張がほどけた。
「それで?お前は俺を殺す気ないんだろ?俺を見た結果、どうするんだ?」
「んー、まぁ殺す気は今のところないね。圧倒的な私の力を見ても、なんかもうすでに平常運転しているのが、なんか良い!ますます気にいった。」
親指を突き出す。
「ところで、名前は?俺はオウセ・ユウト。」
そろそろ、黒龍と名のる女というのも辛くなってきたので名前を聞いてみた。
「私は、ロネシリィ・ノアルーフ。黒龍よ。」
「それで、ロネシリィ。黒龍ってのは、人型が基本なのか?」
「違うよ。人の姿にいるのは、人に紛れやすくするためだからね。まぁ、ここ数十年はずっと人型でいたからドラゴンの元の姿に戻ってないんだよね。戻る必要もなかったんだけど。その結果!なんと!逆転しました!」
ビシっと手を上げて言う。
「逆転?」
「通常、ドラゴンが人型になるのにはマナが必要なんだけど、当然、維持するのにも必要なわけね。」
「まさか・・・」
「っお、察しがいいねーユウト君。そう、人の姿の時はマナを必要とせずにドラゴンの姿に戻る時に必要となっちゃったってわけ。」
可愛いポーズを決める。
「・・・それはいいのか?」
「いいの、いいの。なっちゃったものは仕方がないじゃない。」
結構軽い。それでいいのか黒龍。
「ちなみに、どれくらいの強さ何だ?」
「えっとねー。とりあえず、人間でいうとステータスプレートのレベルが100だったとしても余裕だけど?」
どやー
「それ以上の人間は見たことがないからわかんないかな。あとはー、たぶん、この世界で1位2位を白龍と争ってる感じかな、まぁ、もう白龍と戦うの決着が付着かないから飽きっちゃったんだけどね。向こうも飽きたみたいだし。」
テヘッ。また、典型的なのをいただきました。
「なるほど、またえらいのが暇つぶしに来たもんだ。」
「っでしょー。」
実は、あまり大きくなかった胸を張る。
「とりあえず、私、あなたにしばらく付いて行くね。魔法とかも見たいし。」
「ん?・・・えー。まぁ、お前なら断れないし、断る理由も特にないけどさ。お前、魔法使えないの?」
「一応、使えるよ。この姿を変えるのだって魔法だし、炎を口から出すのだって一応魔法だよ。マナを使うんだから。」
「・・・そうだったのか。炎を吐くのは魔法だったのか・・・。口から出す必要はあるのか?」
「厳つそうでかっこいいから!」
「ソダナ!」
・・・・・・
沈黙が続く。
「ちょ、ちょっと待って。どういうこと!?」
エイリが近寄って来た。忘れてた。
「あ、これはユウトの女?」
親指で指差してにやっとして尋ねてくる。
「残念ながら違うんだなー。」
「ち、違うに決まっているでしょ!この人とは今日、あっただけなのよ!?」
エイリが慌てて否定をしている。
「そ、そんなことよりも、黒龍に魔法ってどういうこと!?説明してよ!」
いろいろといっぱいいっぱいな様子だ。
「なんだか、言葉遣いが・・・」
ッハ!?とするエイリ。
「ゴ、ゴホン。そ、それで、説明をしてもらえるのか?」
明らかにわざとらしい咳をして説明してもらいたがっている。顔が赤い。
「んー・・・まぁ、いいか。とりあえず、宿屋に戻らないか?あと、ロネシリィ。俺にしばらく付いてくるなら黒龍と絶対にばらさないように。絶対にだ!」
「大丈夫大丈夫。今までだってばれたことなんてなかったんだから!その、さっきはちょっと久しぶりのおも・・・ユウトが虐められてたからつい、カッとなっちゃっただけで・・・」
尻尾を消しながら、両手の人差し指を突き合わせてツンツンしている。
じぃぃぃぃ。夢叶の眼差し。
「まぁ、俺を助けようとしてくれたのは間違いないんだよな?ありがとな。」
頭をポンポンとする。
「えへへ。」
ニカッっと少し、頬を染めながら可愛い良い笑顔。
「あ、あと、殿下さんにもロネシリィと魔法のことは秘密だ。言えば、わかってるよな?」
エイリの方を向いてそう言った。
「・・・それしかない・・・か。わかった。」
言えば、容赦なく、未知の魔法で殺されるのだろう。今までの対峙の経験から、自分1人ならなんとかなる可能性はあるが、殿下まではまず確実に守れないだろうという判断だ。
