絆クエスト:帆足歩③
施設内の調査を進めても、大した収穫を得られないまま時間だけが過ぎていく。
調査はいよいよ最後の一部屋を残すのみとなった。
「もう他に考えられる場所はないわよね」晶葉が廊下の先に見える開かれたままの扉を見つめる。
「ええ、間違いなくあの部屋にいるはずです」
レイチェルは、廊下の壁に貼られている『第六研究室』と書かれたプレートを見た。
「第六研究室か。館内地図を見る限りじゃ一番大きい部屋だな。ここは一階だけど三階までぶち抜いた縦長の構造になってる」
「あのミズヌシの大きさから考えて広々とした場所を住処とするのはありえそうだね」
「でも、結局ここって何の研究してた場所なんだ?」
男たちの話に、杏樹が口を挟む。
「残されていた施設の資料を軽く読んでみましたが、特殊な環境下での魔法道具の実験や植物の生育を行っていたみたいです。魔力が空気中に充満している状態や逆にまったくない状態を生み出して、魔法器具や生物にどう影響するかテストをした結果が書かれていました」
「宇宙ステーションで地球ではできない実験をやるみたいな感じ?」と、歩が言った。
一同が廊下を進み、開かれた大きな扉の前に立った。周囲の壁にはこれまで見たきたものと同じようにミズヌシの痕跡が残されている。
「中からは何も聞こえないわね……」
「あまり時間も残っていません。入りましょう」
杏樹が慎重に部屋へ足を踏み入れた。黴臭さを含んだ空気が鼻をつく。
扉の先は、巨大な円柱の中をくり抜いたような天井が高く広い部屋だった。あちこちに小さいサイズのガラス製の円柱が設置され、その中に土が敷かれている。円周部分に近い位置に二ヶ所、鏡合わせになるように階段が見える。円周部分に沿って通路が走っていて、さらにその上に数本のパイプが張り巡らされていた。
「うわあ……本当に広い」
真夏は部屋を見渡しながら感嘆した。
永遠はガラス容器に近づき、しげしげと見た。「なんかSF作品で見るようなカプセルが並んでるんだけど。これどう見ても技術力おかしくないか?」
レイチェルが答えた。
「冥樹都市には現在より遙かに進んだ技術が存在したと云われています。発見された遺物や文献からどんな技術があったかわかっていますが、再現するとなると難しいようです。そのあたりの解明は文化保存局が頑張っていますね」
「でも、そんな凄い文明があったのに滅んじゃったんだよね」
ローニャがぽつりと言葉を零した。
「ソニアさんの授業で触れたことあったな。冥樹都市が滅亡した原因」
「急激な迷宮化によって人が住める環境じゃなくなったって話だったよね」
「冥樹のはるか下の地中に流れる魔力の流れ――精脈だっけ? その流れに異常が生じて魔力が溢れかえったからってのが通説らしいな」
永遠と一二三が話している近くで、因幡は納得がいかない表情をしている。
「妙だな。ミズヌシの痕跡はあるのに姿がない」
彼らの考えでは、この部屋にこそミズヌシが潜んでいるはずだった。しかし、獲物はどこにも見当たらない。
「あれ?」と、ジャイルズが何かに気づいたように声を上げた。
「どうしたの?」
ローニャが声をかけると、ジャイルズは困惑したような顔を向けた。
「いや、念のために『生命探知』を使ってみようかなって思ったら――なんか普通に使えるぞ」
真夏が目を丸くした。
「え、本当に? なんで?」
「……もしかしてこの部屋だけ魔力が薄いのか?」
永遠が推測を口にすると、一二三が同意した。
「確かこの部屋で魔力がない状態を生み出して実験してたんだよね。ひょっとしてその状態がまだ続いてるのかな?」
晶葉は信じられないという様子で言った。「実験に使う装置や設備がまだ動作しているっていうの? この施設が放棄されたのってずっと昔なんでしょ?」
