表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハレルヤなんてさようなら  作者: 八兼信彦
6/44

Scene2 酒場《バッコス》なんてさようなら その3

  ***


 粉塵が店内の照明を乱反射させている。

 ふたたび、静寂が戻ってきた。

『ハハハハッ! わたしの勝ちだァァァ!』

 店長が勝鬨の声を上げる。

 しかし――


「……わたしの金ヅルに何やってんのよ――」

 不機嫌なアンナの声が、店長の顎下から聞こえた。

『!?』

 粉塵がおさまると、店長の前には壁でなく、人影があった。

ノエルの手前で、アンナが店長を受け止めていたのである。

『そんな――バカな……』

 愕然とする店長に、アンナは死を告げる(諭す)ように言った。

「いいこと教えてあげる。中途半端な力は身を滅ぼすのよ――バックス。」

『いぎぃぃぃ……』

 恐怖に包まれた店長は、さらに加速しようとキャタピラーを廻した。

 しかしアンナに押さえられた身体はそこからビクともしなかった。

『なぜだァッ! なぜだァァッ!』

 店長の喚声も、アンナの前ではむなしくこだまするだけである。

「アンナちゃん必殺ぅ……」

『ひ、ひぎゃあァァァッ!』

「上手投げぇ!!」

 上体をひねられた店長は、バランスを崩して射出され――

 きりもみしながら、脳天を地面に擦りつけて――

 気絶した。

「ふう。」

 廃墟と化した店内には、アンナとノエルだけが立っていた。

 アンナはノエルに向き直ると、

「さて、食事にしましょうか。」

 と、さらりと言った。


  ***


 その後、ノエルが見たものは――

 バグ酒の抜けきれない大男たちが厨房では飯を作り、ホールでは酒を注ぐという光景であった。店長がどこかから机や椅子を持ってきたからよかったが、もしなかったら大男たちが机や椅子になっていたかもしれない……


「「「またお越しくださいませぇ!」」」


 半壊した店の前に整列させられた店長と青年部会員たちは、清々しい笑顔を作らさせられ、満足げなアンナといまだ戸惑いを隠せないノエルを、見送らせさせられていた。


Scene2お読みいだたきありがとうございます。

旅の始まりといえば酒場だろ、という安直な考えから生まれました。

アンナとノエルの旅はまだまだ続きます。

次は新キャラクターが少し出てきます。

よろしければ次章もお読みくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