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第4話 初めての面談


ギルドに登録を決めた翌日、来生雅也は緊張で眠れなかった。

Fランク探索者としての初日――それは、未知への扉の始まりだった。


「……やっぱり、怖い」

机に突っ伏して小さく呟く。

しかし胸の奥では、昨日の小さな勇気がまだ温かく残っていた。


ギルドの玄関に到着すると、七瀬あずみが笑顔で迎える。

「雅也君、今日は面談ね。準備はいい?」


「え、ええ……多分……」

ぎこちなく答え、手は汗で湿っている。

心臓の鼓動が、耳元まで響くようだ。


面談室に通されると、そこには探索者ギルド長・和泉康介が座っていた。

男性らしい落ち着いた風格、LV90の圧倒的な存在感。

雅也は思わず尻込みする。


「来生雅也君だな。Fランク候補としての登録面談だ」

低く穏やかな声が室内に響く。


「は、はい……よろしくお願いします」

小さく頭を下げる雅也。

緊張で手が震え、ノートを落としそうになる。


まずは筆記テストから始まった。

ダンジョンの基礎知識、危険度の判定、探索の心得――

雅也は鉛筆を握りしめるが、文字が飛び、何度も消しゴムで消す。


「……こ、これで合ってるのかな……?」

自分でも信じられないほどの遅筆ぶりだ。


次は簡単な実技テスト。

訓練用の小型ダンジョンを模した部屋で、障害物を避けつつ

指定されたアイテムを回収するというものだった。


雅也は恐る恐る歩き始めるが、早速躓く。

段差に気づかず転倒し、周囲の小さな魔法陣を踏んでしまった。


「ぐわっ!」

大木将司や笠木ゆみの目が驚きと軽い呆れで雅也に注がれる。


「……あ、すみません!」

必死で立ち上がり、手を伸ばすが、アイテムを取り損ねる。

再び転倒し、何度も同じ場所で滑る。


和泉ギルド長は眉をひそめることなく、静かに見守る。

「焦るな、雅也君。探索は冷静さが命だ」


雅也は深呼吸して心を落ち着けようとするが、

緊張で手も足も思うように動かない。


それでも、昨日の子供を助けた経験が脳裏をよぎる。

「あのとき、できた……なら、今も……」

小さな勇気を胸に、再び立ち上がる雅也。


少しずつだが、障害物を避け、アイテムを拾うことができた。

完璧ではない。だが、Fランクとしての最低限の動きは示せた。


「よし、ここまでで十分だ」

和泉の声に、雅也は驚くと同時に安堵する。


「君にはまだまだ成長の余地がある。しかし、初日としては及第点だ」

その言葉に雅也は思わず小さく頷いた。

胸に、小さな誇らしさが芽生える。


七瀬が微笑みながら近づく。

「ね、雅也君。初日としては上出来よ」


「そ、そうですか……」

ぎこちなく答えながらも、顔に少し笑みが浮かぶ。

不器用な自分でも、少しは認められた――それが嬉しかった。


部屋を出ると、外は夕暮れの光に包まれていた。

街に灯るギルドの明かりが、雅也の胸に次の挑戦への決意を灯す。


「……これから、もっと強くなる」

小さな声で自分に誓い、雅也は一歩、ギルドの扉を出た。


Fランク探索者としての物語は、ここから本格的に始まるのだった。


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