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第18話 悲惨な光景と戦争準備

第18話 悲惨な光景と戦争準備


次の日、会議をする予定だったのだがリュシアンに被害に遭った街を見てほしいと言われ、ダークエルフ達がいた街に向かう。こちらは宣戦布告をしてないが見つかると面倒なため領内を越えたらダークエルフ達の知っている隠れ道を使うことにする。


ダークエルフ10人といつものメンバーだけだから目立つようなことをしなければ大丈夫だろう。シルクとルキは流石に留守番だが。


2日かけて到着すると想像を絶する光景が広がっていた。


「こ、これは…」

「酷すぎます‥」

「これが‥我々がやられたことです。」


リュシアンは唇を噛み締め、苦虫を噛み潰したように呟く。死臭が漂い、家は壊され、建物の中を確認すると略奪の跡がある。


「お、親分…こちらにきてくだせえ…。」


ザックが俺のところに来る。最悪なものを見てしまったと言う表情だ。言われたところに向かうと絶句してしまう。


「んだよこれ…。」

「酷い‥酷すぎます!」

「これが人間のやることか!?オデ達オークでもやらない!どこまで腐ってやがる…!」


高橋とハナは怒りをあらわにし、山田は無言で拳を握りしめる。


子供を守ろうとしたのだろう。母親が庇うように覆い被さっているが共に槍で貫かれている。さらに日が経っているから腐敗している。現代日本では絶対に見ることのない光景に流石に俺は吐き気を催す。

それだけではなかった。壁に磔にされた死体、矢で的にされたのだろう。何本も背中に突き刺さった死体が何十と転がっている。


「これが人間のやることかよ…不浄な生き物と叫びながら襲いかかったらしいが…どっちが腐ってやがる!罪なき人々を殺戮するような奴らこそが腐ってるに決まってんだろうが!」

「ヒロナカ殿…」

「必ずこの人たちの仇を取る…!どこの連中がやったかはまだわからないが‥必ず叩き潰す!」


全員が頷く。この光景を見て許せるのか?否、許せるわけがない。これ以上いると敵に遭遇するかもしれないから自分達の領地に戻ることにする。


ダークエルフ達の無念を晴らす。必ず襲った連中を叩き潰す。そう決意した。


2週間後、長達を集めていつもの議論が始まる。深くため息をつきながらタバコに火をつけて頬杖をつく。

ため息をつくのも無理はないだろう。難民保護、全種族受け入れ(完全敵対は除く)と言う明文がある故の問題、ダークエルフ達を襲った街に対しての開戦準備。そしてさらに大慌てになったのはグリムフォードの街から傘下になると表明するための使者が来たのだ。人口2万を超えたのは嬉しい誤算であり、経済も良くなるだろう。

とは言え、その嬉しさを吹き飛ばすほど大変なことになっているのは変わりはないが。


「偵察隊からの報告によると襲撃したのはやはり周辺の街で間違いないようだ。」

「さらに20の村、5つの街が参加した連合であり、総人口はおよそ2万、兵力は多く見積もって2000人でしょう。」

「つまりほぼすべての兵力を投入したわけだ。5000人を相手に殲滅戦を仕掛けるならその人数は必要だろうよ。」


舌打ちしてしまう。どうやら例の連中は近くにいるだけで特定の種族を、民族を根絶やしにすることしか頭にないのだろう。


「しかしやけに人口が多いな。グリムフォードのような大きさはないが人口2000〜3000ほどの街あたりが連合を組んだか。」

「ああ。グリムフォードも兵士を提供してくれるそうだ。するとこちらは投入できる兵力は2千ちょっと、いや、オークやゴブリン、ケンタウロスはほぼ全員が参加できるからさらに投入できるがそれだと街を守れないからな。」

「とは言え互角なのは勝てるか負けるかはわからん。戦いはよくて互角…本来なら倍以上の兵力を集めるのが常套。」


同等の兵力ならば全力を尽くして戦うのみ。2倍の兵力なら分断させて叩き潰し、それ以上は包囲するなり積極的攻勢だろう。だが…それだけでは勝てない。なぜなら敵地に攻め込むという事は敵は地形を理解し、相手がどこから攻めてくるかもわかるからだ。さらに進行側と違い守るために士気は高い筈だ。


「うーむ…考えてしまうなこれは…。大義は俺たちにあるが…」

「ヒロナカよ、なぜ考える?」

「互角だからだ。俺の世界では戦争に関する教え…軍事学って言えばいいのかわからないが、敵との同条件で敵地を攻める場合は最低でも3倍の兵力を集めろって教えがあるんだ。それでやっと互角…つまり本来はこちらは6000人は必要だ。」


だからこちらが取る手段は周辺を落とし、領土を増やす。そして敵の同盟を包囲していくのが今とる戦略として正しいのではないか?だが北部の街や村全部が同じ考えでないのは明白。


「さらに相手には地の利がある。かなり難しい戦になるな。」

「敵をダークエルフ達の故郷に誘い込むのは?」

「それも考えたが包囲されるぞ。各個撃破も考えたが…」

「内乱を誘発させるか?虐殺行為対し反発や不満を持つ者もいるはずだろう。」


軍事作戦というのは難しいものだ。と自重気味に思う。必ず勝つ作戦を考えねばならない。謀略、調略、策、それを考えられる軍師がいれば当然なんとでもなるだろう。だがそんな人材はいない。つまり今ここにいる者達だけで考えねばならないのだ。この世界に召喚されて、数ヶ月傭兵生活をやっただけの男が考えられないのも無理はない。


「敵を私たちの方に誘い込むのはどうでしょうか」

「挑発するための手紙手間も書くか?上品なやつでも送ってやるか?」


挑発して誘い出すのもいいだろう。1つずつ誘い出して各個撃破、作戦としてはこれしかない。味方の損害は少なく、敵の損害は多く、それが勝利である。退却戦、侵攻戦共にである。

その作戦がいいかと考えたその時、扉が開く。アズチ達蜘蛛の事を教えてくれたあの時の元賊の親分、ザックが入ってきた。


「どうした?」

「へへっ、いい情報があるんですぜ親分。こいつを。」

「ん?地図じゃないか。」


ザックが全員に地図を配るとそこには大量の赤丸がついていた。30以上ある。しかもグリムフォードや最近傘下になった村の周り…例の街や傘下になってない街や村との境目付近だ。最初から俺が治めている街の周辺はもう壊滅させたり仲間にしたがまだこんなにいるとは驚きだ。


「これは俺や子分たちで集めた情報ですぜ。小から中規模の賊のいる場所で、こいつらを討伐したり仲間にすれば戦力増強になりますぜ。小規模だと10人、大規模だと100人規模…。どうです?100人超えはそんなないですが…」

「よし、やろう。まずはこいつらを潰したり仲間にしよう。更生のある組織は仲間に、敵対を選んだら叩きのめす!そして降伏したものを受け入れる!!」

「もしかしたらここまで広がってるからオークやゴブリンの巣もあるかもしれない。ヒロナカ、そっちの方も探そう。」


全員が頷く。これはすごい増強になるな。人も、兵士も増える。ジャグなんてやる気満々な上ダリオンも肩回ししている。戦闘民族のやる気やべえなほんと。

まずは大規模の賊を潰す事にするとオーク、ドワーフ、ケンタウロスがノリノリで出発していく。


「あ、勝ったなこれ。」

「自分もそー思う」

「おいコボルト2人、お前らも行くんだよ。」


とりあえず戦える奴ら2100人のうち1000人を投入することにしました。

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