12. 上等な酒
ヒカルは再び酒井少佐の名前を直接呼んだ。これにより酒井少佐はため息をつくしかなかった。彼女は心の中でヒカルをもう打たないと誓ったので、ヒカルを変えたいなら酒井少佐は言葉を使うしかない。
しかし、ヒカルは酒井少佐の言葉を風が吹く雲のように扱い、頭の中に入れようともしなかった。それを知っているので、酒井少佐は酒を飲んで憂さを晴らすしかなかった。
彼女は上等な日本酒の瓶の蓋を開けた。それは将官級の士官専用のものだ。そしてヒカルの驚いた視線の中で、酒井少佐は一気に半分以上を飲み干した。
酒井少佐の顔は今や真っ赤に火照り、箸さえ持てないほどだった。だから酒井少佐はヒカルと同じように手づかみで食べるしかなく、彼女の酒量が非常に弱いことを示していた。しかし部下の前なので、酒井少佐は自分を強く見せようとした。
その様子を見ても、ヒカルは気にも留めなかった。彼女は今自分の食事にしか興味がなく、これまで箸を使わなかったので使い方がわからなかった。
だからヒカルは自分の手で食べ物を掴んだ。放浪していた頃も、手で食べ物を掴むだけだった。店に入っても同じだった。
どの店主も、ボロボロで臭い少女であるヒカルが店の道具を使うのを許さなかった。もし使わせたら、食べ終わった後でヒカルの目の前でゴミ箱に捨てるのだ。
そんな扱いを受けたくなかったら、ヒカルは彼女が主に強盗をする横浜港周辺の地域から遠く離れなければならなかった。しかし、交通手段がないので、自分の足で遠くまで歩くしかない。
だからヒカルはしばしばゴミ捨て場で残飯を食べ、ひどく空腹なら他人の吐瀉物を無理に食べることもあった。魔力があるおかげで、ヒカルはそんなものを食べてもほとんど病気になることも腹痛になることもなかった。ただ、味がひどく不味いだけだ。
だからこそ、今日の昼食は彼女の16年間の人生で最も美味しく豪華な食事と言える。それらの理由から、ヒカルは今とても興奮していた。彼女はこれが人生最後の食事であるかのように食べに没頭した。
ヒカルは次々と丼を空け、空になったら自動的にご飯の置いてある場所に行き、新しい丼をよそった。10分後、ヒカルは20杯を食べ終え、満腹で椅子に寄りかかった。
一方、酒井少佐はこの時泥酔していた。彼女は目さえ開けられないほどだった。彼女の様子は、ヒカルが風呂から出てきたばかりの時のようなものだった。
酒井少佐の手には飲み干した日本酒の瓶を抱え、顔は火のように赤かった。そして彼女は顔をテーブルに叩きつけて眠り込んだ。
その様子を見て、ヒカルは何も言えなかった。しかし、これこそヒカルのチャンスだった。彼女はいつも酒井少佐が丁寧に保管している蓋に彫刻のある竹筒の中に何が入っているのか知りたがっていた。
今、酒井少佐は酔ってぐっすり眠っている。周りにも誰もいないので、ヒカルは簡単に取り出して好奇心を満たせばいい。「少し見てすぐ戻せば、問題ないはず」と思ったヒカル。
思った通り、ヒカルは床に這い、眠っている酒井少佐にゆっくり近づき、一瞬で酒井少佐のズボンのポケットから蓋に彫刻のある竹筒を取り出した。それは貴重な皇室命令が入っているものだ。
そしてヒカルは竹筒の蓋を開け、中には絹の巻物が入っていた。それが酒井少佐の皇室命令だった。しかしヒカルは全く知らず、巻物を取り出した。
巻物の上部に「皇室命令」と明確に書かれ、下部には酒井少佐の任務、ヒカルが理解できない何かの技術移転について書かれていた。ヒカルは賢い少女だが、聞いたことのない言葉に出くわすと、何のことかわからない。
しばらく「技術移転」という酒井少佐の主な任務について考えた。最初、ヒカルは技術移転が何かわからなかったが、しばらくして気づいた。
「カタナの剣?」ヒカルは独り言でつぶやいた。
思い返せば、酒井少佐はいつもあの刀を携えていた。おそらくそれが移転する技術だろう。しかし酒井少佐の腰を見ると、そこにあるはずのカタナが見当たらない。
ヒカルは思い出した。最後にカタナを見たのは、酒井少佐が士官室で彼女を殴った時だ。その後ヒカルは気絶し、目覚めた時にはカタナはなくなっていた。つまり、部屋にあるはずだ。
酒井少佐を見て、ヒカルはため息をつくしかなかった。そして絹の巻物を巻き直し、竹筒に戻し、何事もなかったように酒井少佐のズボンのポケットに戻した。
幸い、竹筒を取ったのはヒカルだった。他の者だったらどんな大問題が起きるかわからない。あの絹の巻物は酒井少佐が「皇室特使」である証拠で、彼女は国外で天皇の代表として扱われ、任務を終えるまで続く。
そのため、酒井少佐は将官級の待遇を受けている。ただ、なぜ彼女が士官室で寝ることを選んだのかはわからない。
酒井少佐をここで寝かせるのは良くないと思ったヒカルは、両手で酒井少佐を引きずって部屋に戻そうとした。ヒカルの魔力は多いが、まだ完全に制御できない。彼女はそれを体を強化するのにしか使えない。
しかし、ヒカルの周りの魔力の光は他人を焼く可能性がある。それを知っているので、ヒカルは両手で酒井少佐を引きずるしかない。




