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第19話 新たな国

やる気満々な連中を率いて近いところに向かう。ここにいる賊は中規模だからまあまあの数だろう。50人くらいか?100人もいないからまあ説得は余裕だろう。

ちなみに言うと、小規模は10〜30人、中規模は31〜90人、それ以上は大規模だ。あくまでおおまかな目安だがな。しかし、各種族が集まった軍というのはすごいな。1000人という数でも壮観だよ。3日くらいかけて進軍し続け、賊のアジトの近くにつきそうになる。すると喧騒が聞こえた。


「おいザック、300人はいるじゃねえか。しかも大体同じ数のオーク、ゴブリンと睨み合ってんぞおい。」

「あー…あの山賊たちは連合組んだんですかね?」


ジト目でザックの方を見ると頬を掻きながら誤魔化すように言ってくる、蹴るぞこの野郎。


「ここは静観するか?」

「ああ。しかし妙っすよ。奴らは賊なのに統制が取れているっす。」


ザックが指摘する。部下らしき賊達は100人組で隊列を整えている。そこらへんの賊がこんな統率が取れている筈がない。軍隊上がりか?オークを相手に怯んでもいない。オークとゴブリン達は隊列を整えておらずただ槍を振り回して威嚇しているだけだ。鳴き声ではなくしっかりと喋って挑発している。


「知能のある方だな。俺と高橋で行くか?」

「そうだな。ジャグと高橋と山田でオークとゴブリンの説得を、俺はジャックと共に賊を説得してみる。まだ動くなよ。どちらかが仕掛けたら真ん中に矢を放って止めろ。」


敵対したら叩き潰すがな。

互いに睨み合いを続けたまま10分ほどが過ぎるとオーク達が動き出す。エルフの1人に顔を向けて無言で指示を出し、弓矢が両軍の中央に落ち、動きが止まる。

指揮官が俺たちの方を睨みつけてくるが、俺とダルトンは賊の方に、高橋達はオークの方に向かう。


「な、何者だ!」

「敵じゃない。様々な種族を受け入れてる街の者だ。あんた達を仲間にしようと思ってね」

「オデ達、お前達を説得する。戦いはやめろ。」


オークだけではない。様々な種族の連合軍…両軍が察する。


「な、お前はまさか!」

「おー噂になってたか。俺たちが間に立つから、まずは戦いはやめろ。」

「ん…?お前ジェイクか?」


ザックが賊の親分に驚く。知り合いなのだろう。


「ザックか!?お前賊辞めたのか!」

「ああ。生き抜くためにやってただけだからな。それに、無関係な人々は襲ってない、義賊よ!」

「そうか!むしろ俺たちはアンタ達と話そうと思っていたんだ!」


ジェイクと呼ばれた男が喜んでいる。え、どゆこと?


「ん…?お前ジャグか?」

「ん?お前…あの時の…」

「力を貸してくれ、人間は嫌いだ。オデたちの縄張りに入ってきた。」


オークのボスがジェイクを指差す。あー、これ縄張り争いか?


「俺たちの縄張りに入ってきたからだろうが!」

「お前達が入ってきたんだろうが!」

「お、落ち着け!」


とにかく仲裁して話を聞くことにしよう。多分これ、話し合えばどうにかなるはずだ。多分。


「つまり、アンタらは両方とも自分たちの土地を守ろうとしたわけと。」

「ああ。仲間から報告を受けてな。向こうまで行かれるとやるしかない。」

「オデ達、ここまでが縄張り、許さない。」

「‥証拠はあるのか?」

「コレだ」


オークの隊長が指差す。恐らく知能のないやつか、敵対していたオークの頭部の骨が木に置かれてる。それが縄張りの主張なのだろう。ジャグと高橋、山田は頷いているが俺や他の種族は顔を見合わせて怒鳴った。何故なら妙に森の中に置いてあって緑と黒に塗られてたからだ。


「わかるか!?」

「わかるわけねえだろ!」

「気づけると思ってんのかおめえらは!」


だがオーク達も言い返す。


「わかる!」

「これがオデ達の主張だ!印だ!」

「あんなカモフラージュされたら気づくわけねえだろ!!ええい、もう埒があかん!こんな事で死人を出そうとするなこの馬鹿たれが!」


流石の俺の呆れと怒りの一喝に両軍共に武器を収める。そりゃ賊も討伐に乗り出すわ!!