「あー疲れた―。やっぱ、話は明日な。もう遅いし。」
バフンとベッドにダイブする。
「私もー。」
ロネシリィが夢叶の横にダイブする。
「私は、殿下に先ほどの事を報告してくる。もちろん、2人に関しては他言しない。」
いってらーっと、ベッドに横になりながら手をひらひらさせる。ロネシリィも真似をする。
(さすがに、こっちの世界来てから1日目で内容濃すぎだろ・・・)
さすがに、1日目で慣れない場所、初めての魔物との戦闘などなど体の疲れはピークに達していたのだろう。すぐに、睡魔が襲ってきてそのまま眠りに落ちた。
――――――――殿下の宿泊室内
「と、いうことがあり、残念ながら私共では手に余る者達かと。」
宿屋の前で、集団で夢叶を暴行されていたところに女親衛隊が加入、その後現れた、謎の女、ロネシリィが圧倒的な強さで夢叶以外を瞬殺した。と魔法と正体を隠した上での事実を話した。
「そう、彼女はもう、私の親衛隊には相応しくないとは思っていたのだけれど、残念ね。」
殿下が言う。
「しかし、本当なのか!?彼女はランクSだぞ。それを瞬殺なんて・・・、どんな女か見てきてやる。」
「やめなさい。下手に手を出しては、こちらが殺される。私も含めてね。」
男親衛隊が部屋を出て行こうとするのをエイリが止める。
「ロネシリィという女は1人でドラゴンと戦ったことすらあるそうよ。」
ドラゴン・・・生息地不明、突如現れては周囲を破壊しつくす。災害ともいうべき超大型の魔物である。
ランクSでようやくまともに戦える魔物だ。しかし、それは5人以上のランクSがいての話だ。たった1人では、攻撃を届かせる前に数回の攻撃ですぐに殺されてしまうだろう。
ランクSSですら1人では攻撃を届かせるのがやっとである。致命傷などには程遠い。
ランクMでようやく倒せるであろう攻撃が届かせることができるが、1人ではかなりの危険を伴い、少しの油断が死へと繋がっているのだ。
エイリも、ドラゴンと戦ったことは過去にあったが、それは周りにランクSやSSがサポートしてくれたから倒すことができただけで、1人で戦うとなると勝てる自信はあるとは言えないのだ。
「そして、私よりも圧倒的に強い。」
「そんな!?まさか、レベル100などと言うのですか!?」
「わからない。でも、あの強さは、それぐらいはあると思っていい。」
部屋が静まる。
「参ったわね。まさか、このようなことになるなんて・・・その女が、あのユウトを何故か気に入っていて、手を出すと殺されてしまうと・・・これじゃあ、王都には連れていって話を聞けないわね。」
殿下が言う。
「幸い、明日、話をしてもらうことになっていますので、王都に連れて行くかの判断はそれからでも良いのではないでしょうか。」
「・・・そうね。わからないことが多すぎる話。そうしましょうか。」
―――――――――翌朝
目が覚めると目の前に可愛い目とバッチリが目があった。
「うわ!」
思わず飛び退く。
「ひっどーい。人の顔を見るなり逃げるなんて。」
女の子座りをして、プンプンしてる。
「あ、ああ。すまない。ビックリしただけだ。」
・・・そうだ、異世界に来ていたのだ。・・・あー。ベッドにダイブしてすぐに寝てしまったのか。すぐに、ビックリした拍子で覚醒した頭で思い出す。
頭をポンポンとする。ロネシリィが気持ちよさそうにはにかむ。何これ?女とか言っていたけど、この表情を見ていたら美少女・・・いや幼女でも・・・ケホンケホン。とりあえず、可愛い。
コンコンコンコンとまだ、朝早いのにノックが4回された。
ガチャっと開けると、エイリだった。
「どうした?」
「話を聞きに来たのだが・・・。」
「ああー・・・」
エイリの後ろに殿下と男親衛隊がいる。
「とりあえず、殿下さんと男の人はお帰り願おう。」
「な、なぜだ!?」
「俺が話をするのはそこの隊長さんだけだ。」
「も、申し訳ございません。殿下。」
エイリが頭を下げる。
「もう、わかったわよ。」
殿下がキーッと言いながらも聞きわけが良い。殿下の後ろを男親衛隊がこちらを気にしながら付いて行く。
「隊長さん、案外馬鹿なのか?」
「なっ!?」
