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96 永遠と

 永遠に変わらないものなんてないとわかっているのに、なぜか変わらないものを望んでしまう。自分の結婚式で、ふと思った。

 隣の新郎は晴れやかな顔をして、誓いの文句に迷うことなくはい、と答えている。

 私だってはい、と答えはしたけれど、神を信じているわけではないので、神に誓うということができないし、変わらないというのは不可能な気がしている。

 私、新婦としてけっこうダメだな、と思った。このあと披露宴もあるのに、どうしてこんな時にこんな思いをしているんだろう。

 誓いのキスだって、普通に恥ずかしいけどできてしまうのに、この思いが変わってしまうのだということが不思議な気持ちだった。

 私は皆に祝福されることを嬉しいと思うのに、皆にこの人と共にいることを喜ばれて嬉しいのに、なんで自分を疑うようなことをしてしまうのだろう。

 場所を披露宴会場に移しても、私はもやもやした気持ちだった。隣にいる新郎、私の夫は、きっとそんなことで悩んでいないであろう顔をしている。私もそれに合わせてニコニコしておく。

 友人代表だとか親族代表だとかの、心温まる、どこかおふざけも交えた挨拶が交わされ、余興なのかなんなのか知らないけれど、夫の友人が何名かで夫を担ぎ上げていた。

 帰りになって、更衣室から出てきてみると、いつもよりかはフォーマルな服装の夫が待っていた。ドレスよりタキシードの方がすぐ着替え終わるものらしい。

 帰りは夫の運転する車で、二人で暮らすマンションに帰る。車内で、ふとあの疑問を思い出して、言い方に迷いながら聞いてみた。

 「もし、私が明日おばあちゃんになっちゃったら、それでも変わらず愛してくれる?」

 夫は運転からあまり意識を逸らさないまま、うーんと少し考えた。

 「変わらず、ってのは難しいんじゃない?急におばあちゃんになるんでしょ?ゆっくり二人で変わっていく君を愛する覚悟はあるけど、急に見知らぬおばあちゃんがいて、君だって言ったとして、戸惑うんじゃないかな」

 まあ、それもそうかと思った。私だって今の夫は好きだが、急におじいちゃんが現れて夫だと言っていても、信じられる気はしない。

 私達に限らず、きっと世の中の夫婦の多くは永遠の確信なんてない。それでも、私達は永遠を望んでしまうのだ。その先に、いつか永遠に近い何かを見たいと思いながら。

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