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74 レシピ

 古いレシピが出てきた。私が小学生の頃のものだろうか。拙い字で書かれたレシピの横に、ぐちゃぐちゃななんだかわからない絵が添えられている。どうやらこれは兄弟が書いたものらしく、自分の字ではないような気がする。こんな時期もあったのか、と微笑ましくなる。

 そのレシピにあるとおりに、謎の料理を作ってみる。どうやら卵を使うらしい。バターを使うあたり、ただの卵料理ではない。湯せんをするらしい。なかなか高度な料理だ。なんと湯せんをしたまま火にかけるともある。徐々に固まってきた卵には、見覚えがあった。高級な店の動画なんかである、ちょっといいスクランブルエッグだった。

 半熟がいいので適当なところで火を止めて、皿に盛りつけた。箸かフォークか悩んだが、スプーンの可能性にも気がついてドツボにはまり、開き直って箸にした。

 ふわりとした食感と、とろりとした舌触りがなんともいえない。しょっぱい味付けだが塩加減がちょうどよかったのか塩辛くはない。そこまで食べるまでの時間が長くなければ、サンドイッチに入れてもおいしいだろう。和風な味付けならもっと半熟でご飯にかけても。

 そんなことを考えながら食べ終わると、レシピを再び見た。レシピはいくつか束になっていて、中には給食のレシピなんかもあった。これはいつの頃だろうか。いつからか食べなくなって久しい。家に材料があるかどうかはわからないが、今度作ってみようか。

 そんなことを考えながら束をめくっていると、表題のないレシピが出てきた。作り方もなく、ただ分量が記載されているだけ。さすがにこれでは何の料理か推測できない。それに、作ってみようにも手順がなくては違う料理になるかもしれない。私はそう思い、これを書いたであろう人に聞いてみることにした。

 字の濃さから母が書いただろうと思い聞いてみると、「ああこれね、なんだったかな、」と悩み始めてしまった。オーブンかフライパンを使うとあるあたり、小麦粉には火を通す必要があるらしい。ヨーグルトを混ぜる小麦粉料理らしいが、さて心当りは。

 「わかんない。まあ今度調べてみましょ。今日はカレーよ」

 そう言われたのでさきほどまでのスクランブルエッグの跡を片付けて野菜を切り始める。

 ヨーグルトといえば、カレーと相性がいい。ラッシーなんかは牛乳とヨーグルト、氷でできている。

 「あ」

 そういえば、ナンにはヨーグルトを使うことがあるんだったか。ナンならばフライパンでも焼ける。きっとあのレシピはナンなのだ。

 それがわかればだいぶ作りやすい、と思いながらカレーを煮込む。今日はさすがに無理だが、今度のカレーの日には作ってみよう。それと、あのレシピの山をもっとあさってみよう。きっと、懐かしい味が眠っているはずだ。

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