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63 雪中梅

 梅の花が開くのは真冬のことだ。一番きんと冷える頃に咲いては、もうこの寒さも終盤かと人々に安らぎを与える。

 さて、先日梅の花が咲いた近所の庭であるが、その花が凍えてしまうのではないかと思うほど寒い日が戻ってきてしまった。自然はどうにも気難しいもので、梅の花が咲いたから寒さが和らぐわけではないらしい。

 そして、その日に限って前線が近づいてきて、雨や雪をもたらした。近所の庭の梅も雪の中でしんと立っていたが、ここいらはまだみぞれ程度だったようで、花の上に雪が積もることはなかった。

 それでもまあ、あれは雪中梅と呼んでいいだろう。

 そんな雪中梅と思って寒い中傘をさしてその梅で花見をしていたところ、家に帰って観たテレビで「雪の積もる梅」の映像が流れていた。

 勝ち負けはないのだが、なんだか負けたような気になった。梅も天候も自分のものではないというのに、この気持ちはなんと理不尽なことか。

 翌日になって窓の外を眺めていると、近所のあの赤い梅の花のうちに、一つだけほんのり白いものを見た気がした。まさかと思って目を凝らすと、雪が積もっていた。正確には水が凍ったものかもしれないが、なんだかこれぞ冬という気持ちになった。

 梅には申し訳ないが、せっかく咲かせた花が雪に濡れる様に人間は情緒を感じるものなのだ。

 今日も窓の外はきんと冷えている。こういう日にはシャッターを下ろさなくては。そう思い窓の外を見ると、あの赤い梅の花を背景に、空に白いものがちらついていた。

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