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37 雪と偶像

 雪が降り出した。まただ。空を見上げれば思ったほども雲は厚くないくせに、降り積もる雪はずっしりとうず高い。ああ除雪面倒だなぁ、なんて思いながらも中断していた作業を再開した。

 雪だるまを最初に作った人は誰なんだろうな、と、除雪後にあまった雪で適当に形を作りながら考える。実は大昔から続いてたりして、なんてことを考えてみる。

 昔々、そりゃもう文字なんかが生まれるずっと前、雪を丸めたやつがいて、もしくは今の自分みたいに高くして固めたりした奴がいて、それが人とか何かに見えるってんで、木の枝なんかさしちゃったりして。いつの間にか溶けて消えるから、無常を表す何かだと思ったりしてさ。もしくはそうだな、溶けてどんどん消えてくのを、徐々に寿命がすり減ってると思ったりして。昔だから、気温のせいだなんて思ったりしないだろうし。

 自分の背丈より高い、謎の像を見上げてみる。雪はまだまだ降っている。もしかしたらこれから強まるかもしれないな。

 ここいらの雪は水分が多くてずっしりとしているけれど、だからこそ夜になると冷えて固まって、かなり厄介だ。明るいうちに除雪してしまうのが楽なのだが、真昼になったので、家の中で温かいものを食べてから作業をしようと思う。


 その場から人がいなくなった後、雪は変わらず、いや少し強くなって降り続けた。作られた像にも降り積もる。像は何も言わない。寒さに震えることもない。何も生物的な要素を持ち合わせていないわけだし、当たり前なのだが、人はそこに不動を見出す。今見出す人もいなければ、作り出した人も家の中に入っていってしまったが。

 雪像に人型を見出すことも、雪に神秘性を見出すことも、人としての何かが関係しているのかもしれない。何かとは何だろう。思考力のような、そういう何かだろうか。想像力だろうか。

 ガタガタと戸を開ける音がする。


 あたたかいラーメンを食べてきたので、除雪作業を再開する。この短時間で先ほどまでの足跡が埋もれてきている。諦めも含めたため息は、白い雪に全く映えない白い息になる。

 暖房で温めたはずの指先が早くも手袋の中で冷え始める。靴の中の足も徐々に熱が奪われていく。しもやけになる前に終わらせよう。

 そういえば、テレビで見たことのある粉雪の地域の人は、除雪の大変さが違うのだろうか。軽くはありそうだが、量が多いとやっぱり大変だろう。牡丹雪しか降らない地域だと、その違いがわからないものだ。旅行で行ったことはあれど、そこで除雪まではしないからわからないのだ。

 道路まで道をつないで、ようやく買い物に行けるようになった。買い物に行って帰ってきたら、隣の家の道も除雪しよう。隣の人は年で腰も弱いから。段差で転ばないようにしてあげないと。

 そう考えながら、スコップを玄関に置きに家に入っていった。

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