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第22話 お姫様と騎士団長

活発お姫様の話を聞いて騎士団長と副団長を呼ぶ。美人だ。煌びやかな鎧にマントとスカートといかにも異世界らしい装備だ。それで足守れるのか?足切られるとやばいぞ?太ももとかマジで切られると洒落にならんぞ?止血帯ないのよ?


「ノーラ様、何か御用でしょうか?」

「会談中と聞きましたが…どうしました?」

「リーゼ、レベッカ、クレアのことよ。」


リーゼとレベッカというのか。団長は青髪のロングヘア、副団長は赤髪のポニーテール。アニメみてえ。しかもスタイルいいじゃないか。眼福眼福。エロい目で見たら殺されかねないから我慢するけど。

騎士団の2人が目を合わせると大慌てで手を振る。


「そんな、大丈夫です!」

「め、迷惑なんて思っておりません!」

「声出てんじゃねえか。困ってるくらいはいっちまえよ。」


ザックが切り出す。曲がりなりにも元騎士だ。

ジェイクが軽く肩をこづくが気にしてない感じだ。苦笑いしてるから昔からこうなのか。


「ザック、お前なぁ‥」

「やる気があるのはいいけどよ、戦場に出ようとするのは困りものだぞ?女王様の前で言うのもアレだが、死なれたら困るからな。いや、まぁ昔からいい子だけどよ。」

「俺ら騎士団の訓練も見てたよな。目を輝かせてたし。」

「フランクすぎんだろお前ら!」

「だって昔から知ってるんすよ。昔から同盟国なんで。ドラゴンに滅ぼされる前からの古い付き合いなんすよ。」


そりゃそうかもしれねえけど口調口調!人のこと言えねえけど!!


「ザック殿、それはそうなのだが我らとしても甘やかしてしまうのだ…。よくないとは思っているのだが。」

「やる気はあるし、我らにとってもその…妹のようなものなので…とは言え少し、いえ、本音を言うと怪我をさせないよう、稽古でわざと負けなければならないから困ってるが…いい子なので、その。」

「まぁわかるけどよ、俺も懐かれてたからさ。」

「お前らも知り合い同士か!?」

「ええ。俺たちも薔薇騎士とは再興後は合同訓練やってたんで。ボロックソに負けましたけど。」


負けたんかい!負けたと聞いてザックも頭抱えてんじゃねえか!ジェイクお前ヨォ!?


「いや強いんですよ!一人で10人は相手にできる連中ですよ!?」

「そりゃ勝てんわな!?そりゃ軍いらんと勘違いするわ!!」


前言撤回、想像以上に強かった。物量戦には弱くてもそりゃどうにかなると思う。


「とは言え騎士団も困らせてたらちょっとなぁ。ハナはどう思う?」

「わたしもちょっと…接待はともかく甘くなるのは仕方ないとは思ってしまいますね。年頃ですし。ですけど…うーん…」


ハナも考え込んでるな。まぁシルクと同年代だもんなぁ…。ルキとも仲良くなれそうな明るい子だが…それとこれとは別だ。本人にも、騎士団や軍を設立した時に兵士の命に関わるから。

しかしどうにも案が出ないものだ。


「んー、考えても埒が明かない。一旦会議はお開きにして俺は街でも見てくるわ。兵士達にも自由行動を取らせてやってくれ。ジャグ、武器は騎士団に預けるように指示を出しといてくれ。」

「わかった。」

「そうね、リーゼ。レベッカ、北部自治領の皆様に案内をお願いね。」

「かしこまりました。こちらへ。」

「了解。」


全員が席を立ち自由行動に入る。まぁ俺の街の人間は案内と言うなの見張り付きだが。

美味いものでも食うか。そう思いながら背筋を伸ばすとリーゼが俺をじーっと見つめてくる。なんじゃい。


「あの人達と雰囲気が似てるような…」

「確かに…いえ、今は気にするのはやめましょう。団長、まずは案内です。」


なんのことだ?あの人たち?