「興味深い話だけど今は置いておこうか。ジャイルズ、スキルが使えるならミズヌシがどこにいるか突き止められる?」
「今やってる」
ジャイルズは歩に答えた。
皆がジャイルズに視線を向ける。
「どうだ? 反応はあるか?」
永遠が訊いた瞬間、ジャイルズは突然天井を見上げた。
「上だ!」
その言葉に釣られて、全員が一斉に上を見る。
「上? さっきちらっと見たけど別に……」
晶葉そう言って目を凝らし、次の瞬間絶句した。
施設の最上部と同じ高さにある天井に、半透明の物体が貼りついている。天井の電灯によってくっきりと映し出されたそれは、彼女らが追い求めていた存在だった。
「はあああああ! 何あれ、何であんな所に!」
「天井に張りついてる……」
ミズヌシは重力に逆らったまま不快な音を立てて蠢いている。
永遠たちがその様子を警戒しながら見ていると、ミズヌシの一部が大きく伸びた。
瞬時に判断した永遠たちは、すぐにその場から飛び退いた。それと同時に、ミズヌシの伸びた部分から液体が高速で放たれる。床にぶちまけられた液体は、奇怪に泡立った。
「うわ!」ジャイルズが得体に知れないものに叫ぶ。
「溶解液? 直撃したら不味そうだね」
真夏がしゅうしゅうと溶けている床を観察しながら言った。
永遠はミズヌシを再び見上げた。
「早いところなんとかしないと。でも……」
「遠すぎますね。これじゃまともに攻撃が届きません」
杏樹が永遠の言葉を引き継いだ。彼女の言うとおり、はるか高みに位置するミズヌシまで届く攻撃手段を二人は持たなかった。
「だったら私に任せなさい。私の『弾丸』ならいけるでしょ。ようは核さえ破壊できればいいのよね? ちょっと時間を稼いで」
晶葉は魔力の弾丸を生成し始める。彼女のスキルによって生成された弾丸は、魔力を込めた分だけ貫通力が増す性質を持っていた。現状では最大限魔力を込めて撃った場合、何枚もの分厚い壁を一度に貫けるほどの威力を発揮する。それだけあれば、いかに彼女にとって強大な魔物であるミズヌシでも耐えきれるはずはない。その確信は決して幻想ではなかった。
「竜、撃つな」
因幡が静かに言った。
「え?」
「あれを見ろ」
因幡が目線で示したのはミズヌシの体の中央だ。ミズヌシが蠢くと同時に、その中で何か大きな物体が水面に浮かんでくるように押し出される。距離があり小さく見えるだけだが、スキル持ちとなって視力が強化された生徒たちには、それが何なのか判別できた。
「セシリー……!」
ジャイルズが悲痛な声を上げた。
セシリー・ブランドンは目を閉じたまま、ミズヌシの内側で揺蕩っている。
因幡は鼻を鳴らした。「悪知恵の働く奴よ。核の手前に獲物を置けば、相手が攻撃を躊躇うと知っての行動だ」
「相当知能の高い変異種ですね。ミズヌシでこのレベルは私も聞いたことがありません」
レイチェルは冷静に分析した。
「どうすれば……」と、杏樹が途方に暮れたように呟く。
「奴を仕留めるには、まず人質を解放せねばならん。問題は――」
「どうやってあそこまで辿り着くか」
歩が無表情で言うと、因幡は頷いた。
「そうだ。あの遙か高みへ至る道を見出さぬ限り、俺たちは手出しできん」
「セシリーが生きている間は、ね」
歩は意味深にそう付け足した。
一二三が言った。「この研究室、上部に足場や階段が設置されてるね。メンテナンス用の通路かな。それにパイプが張り巡らされている」
「パイプは壁際にある大型の装置と繋がってる。あれがこの部屋の環境を一定に保つための設備なんじゃないか?」
永遠は一見しただけでは何の用途に使うのかわからない装置を見る。
「じゃあ、あそこから上がればセシリーちゃんの所まで……!」
ローニャが希望に声を上擦らせる。しかし、彼女の幼馴染は冷静だった。
「……待てローニャ。上の通路に崩落してる箇所がある」
