1.プロローグ
小説初挑戦です。
一章までは書き終わっているので安定して投稿出来ると思います。
魔物すら近寄らない小さな荒野、そこに一際目立つ黒い建造物があった。
光を反射しない漆黒の建物には入り口や屋根に鳥や獣に竜などの装飾が施されている。内部は高い天井を支えるため列柱が身廊と側廊を隔てており、光源がないため薄暗く陰鬱な雰囲気が漂っている。光の差し込まないステンドグラスには外の装飾と同じ模様が描かれている。
正面奥には左には金色の、右には真っ赤なそれぞれ非対称の翼のついた黒い女神像が鎮座している。
この荒野に似合わない神殿の中にその人は居た。
女神像の更に先にはその大きな建造物に対して小さな部屋があった。
そこには部屋いっぱいに魔方陣が敷かれ赤青黄の透き通ったこぶし大の石がいくつも配置されている。
その他にも金属片やら奇妙な形の枝やら何かしらの牙や鱗などが設置されている台座に置かれ、儀式の準備が行われていた。
「材料はこれで全部集まった。あとはこの文献通りに進めばついにあの人に会えるんですね……」
そして儀式は始まったのだった。
(これで準備は完了だな。後は配置について魔道具を使って、NPC達を魔物との戦闘状態に持ち込めば勝手に育ってくれるだろ)
作業が丁度良いところまで行ったのでPCから目を離し、一息入れることにした。
俺……「高城匠」が今プレイしているのは「Each Colors」。一昨年に公開された、自由度の高い育成ができる剣と魔法のある世界「オリアス」を舞台にした人気RPGだ。
メインストーリーを終わらせたため最近はご無沙汰だったが、ホームページを見ると大型アップデートで新大陸、メインストーリー追加されたと出ており興味を惹かれまたやりだしたのだ。
しかし更新して間もなかったのであまり情報は載っていなかったが、Wikiを見る限り新大陸のストーリーは今までの舞台であったラバクト大陸に登場する敵よりも平均的に強くなっているそうであった。
なので、以前はまっていた仲間NPCの育成を満足いくまでやってからアップデートしようと思ったわけである。
(自動回復速度もダメージを受ける速度を上回っているはずだしこれで十分かな)
そして今俺がゲームでやろうとしていることは……放置育成である。
本来は冒険に冒険を重ね、育てていくであろう仲間をこの方法で飛躍的に強くすることは邪道かもしれないが、MMOとかでもないのでその辺のプレイ方法は自由である。
準備として、職業を最上位職まで引き上げて成長させたいスキルを覚えさせたり、放置できるだけの防御能力を持たせるために本気戦闘用の装備から防御力だけを考えた装備にしたりと結構な時間をかけやってきた。
その集大成として最終段階の放置を開始するのだ!
「うっし、始めるか」
仲間達が戦い始めるのを満足しながら見ていると、もう時間帯が夜だったこともあり眠たくなってきた。
朝になれば一回りも二回りも強くなった仲間達を思い浮かべながら俺は目を閉じた。
その時はそれがこの世で最後になるなんて思いもしなかった。
文字数がかなり少ないのでその内書き直すかもしれません