第12話 初めての戦
夜、俺が率いる部隊とジャグが率いる部隊に分かれて進軍する。士気は高く、意気揚々と進軍する。蜘蛛達を合わせても合わせて300人だが今はそれでいい。いずれは千に、そして万になる。国が大きくなればなるほど人口は増え、兵士が増える。今は笑えばいい、いずれ俺はアストリスを、魔王軍を潰す。その野心を胸に秘めて俺は部下達に指示を出す。
「アズチ、仲間を率いて木の上を登っていって上に待機していてくれ。。」
「わかった。全員ついてこい、行くぞ。」
カサカサと音を立てて登っていく。あれ知らない奴らが見たらホラーだな。俺も怖えもん。慣れても怖えよ。
「エルフの弓隊も木の上で待機、合図を出したら弓を放て。敵を誘い出す。高橋と山田率いる槍隊はついてこい、待ち構えるぞ。」
「わかったでゲス。」
「任せろ」
レグノ町の近くの森の中に各自配置につく。さーて、おっ始めますか。オークとドワーフ、ゴブリン達に目配りすると全員が頷いた。左手を挙げて合図する。
エルフの放つ矢が見回りの兵士に当てて3人倒す。
「敵襲だー!」
「敵だ!奴らがきたぞ!」
剣と槍を持って出てくる。誘いに乗ってきたな。悪いが80人なんて怖かねえよ、そっちの倍は投入してるんでね。
「まだ始めるなよ。奴らを誘い込むぞ。敵は地の利を理解してねえからな。20人ほどでいいからついてこい。」
20人の部下を率いて町に入り敵の前に立つ。剣を肩にかけてあえて笑みを浮かべて挑発する。
「あの町の頭だ!笑いやがって…殺せ!」
隊長らしき人物が怒声を上げる。おー乗った乗った。よし、退くぞ。
「退却!退くぞ!」
「退け!退けー!」
即座に後ろを向いて走り出だすとならず者達は顔を真っ赤にして追いかけてくる。そうだ、ついてこい!お楽しみが待ってるからな!
まだだ、まだ走れ!逃げ続けろ!あと少しだ!
「今だ!やれ!!」
「任された!」
蜘蛛達が一気に木から降りる。30匹の群れがものすごい速さで駆け下り、襲いかかる。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「狼狽えるな!巨大蜘蛛に恐るな!」
「食われたくねえよ!助けてくれ!」
蜘蛛達に驚き、悲鳴を上げるものが出る。隊長が冷静に落ち着かせようとするが恐慌状態に陥っている。蜘蛛達の見た目のインパクトは計り知れない、人間と同じ大きさだ。それが襲いかかってくるからな。
「今だ!全員突撃!叩き潰してやれ!」
「久々に大暴れだ!!」
「仲間を侮辱したこと公開させてやるでゲス!」
150対80、倍の戦力差でさらに士気の差も圧倒的だ。オーク達が槍で突き刺し、ドワーフが斧で叩き斬る。ゴブリン達は集団で1人にあたる。
包囲され、恐慌状態に陥った敵を殲滅するなど容易いものだ。こちらは曲がりなりにも正規軍であり、訓練をして練度がある。敵はただ武器を持ち、民を相手に威圧してきたならず者にすぎない。激しい喧騒、互いの武器がぶつかり、鉄と鉄が擦れ合う音が響く。オーク達が重厚な鎧を着ていることにも絶句している。完璧に勝機がないと悟っている。
「散り散りになるな!固まって戦え!なんとか敵の方位を突き崩せ!」
「オークなんざ怖かねえ!ぶっ殺してやれ!」
隊長が指示を出して持ち堪えている。数的に不利であり、包囲されてるなら一点突破しかないからな。この状況でも冷静に対処できるあの指揮官は優秀だろう。欲しい人材だな。
「親分!親分!指示を出してくだせえ!!」
「うるせえ!てめえらは俺を守りゃいいんだ!!とっとと突破しろ!」
あっちの隊長は無能だな。1人だけ一番いい装備をして、力だけで部下を押さえつけて、恐怖で無理やり従えてきただけだ。武勇だけでは戦に勝てないのは歴史が証明している。
「矢を放て、目標はあのリーダーだ。」
「わかりました。」
エルフが弓を構える。パシュッ!と音を立てて矢が放たれ頭に突き刺さる。ヘッドショットだ。
「親分がやられた!」
「も、もうだめだ!助けてくれぇ!」
あー敵さんは残り30といったところか?降伏勧告をするか。
「残存兵に告げる、降伏しろ。これ以上は無意味だ。」
「ぐっ…!!」
敵のあの優秀な指揮官が周りを睨みつけるが、ただ1人目を瞑り剣を捨てる。
「降伏する。部下の命は保障してくれ、俺の命と引き換えにだ。頼む、部下は…」
「却下だ。」
敵の兵士たちの顔が青ざめ、隊長も睨みつけてくるが俺は気にしない。
「お前の命も取るつもりはない。これよりレグノの街は俺たちの配下になる。いいな?」
「ああ…。わかった。」
「よし!俺たちの勝利だ!レグノの街に入るぞ!」
剣を、槍を、斧を天に掲げて勝利に喜ぶ。初勝利であり、俺たちが北部で名を上げた。この勝利により、北部統一計画が一歩前進した。まだ一歩に過ぎないかもしれない、長い年月はかかるだろう。だが3つの村と2つの街が傘下になったのは大きい。2000人近く人口が増えたのだ。スラム街は建て直し、村は街に発展させる。これからが大変だろうな。
さて、レグノへ行くか。まだ入り口にしか入ってないからな。