ジャイルズの言葉どおり、ミズヌシに近い通路の複数個所が途切れ、その残骸と思わしき物体が下の通路や床に転がっていた。
「恐らくミズヌシが落としたのだろうな」
「でも、スキル持ちの身体能力なら飛び越えられますよね」
杏樹は問題はないという風に言った。生徒たちはスキル持ちの特性を十分に活かせるようにと、ミラ・バルトハイムから鍛えられていた。今では元々運動が苦手だった者でも、魔物相手に逃げ回ることができる程度には体を動かせるようになっていた。
「ここに来てパルクールゲーさせられるのか……」と、永遠が顔を引き攣らせた。
一方、レイチェルは乗り気だ。
「バハロスに乗って上昇するよりは良いかもしれません。障害物があって自由に飛び回るのは難しいですから。それに背中に乗った状態だと攻撃も移動も制約がかかりますからね。皆さんがやる気なら、私は牽制に回りましょう」
「わかりました。私が行きます」
「杏樹ちゃん?」
杏樹が名乗り上げたことに、真夏が驚く。
「私がミズヌシの中に突っ込んでセシリーさんを引き摺りだします」
「杏樹! アンタ何言ってんのよ!」晶葉が目を見開いて叫んだ。
「攻撃ができない以上、直接セシリーさんを確保しないといけません。私なら『聖痕』で最大限肉体を強化してから突っ込めば、ダメージも最小限で済みます。これが現状最も合理的な選択です」
「いや、合理性とかそういう話じゃなくて――」
晶葉が苛立った様子で食い下がる。杏樹は友人に対して平静を保ち、対応した。
歩は二人を離れた場所から見守りながら、冷たく思考していた。
(そう、確かに合理的だ)
歩は口には出さず、杏樹に同意した。
(セシリーがあとどれだけ保つかわからない。シーリアさんは『千里眼』で状況を把握しているだろうけど、ここへ味方を連れてくるまで時間がかかるかもしれない。やるなら早いに越したことない。
ただし、唯一にして最大の問題がある。水城さんが失敗した場合のリスクが大きすぎることだ。
ミズヌシは本来もっと上の階層の魔物。その上変種となれば、さらに危険度は上昇する。今の水城さんが『聖痕』で最大限強化したところで太刀打ちできる相手か? 下手をすれば、水城さんも取り込まれて人質が一人増えて終わるという最悪の結果も起こり得る)
杏樹は現状《悠久の城》における最大戦力の一人だ。白兵戦では他の追随を許さない。歩が所属する第四班にとっても、クラン全体にとっても欠かせない人材と言ってもよい。そんな彼女を危険に晒す行為は避けたかった。
(でも、セシリーを見捨てる前提であれば何も問題はない。僕たち《悠久の城》にとっては。僕たちにとって最も好ましくない展開は、水城さんが命を落とすことだ。そうなればクラスの皆が受ける衝撃は計り知れない。今後の迷宮探索にも支障を来すだろう。僕たちが元の世界に帰還するためにも、重要な戦力として水城さんの生存は絶対だ。最近仲良くなっただけの一探索者の命じゃ天秤にかけるまでもない。それが僕にとって最も合理的な選択だ)
杏樹の主張は正しい。だが、それは自分たちだけでセシリーを助けることが前提だ。《悠久の城》の利益を最大限に考えるなら自分たちでのセシリーの救助を諦め、救援を待つのが得策だった。セシリーが命を落としたとしても、《悠久の城》は何一つとして痛手を負わないのだ。
そこまで考えて、歩ははっとした。
(我ながら笑わせるね。このざまで人の心を理解したいと願っていたなんて)
歩は自嘲した。気を抜くとすぐこれだ。いつだって自分は他人を駒としか見ない。
あれほど己の在り方を忌み嫌っていたはずなのに、歩の頭脳は普段と同じように働き、普段と同じような結論を下した。自分にとって最も利益のある選択。彼のゴールはいつだってそこにある。
皆と一緒に困難に立ち向かえば心を通わせることができるなど、どうして思えたのだろう?
