第10話 初めてのランクアップ
数日後、来生雅也は再びギルドに足を運んでいた。
Fランクとして初めての本格的な挑戦以来、
心の奥に小さな自信が芽生えつつある。
「今日は、何か結果が出せるといいな……」
小さく呟き、深呼吸をして扉を開く。
訓練施設では、Aランク・大木将司やBランク・笠木ゆみ、
Sランク探索者・東郷陸翔、如月美鈴も集まっていた。
「雅也君、今日のダンジョン挑戦は少し難易度を上げる」
和泉ギルド長の声が響く。
「焦るな。冷静さを忘れずに」
雅也はぎこちなく頷き、胸の奥に小さな覚悟を刻む。
ダンジョン内部は、これまでの小規模挑戦より複雑だ。
地面には小さな光の罠、壁際には小型モンスターが潜む。
しかし、昨日までの訓練と仲間との連携が、雅也を支えている。
「まずは安全確認。雅也君は後方支援、罠の確認を」
如月の指示に従い、雅也は慎重に進む。
小さな光る罠も見落とさず、仲間に報告する。
途中、モンスターが複数現れた。
東郷や大木が連携攻撃を仕掛ける。
雅也も後方から支援動作を行い、
初めて戦闘における自分の役割を理解する。
「できた……」
小さな成功に、胸が熱くなる。
Fランク探索者として、初めて自分の力で役に立った感覚だ。
ダンジョンの最奥にある宝箱を開けると、
経験値が雅也に加算される。
そして、画面に「Fランク → Eランク」と表示された瞬間、
胸の奥に達成感が一気に広がった。
「やった……俺、ランクアップした……」
思わず声に出して叫ぶ。
仲間たちが笑顔で拍手をしてくれる。
七瀬も微笑み、手を差し伸べる。
「雅也君、初めてのランクアップおめでとう」
その言葉に、胸の奥が温かくなる。
不器用でドジな自分でも、少しずつ成長できる――
それを確かに実感した瞬間だった。
夕日が街を黄金色に染め、ギルドの明かりが柔らかく揺れる。
FランクからEランクへ――
小さな一歩だが、来生雅也にとっては大きな進歩であった。
「次は、もっと強くなる」
小さな決意を胸に、雅也は仲間たちと共にギルドを後にする。
探索者としての道はまだ始まったばかり。
しかし、確かな一歩が、未来への道を照らしていた。
ー完ー