俺と仲間達は顔を見合わせる。頭にハテナを浮かべながら。

隣の部屋にいたシルクとルキも連れて市場を案内される。大声で客を呼び、物を買い、売り捌き、ご婦人の方々が服に群がる。いやー昔の商店街みてえ。


「ここが市場です。あなた方の糸も売られてるのですよ。良い服が作れるとそれはもう良い評判です。」

「作ってるところは見ないほうがいいぞ。ホラーだぞ。」


蜘蛛が10匹くらい横一列になって糸出してんだ。ホラーもんだよあれ。パニック映画だよありゃ。


「他にも北部の各街からも仕入れた食料品も売られてますよ。地元の農家が作った野菜も。」

「グリムフォードとも交易があるでゲスか?」

「もちろんです。我が国でもマルクス様の助けがありましたから。蜘蛛の糸を持ってきた時は驚きましたけどね。」

「いきなり人の荷車見て騒いだからブチギレたぞ俺」

「それだけ新たな品を、いえ、素晴らしい物を見つけたか商人の血が騒いだのでしょうね。」


そりゃそうだが流石にびっくりしたぞ俺は。しかも北部の顔だってんだから。

次はレストラン街、ここも賑わっている。真昼間から万国、いや、異世界共通なのだな若い女の子がせっせと食事を運んでる。家族経営のところがあるのも世界共通だな。しかしトンカツや牛丼とかジャパニーズフード食いたい。

…ん?迷彩服を着てる連中がいるぞ。10人も。飯食ってるぞ?…ちょっと待て、迷彩服?え?迷彩服!?


「な、ん?んん!?迷彩服!?なんで!!?あれ自衛隊か!?なんで自衛隊が!?」

「ジエイタイ?ヒロナカ様、それは一体?」

「メイサイフク…?ヒロナカ様、知っているのですか?」

「ヒロナカ殿、彼らを知っているのですか?」

「あ、ああ…。俺の…元の世界の俺がいた国の軍人だよ!」


全員が驚きの声をあげる。店の中に響き渡るほどで客も、街を歩いてた人も全員が注目してくる。驚かねえのが無理あるわ!!


「長岡二尉、何があったんですかね?」

「知らん。俺たちのことを知っている奴がいたのか?」

「松山陸曹長、オークやゴブリンがいますよ!?ここって人間やエルフの街じゃ…!!」


自衛隊員達も見てくる。待て待て!まずなんで自衛隊がいるんだよ!!ここ異世界だろ!?


「彼らはその‥1ヶ月前に現れたのです。光に包まれて…。話を聞いたらニホンと言う国から来たとか、見たことのない妙な筒を持っていて…鎧とかを着ないで妙な色をした鎧とは別の何かを着ていたのだが、ヒロナカ殿の世界の人達だとは…」

「失礼…もしかして貴方は日本人ですか?」

「あ、はい。2年近く前に召喚されたのですけど…」


隊長らしき人が話しかけてくる。


「自分は長岡道雄、階級は二等陸尉です。まさか日本人に出会えるとは…しかし召喚とは?」

「え!?あ、はい。弘中牧男っていいます!信じられないと思いますが…」


迷惑になるので店の中に入り隊員達にに説明すると最初は信じられないと言う表情をしていたが、異世界ということもあり納得してくれた。こちらも質問すると訓練をしていたらいきなり光に包まれてこの世界に来てしまったらしい。しかも弾倉には空砲が装填されていたはずなのに全部実弾になっていて、危険だと判断し箱に入れてあるとか。厳重に扱うわなそりゃ。

もちろん自衛隊はあまりにも目立ち、騎士団とノーラ女王が駆けつけると長岡さんが事情を説明し(しかも自衛隊です。と答えたため全員が困惑し、あえて細かいことは聞かなかったのだとか。そのため、騎士団や軍とは別物と思っていたらしい。)、衣食住は提供されて住民の手伝いをしたり力仕事をしてくれたりして信用を得てたのだとか。