“皆と一緒”――馬鹿げた話だ。自分は駒の指し手として上から眺めているだけだ。皆と同じ視線を共有したことはない。
歩は頭を振った。もう諦めたはずなのに、まだ未練があるらしい。これはどれだけ望んでも絶対に手に入れることのできないものだ。
何故ならば、帆足歩は他者に共感できない人間なのだから。
「帆足」
声をかけられて歩は顔を上げた。永遠がいつの間にか傍にいて、じっと見つめていた。
「何?」
「やけに深刻そうな顔してるなと思って」
歩は少しだけ言葉に詰まった。
「……ちょっとだけ自己嫌悪してたんだ。僕は水城さんみたいに友達のために命を張れる人間じゃないから」
「それは別におかしなことじゃないだろう? 誰だってそう簡単に踏み出せるもんじゃないし」
永遠はその言葉を恐怖に身をすくませたという意味で解釈した。そんなに可愛い意味ではないのにと歩は苦笑した。
ふと、歩の中で永遠には本音を曝け出してもいいだろうという考えが浮かんだ。
それは歩にとって不利な結果しかもたらさない無駄な行動だ。冷酷な素顔を見せられて受け入れる人間など普通はいないのだから。だが、歩にとっては最早どうでもいいことだった。ただ、気難しい性質だった星加天麗の心を開かせた永遠が歩の本性を知ったとき、いったいどんな反応を見せるのかと興味が湧いたのだ。
(今更誰にどう思われようが気にする必要なんてないか)
歩は昏い笑みを浮かべた。
「トワ、今まで言ってなかったけど、僕は基本的に自分本位な人間なんだ。いつも“何が自分にとって都合が良いか”で物事を決めるんだよ。僕はセシリーを助けるために、大事な戦力である水城さんを失うリスクは負いたくない。彼女に万が一のことがあれば《悠久の城》の活動に悪影響が出るからね。それは地球への帰還を目指す上でも絶対に避けたいことだ。だから、正直水城さんには危険な真似をしないでほしいと思ってる。そのせいでセシリーを助けられなかったとしてもね」
歩は淀みなく言ってのけた。永遠は今まで見せたこともない歩の冷たい表情に驚いたような様子だった。
「それは……必ずしも悪いこととは言えないんじゃないか? 善意だけで動けないなんてよくある話だし」
「そうだね。そういう人は多いと思うよ。でも、僕の場合は違うんだ。僕は自分の目的のために他人を使うことを躊躇わない。もし、仮にセシリーを助ける方がより利益のある話だったなら、何の迷いもなく水城さんを行かせた。彼女がどれだけ危険であろうともね。そういう考え方しかできないんだよ」
歩は両手を広げて「軽蔑した?」と嗤った。
永遠は歩を見つめたまま黙っている。その瞳は何かを推し量ろうとしているようにも見えた。
歩は永遠が次に何を言うのかを待った。彼は帆足歩という人間をどのように評するのだろう?
