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英雄様の従者s  作者: 時鳥
一章 リアルとゲーム
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1.魔法との出会い

 何も無い荒野をひたすら歩いているとあることについて思い出した。


「そういえば魔法があるんだよな。アイリさん、魔法ってどんなの?」


 剣と魔法の世界ならやっぱり魔法はとても気になる内容だろう。この場所が本当に異世界なら魔法があるはずだし、俺も魔法を使ってみたい。


「魔法? どんなのって言われましても……。魂から生成された魔力を使って起こす現象でしょうか」


 唐突に話し出した俺にアイリさんは少し困ったように説明しだした。

「私は魔法使いではないですから感覚的にしか知りませんが、現実に起こせる事を魔力で再現するという感じでしょうか」


 ゲーム内では詳しく説明されていなかったけど実際はそういう風になっているのか。

 魂とかよく分からんが、この世界だと常識なのかもしれない。


「こういうことを専門にしていたのは私ではなく主だったのであまり分かりやすく説明できたか自信がないです」

「いや、なんとなく分かった気がする。ありがとう」


 そういえば俺はゲームの時は賢者をやっていたな。そりゃぁ魔法について詳しかったはずだ。

 うんうんと頷いていると、実際に見せてくれるというのでお言葉に甘えることにした。


「ファイアアロー!」


 アイリさんが手を前に差し出し魔法を唱えると、赤く輝く魔方陣が現れた。周囲の大気が魔方陣の前で震え、熱気で景色がゆらめく。涼やかな声が響き終わると、アイリさんの手には白熱する炎が空気を焦がした。分厚いガントレットに包まれた手が振るわれたかと思うと、炎は光の如く一つの線を描き地面を焼き尽くした。何も可燃物が無いというのにその炎は暫く燃え続け、消えた時にはその地面は融解して大穴が作られていた。


 あまりの威力に俺は唖然としていた。ファイアアローっていうと初級魔法だよな? 魔法ってこんなに強いのか……。夢が膨らむな!


「私は主が失踪する前の修行が利いたのかこの威力ですけど、ここまでの威力を出せる人はあまり知りませんね」


 少し得意げに告げてくるアイリさんに戦慄する。魔法使いでもないのにこれだけ強いってどういうことなの。ゲーム時代でも俺は賢者を名乗れなくなるよ。


「主は優れた魔法の使い手でしたから多分使えると思いますよ」


 魔法の知識なんて全然無いんだがそんな簡単に魔法って使えるようなものなのかね。

 というか昔のことを持ち出されても俺には全く分からないのだが。

 そんなことを思うが夢に見た魔法を直に見られて感動もしたし張り切ってやってみますか!


「ファイアアロー!」


 アイリさんがやったように手を差し出し、意気揚々と魔法を唱える。すると突然頭の中に魔法の発動に必要な魔方陣の描き方が浮かび上がり、ごく自然に体から暖かい川の流れのようなものが手の前に注ぎ込まれ青く輝く魔方陣が現れた。手に熱気が集まり業火を作り出し大気を焦がす。あまりに滑らかに行われた一連の流れに驚き動揺してしまい体勢を崩してしまう。魔方陣に注がれていた流れは断ち切られ、作られた炎は霧散してしまった。


「魔力の制御が上手くいってないみたいですね」


 そんなことより俺は混乱していた。突如身に覚えの無い魔法の知識があふれ出したことの衝撃で魔力らしき流れのようなものが流れていくのを止めてしまっていた。


 今のは……。


「ファイアアロー!」


 前に手を差し出しもう一度魔法を唱えてみると、滑らかに青い魔方陣は描かれ、火線はしっかりと対象とした地面を燃やしていた。やはりアイリさんほどではないが、あまり見劣りのしない強さの火線が出たようだ。

 先ほどと同じように魔方陣の描き方や魔力の使い方なんかが頭に浮かび上がりそれをすぐさま実用していた。知らないことをあたかも使い慣れたもののように扱えることが得体の知れなさを感じさせた。


「さすが主! たった一度で初級魔法を使いこなせるとは」


 戦々恐々としているとアイリさんは安心したかのように俺を誉めていた。

 魔法とは頭に突如として知識が湧いてくるようなものなのだろうか? いや、アイリさんの言い方からするにそんなことはなさそうだ。これはどういうことなんだ。


「主は昔も一度覚えた魔法はすぐに使いこなしていましたよね。すごいです」


 昔も使いこなせていた……ということはこれはゲーム補正か何かだろうか? 確かにゲームでは一度覚えたらすぐさま使える仕様になっていたし、これはゲーム準拠なのだろう。


「剛力!」


 試しにゲーム時代によく使っていた魔法を唱えてみる。

 するとやはり魔方陣の描き方が思い浮かび、ファイアアローとは作りが全く違うより複雑な青く輝く魔法陣が現れ、魔力が注ぎ込まれ効果を発揮した。

 俺の体に力がみなぎり、魔法の名前の通りに力強くなったようだ。


「先ほどは説明をしていませんでしたけどさっき使ったファイアアローのような魔力を使って起こりうる現象を再現する魔法を無色魔法といいます。周囲を利用する魔法なので周りの環境に影響を受けます。そして誰でも修行を積めば使える魔法です。。そして主が今使った剛力は青魔法と呼ばれていてその人の魂の魔力光に合った色を持っていないと使えない魔法です。私も剛力は使えません」


 この辺はゲーム通りなんだな。ゲームと同じところが出てきて大分魔法について分かってきたぞ。


「ということは俺には青魔法以外の色の魔法は使えないんだな。魔力光は青いし」

「そうですね。私の魔力光は赤いから赤魔法しか使えないです」


 そう言ってアイリさんは魔法陣を描き出した。


「守護陣!」


 地面に五メーター四方の赤い複雑な陣が描かれ、陣と外の境目には不可視の壁で遮られたようだ。


「知っていると思いますけどこの魔法は外からの侵入をできなくする魔法です」


 まだまだ説明してくれるアイリさんには悪いがゲームのときの魔法の性質を考えてみれば聞きたいことは大体分かってしまった。


「それと一番重要なことですけど魔法を使うときは魔法を使って起こる現象をしっかりイメージしていないと魔法陣が描かれても発動しないので注意しください」


 ……それはゲームでは分からなかったな。

 最初のファイアアローは事前にアイリさんに見せてもらったから使えたし、剛力は起こる効果をゲームで知っていたから使えたってことだな。


 ゲームだと一発が天災レベルっていわれていた最上級魔法ともなると結果が全く想像できないんだが。


 そうして俺たちは覚えている初級魔法を使いまくっていった。まぁそうするとどういうことが起こるのかは明白なわけで


「魔力、が、切れ、た」


ガス欠をしました。


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