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43 ガレット・デ・ロワの魔法

 ガレット・デ・ロワというお菓子がある。小さなころにテレビで見てから、ガレット・デ・ロワの中に隠されたフェーブという陶器の当たりくじを引いてみたいと思っていた。

 フェーブは大きいホールのガレット・デ・ロワの中に一つだけ。なんとも可愛らしいデザインのものが売られているそうで、私は小さいながらにその魅力に取りつかれたかのようだった。

 だが、所詮は子供。フェーブなんてものの名前もすぐに忘れたし、ガレット・デ・ロワの存在すら薄れてしまった。フランス文化に親しくないので、それも仕方がない。

 ガレット・デ・ロワを新年に食べるというのがフランスでの食べ方。古代ギリシャでは役人を決める時にパンに豆を仕込んでいたのが始まりだとか。それがパンがお菓子に、豆が陶器に変わっていって今のその行事がある。

 さらに、フェーブが当たったら、その一年は幸運なんだとか。昔見たテレビの中では、紙でできた王冠を被った女の子が「今日は私が女王様よ!」と言って、一日だけはキャンディを好きなだけ食べていいことを宣言していた。

 幸運を呼び込むお菓子、ガレット・デ・ロワとあたりのフェーブ。私は久しぶりにガレット・デ・ロワを見た時にこの話を思い出したのだ。幼い日に戻るかのようなこの思いを、家族に話してみた。すると、両親は「いつか子供にガレット・デ・ロワを食べさせる機会があったら、あなたがフェーブを仕込めばいい」と言われた。

 私は幸運を包み込む仕事をすることになるのだ。そのときはとびきり美味しいガレット・デ・ロワと、かわいいフェーブを皆で囲むのだ。暖かい空気の中で、そうして一日を過ごすのはなんといいことだろう。

 その時はフェーブを見つけた人を王様にするべく、小さな王冠を用意しておこう。安っぽくてもいい、小さな家の中での王様なのだから。そうして、ガレット・デ・ロワの歴史と言い伝えをとうとうと語って、少しうざがられるまでがテンプレートになるだろう。

 それが我が家の伝統になれば素敵だな、なんて思う。美味しいパイの作り方なんて知ったことではないが、作るとなったら努力はする。そうして甥っ子だか姪っ子だかはたまた自分の子だかは知らないが、子供たちが大きくなったらガレット・デ・ロワを一緒に作るのだ。

 ただし、フェーブを入れる時は見ないでもらおう。これだけは私たち大人の特権にさせてもらうのだ。子供はフェーブを探さなくてはならないのだから。

 幸運を運ぶお菓子。幸せを一緒に分け合うお菓子。それが、ガレット・デ・ロワなのである。

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