やがて、永遠は口を開いた。
「帆足」
永遠はそう言って、首を傾げた。
「それは……非難するようなことでもないだろう?」
「は?」
予想外の返事が返ってきたことに、歩は思わず間抜けな声を漏らした。
「確かにお前は冷徹な考え方ができる人間なのかもしれない。でも、それだけじゃないだろう?」
永遠は過去を思い返すように目を閉じた。
「お前とはそんなに長い付き合いじゃないけど、どんな人間なのかはそこそこ理解しているつもりだ。お前は人の心に入り込むのが巧い。お前が言うとおり、やろうと思えばヒトを操ることもできるんだろうな。でも、私欲のために人を食い物にするほど悪党ってわけでもない。旧寮が迷宮になった時もそうだ。俺たちを巧く利用すればリスクを押しつけられたはずなのにそうしなかった。対等な立場で一緒に戦ったじゃないか」
永遠は歩を邪悪な人間とはとても思えなかった。永遠は歩と何度も肩を並べて戦ってきた。この世界に来た時も、旧寮の迷宮でも、同じ第四班のメンバーとして訓練した時も。そのどれにおいても歩は“良い奴”だった。
初めて魔物と遭遇した時は、白坂菖蒲に逃げるよう言われても何かできることを探そうとした。旧寮が迷宮化した時は、普段と変わらない調子で空気が重くならないようにした。そして今は、セシリーを助けるために踏み出せない自分に嫌悪感を覚えると言った。
「それに星加の問題だって、お前の助言のお陰で解決できたろ」
「それは放置しておけば揉めるってわかってたから……」
「だから、それでいいんだよ」
永遠はきっぱりと言った。
「自分にできない、やりたくないことなら他の誰かに任せればいいんだ。お前はお前の役割を果たした。そのおかげで俺も星加の力になれた。それで十分じゃないか」
「それでも……」
「さっき自己嫌悪を抱いてるって言ったよな? じゃあ、水城さんみたいに他人のために動けることは本当は尊いことだって自分でも思ってるんじゃないか」
歩は反論できなかった。情けないことにそのとおりだと思った。結局、未練はまだあるのだ。
「それを不要なものって断言できないあたり、お前は良い奴だよ」
永遠は考える。そもそも、他人をどうでもいいと考える人間は悩まない。恥と思うのは良識を持つ証だ。どこまでいっても悪辣な人間になりきれない。
つまるところ、帆足歩は“良い奴”だ――永遠はそう結論づけた。
歩は呆けたように口を開けていた。
変わりたいと願っていた。人と真に心を通わすことができれば、自分は新しい一歩を踏み出せるのではないかと。それが叶わぬと悟りつつも、頭の片隅にその願いはこびりついていた。
自分はこの先もずっとこの願望を抱えたまま生きていくのか。そう絶望した。
しかし――永遠はまったく異なる道を示した。
「トワはそう思うんだ」
「まあな」
「ふーん」
学校の帰り道で世間話に興じるかのような調子で、二人は簡素な言葉を交わした。
(そうか。このままでいいんだ)
それでいい。
慰めではない。永遠は心の底からそう思っている。歩の価値を、その冷徹さと観察力に見出している。故に、それでいいのだと告げた。
歩の中に冷たくも心地よい感覚が染み渡る。頭の中が鮮明になり、視界が広がった。あまりにも単純で、それでいて自分では気づけなかった答え。天麗もこのような気分になったのだろうか?
因幡七曜は離れた位置から、歩に訪れた変化を見て取った。
(そうだ。貴様が自らをどう思おうとも変わる必要などない。かつて俺が認めた男もまた俺をありのままに受け止めた)
因幡の脳裏に、記憶の中に残る石動天馬の残像が過ぎった。
(変化は必須ではない。本当に必要なものは存外すぐ傍にあるのだ。ただ、悟るのに時間を要するだけ。貴様は久住の言葉で今ようやく気づけた。あとはただ進むのみ)
因幡は僅かに口の端を歪ませると、永遠へと視線を移した。
(しかし久住め。とぼけた面をして本質を突く力が強い。あれは天性のものだな。しかも本人の自覚は薄い。知らず知らずのうちに面倒事の中心に引き込まれるのが目に見える。誰かがフォローしてやらねばならんな)
本人が知らない問題点を正確に評価し、因幡はこれから先に起こるであろうトラブルを予期して溜息を吐いた。
歩は両手の掌を合わせる。
「それじゃあ、トワの期待が間違ってないと証明するためにちょっと張り切ろうかな」
「何か良いアイデアがあるのか?」
歩はにやりと笑った。
「すこーし危険なアイデアだけどね。水城さんだけじゃなく他の皆も命を張れるなら、より確実にセシリーを助けつつ、ミズヌシを倒せるかもしれないよ」