「兵士や騎士団に近い存在ならそういってくれれば良いのに。」

「失礼しました。その…色々と立場というか、名目と言いますか、まぁ色々あるんですよ…」


リーゼが怪訝な表情をするが長岡さんは頭を下げる。しかしまさか日本人に出会うとは…


「ところで長岡さん、一つ聞きたいのですが、自分はこの世界に召喚されてからそろそろ2年くらいになるんですよ。この世界に来る前は11月ですか?自分が召喚されたのは令和◯年、2月5日なのですが。」

「いや、俺達が飛ばされた時の日は2月10日だが…5日しかずれてないな。」

「まじか…」


まさかの元の世界との時間経過にかなりのズレがあるとは思わなかった。信じられないと思ったが自衛隊がそんな嘘をつくわけないしなぁ。余りにも予想外のことに俯くと長岡さんの胸にある物がついてることに気づく。

それは自衛隊の中でもかなり厳しい訓練を受けてきた証、レンジャー徽章だ。それだけじゃない、格闘と射撃の特級を持ってる。元サバゲーマーだし駐屯地祭とかいってたからな。知ってるのよ。


「え、レンジャー持ってるんですか?」

「ん?ああ。」


俺の目がピカっ!と光る。こいつはいいことを思いついた。即座にリーゼとクリストフを外に呼ぶ。


「ど、どうしたのですか?」

「いいことを思いついた…。あの人達にクレアお嬢様を訓練させよう。クリストフが作った自警団のメンバーもな?素人なんだろ?」

「え?まぁそうだけど。あの人たち訓練とか教えられるのか?」


もちろん。なんて言ったってあの人がつけてるのは金色のレンジャー徽章だ。教官として教えられる人たちだから問題ない。幹部レンジャーだから。説明するとリーゼが考え込むが、「教えられるなら…」と判断する。


中に入り、リーゼが長岡さんに事情を説明する。


「なるほど…新兵訓練…我々だと新隊員の教育になりますが、いいですよ。ですが…王女様もですか?」

「はい、女王陛下には私から話をしますし、もしよければ城内に来ていただいてもよろしいでしょうか?」

「了解です。本来は女性の新隊員には女性の教官があたるのですが、助教としてなら手伝いますよ。よし、立川も来てくれ。松山は仕事に戻るように。」


松山という人が敬礼すると隊員達が動き出す。階級章でわかる。立川という人も尉官だ。しかも立川さんもレンジャー徽章をつけている。


城内に入り、ノーラ女王が俺の提案を聞き、リーゼも説明する。


「わかりました、ナガオカ殿、私の娘とエリス王国王、クリストフの義勇軍の訓練をお願いします。本来は女性に対しては同性の方が訓練をすると聞きましたが、今は人手不足ですので、どうかよろしくお願いします。」

「了解です。」


長岡さんと立川さんが敬礼する


訓練開始は1週間後だ。どうなるかな?


「なぁ‥俺も参加していいかな?」

「クリストフ!?」

「いいですが‥なぜ?」


まさかのクリストフの志願。なんでだ?


「義勇軍を設立した責任があるからさ…。自分も訓練を受けないと示しがつかないから。ナガオカさん、その‥よろしくお願いします!」


礼儀正しくお辞儀をする。責任感の強いやつだな。

姉のエレナが心配しているが、そこはクリストフの意思だ。止めてはならないだろう。


こうしてクリストフとエレナが訓練に参加する事になった。若者よ、頑張れよ。


「それに…クレアだけだと不安なんで。」

「そこは信じてやりなさいよ。」

「いやいや!あいつその、精神的にくると結構やばいんですよ。」


え、あんなに明るくて元気なのに?怒られてもケロッとしてそうな感じに見えるが。


「まぁ、俺はクリストフと出会ってそんな日数経ってないが、クレア王女と付き合いが長いから分かってるってことか。まぁ頑張れよ。」

「はい!」

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