くだらない事で戦争が起こるのは歴史上あるにはある。だがそれでもコレで死んだら浮かばれんわ!


「ったく…ジャグ、高橋、山田、そこのゴブリンとオーク達を説得してくれ。あと俺たちの街に来るように話しといてくれ。受け入れるから。縄張りの主張無くなるから。」

「おう。」

「わかったでゲス」


3人がオークやゴブリン達と話し合いを始める。さて、俺たちも賊と話すか。


「んで、向こうまで行かれると困るってのはなんだ?」

「ん?ああ。あっちには俺たちの国があってな、その…」

「え?国?」


どういう事だ?北部の国は滅びたはずだ。街や村しかないと聞いたから俺もザックも頭にハテナを浮かべてしまう。


「あっちの方だとセリス王国か?俺も仕えてたから知ってるが…何故再興したんだ?あの時滅びただろ?」

「ああ、あの時の王族の子が生きてたんだ。臣下の元で暮らしててな、故郷に戻ってきたんだ。」

「そうか‥生きててくれたか。」


ザックが安堵している。お前騎士だったのか。と思いながらある疑問が浮かび上がる。再興したのに何故賊をやっているのか?何故守ろうとしたのか?と。賊をやっているならむしろ攻められても無関係な筈だ。


「ん?ジェイク、お前見る限り今は山賊だろ?抜けたのなら関係ないんじゃ…」

「あ〜俺たちはその。なんだ、女王に反発してな、独自に軍を作ったんだよ、表向きは山賊だがな。」

「わけがわからん。どういうこっちゃ?」


俺とザックの疑問にジェイクが説明を始める。新しい女王はまだ18歳で王の立場である弟は16歳の子供らしく、父も母も亡くなっているため、再興のために王の立場になり、かつての忠臣達と共に政策を行っている。さらにエルフと獣人や難民も受け入れ、かつての規模…六千万もいた頃には遠く及ばなく、人口は一万五千程だが治安も良く、平和なのだとか。だが最近暗雲が立ち込めたのだ。それはタキアと言う街が周辺の街と連合を組み始め、軍事侵攻を行おうとしていると言う情報が入ったのだ。かつての騎士や兵士、そして王は守るために軍事力拡大をしようとしたのだが、女王は元より争いを好まない性格で平和を愛しており、消極的だったのだ。話し合いで解決しようとする姿勢にジェイク達300人の元兵士や騎士はそれでは守れないと反発し、汚名を覚悟で独立愚連隊になり、表向きは山賊団としてタキアの侵攻を見張っていたのだ。王もこっそりだが支援しており、義勇軍…300人ほどだが設立して領内を守っていると言う。おかげで街には正規軍は150人しかいないのだとか。


「なるほどな。しかし…タキアってどこだ?」


俺が地図を取り出すとジェイクが指を指す。指された位置を見て俺とザックが固まると高橋達やジャックとルシアンも駆けつけて愕然とする。ダークエルフを襲った街だったからだ。あまりにも偶然とは思えない出来事にジェイクにセリス王国の位置を教えてもらう。まさかのお隣さんじゃねえか!あとダークエルフにジェイク達が驚いていたが無視した。だって…そんなこたぁどうでもいいんだよ!!


「すまない、もしよければ俺たちを女王に合わせてほしい。俺たちもそのタキアに宣戦布告するために仲間を集めてるんだよ。ダークエルフの仇討ちのためにな。」

「ダークエルフを虐殺したことか…。」

「そうだ。そのためにケンタウロス、コボルトの一部とも連合を組んでる。今すぐとは言わない。だが…」


コレは千載一遇の好機だ。互いの理念が合えば同盟を結べるし共に戦う兵士も増える。ジェイクも同じ考えではあるが顎に手を当てて考え込む。


「うーむ、俺の一存ではなんとも言えないな。王の支援を受けてるとは言え、脱走兵のような者だ。義勇軍に接触して返答の使者を送るから少し待ってくれないか?」

「おう。あとあそこのオーク達は任せろ。引き取るから。」

「本当に感謝する。」


恐らく1週間はかかるだろう。対峙していたオーク達も説得を受け入れて俺たちの街に来てくれる。いやーよかったよかった。くだらない事で喧嘩するなよほんと。

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