「だってそうだろ?俺達の話をするのに、お前以外がいては話せないだろう。知っているのはお前1人な訳だし。・・・まさか、話したりとかしてないよな?」
「そ、そんなことは決してない。誓ってもいい。」
少し睨みつけたら慌てて否定した。ロネシリィから俺を見る態度が少し違う気がする。好奇な目だったものが、今は恐怖が少し混ざっている。
「んー。別に、怖がらなくてもいいじゃないか・・・。」
頭を掻きながら、とりあえず、エイリを部屋に入れる。
「やー。」
とベッドで腰掛けているロネシリィが手を上げる。一瞬、ビクッとしてしまうエイリ。
「さて、早速だが、とりあえず、昨日言った通り、俺達2人の事は内密にしてもらう。許可なく喋ることは許さん。」
「わかった。」
頷くエイリ。
ロネシリィの横に座り、エイリに椅子に腰かけるように言った。
「俺の事だが、理由は知らんが、小さい時に魔法が使えるようになったので、練習して強くなりました。んで、こっちは黒龍が人に紛れて暇を潰しているらしい。以上だ。」
「っちょ、それだけ!?」
あまりにも簡単な説明にエイリは納得いかない。
「いや、しかし、これ以上言うことがないんだが。」
さすがに、異世界から来たというのはまだ黙っておいた方がいいような気がした。
ロネシリィが夢叶の膝に頭を乗せてきた。なぜ、こんなに懐いたこの黒龍。可愛いなおい。
「ま、まあいい。それでは、あのサラマンダーを倒した時、津波などを起こしたのは貴様自身で間違いはないな?」
「ああ。」
エイリは魔法ということがわからなかったとしても人為的に起こされた物だと気付いていたのだろう。
「ん?自身?とはどういうことだ?仲間がいると思っているのか?」
「実は、我が王都周辺で、何者かによる魔物が操られ、街が襲われるという事象が起こっているのだ。今回の冒険者試験もその調査の一環で来ていたのだ。」
「ほう、魔物を操るとな?」
ロネシリィが寝転んだまま問う。
「かっこ付けてるのか?その言い方。」
ロネシリィの頭を撫でながら聞いてみた。
「カッコ付けるというか、威厳があるようにだしているのだ。」
「寝転んでいたら、どっちも台無しだぞ?」
苦笑いしながら、言う。しまった!など言っているが、動く様子はない。ゴロニャ~ン。
「そ、それで、最初は、あの津波を引き起こしたのは魔物を操って起こしたのかと思い、王都でその方法など詳しく取り調べようとしていたのだ。この街にはランクが高い冒険者はあまりいない、もし本当に魔物を操っていてあの規模の津波を引き起こせるのなら、この街にいる者達ではおそらく対処できないだろう。という判断だったのだ。」
「なるほど、俺に対する扱いはわかったが、その魔物使いか?は、俺じゃないとわかったわけだろ?俺は開放されていいのだろう?」
もともと、拘束とかはされているつもりはなかったが、形式上連行ということになっているから聞いてみた。
「・・・いや、できれば無理を承知でお願いしたい。魔物を操る者を討伐するのに力を貸してもらえないだろうか?」
「ロネシリィは、どうする?」
「んー?私は、ユウトについて行くだけだよー。暇だしー。」
ゴロゴロ。なでなで。
ロネシリィは暇つぶしに来た結果、夢叶に付いてくるようだ。
「わかった。」
「いいのか!?」
エイリは正直、協力はして貰えないだろうと諦めていたのだが、あっさりと了承を得て、さらには、黒龍もついてくるというのだ、喜ばないはずがない。
「ああ、魔物を操る力とか興味ありだ。その方法がわかりしだい俺に提供するのが条件だ。
あと、報酬は頼む。金はなにかと必要だからな。」
金はともかく、操る力は危険すぎる・・・しかし、このままではどの道、ビギワンス王国は危ない。
「操る力の方法の提供は、なにせ、その力があれば、今のように国を攻めれるわけだからな。さすがに独断では約束することはできないが、なんとか頼んでみるが、それでもいいだろうか?」
「おお、構わない。」
「早速、殿下に報告をしてくる。」
エイリが立ち上がりさっさと部屋を出て行ってしまった。
「ねえ、ユウト。本当の目的は違うんでしょ?」
ロネシリィが意味深な顔で顔を覗いてくる。
「・・・ああ」




